願われなくても
俺は学校を出て、ある人を探した。
「はぁ、はぁ。くそ、何処にいるんだ」
今やろうとしている事は自分でもバカだと思っている。頼まれていないし、願われてもいないと思う。自分が勝手にしている事で褒められる事でも無い。でも、橘さんが辛い思いするのは違う。何も悪く無い橘さんを見てるのが友達である自分には耐えられ無い。
「あ、いた!」
ショッピングモールの中を探していると、橘さんと同じ班の人達を見つけた。
「ねぇ」
「あれ、久保じゃん。何?どうしたの」
何がどうしたの?だ。自分の中でイライラする気持ちが高まる。そこをなんとか抑えて声をかける。
「確か買い出しの仕事だったよね?ここで何してるの?」
「何って、買い出しだよ?何言ってんの?」
「でも、橘さんに一人で任せてたよね?」
「何?それをわざわざ言いに来る為にうちらの事を探したの?ストーカー?」
「そうだよ。なんで橘さんにだけあんな目に合わなきゃいけないんだよ」
「だって、いいよって言ったんだもん?ねぇ?」
そうだそうだと周りが言う。
「そんなのいいよって言うでしょ。お願いされたらいいよって言うのを知って言ったんだろ?そんなのいじめと一緒だろ」
「いじめ?やめてよ人聞きの悪い。橘がそう言ったの?いじめられたって言ってないでしょ?」
「言ってないけど、遊んでるのを見たって言ってたぞ。それはパシリにしてるのと、いじめと同じだろ」
「ねぇ、久保。いじめって分かる?相手がいじめって思わなければいじめにならないんだよ?感謝してお礼も後で言うからいいじゃん」
俺のイライラは頂点に達して、目の前の女の子のほっぺを叩いた。
「お前らがそんな軽い気持ちだから思ってるから橘さんが辛い思いをするんだろ」
「痛った!何すんだよ!」「女の子叩くなんて最低」「男のクズね」
女子が俺に向かって言って来た。俺は全員を睨み付けるとその場から去った。
ぼっちであったからこそ、人の気持ちが分かる瞬間ってあると思うんです。そんな夢を叶えたくて書きました。