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パシリ

「久保君!ありがとう助かったよ〜」


 橘さんは汗を拭いながら僕にお礼を言った。


「ううん。俺も助けて貰ったしお互い様だよ」


 荷物を机に降ろして荷物の多さを改めて感じる。


「ところで、こんなに大荷物でどうしたの?」


 女子一人で運ぶには多いように感じる。男一人でも嫌なくらいだ。


「これはね、その……。あの……」


 橘さんの歯切れが悪い。何か隠しているように見える。


「橘さん」


「ひゃ、ひゃい!」


「何かあった?」


「い、いや!何も無いよ!ほんとに!大丈夫だから!」


 橘さんは首を横に振って何も無いと言う。でも、ぼっちだった俺には分かる。何も無い、大丈夫は大丈夫じゃ無い事を。人に心配をかけまいとする事を。僕がそうだから。俺だってこの状況になると大丈夫って言ってしまう自信がある。だけど、だからこそ、助けないといけない。ここで助けないと、後悔してしまうから。せっかく出来た友達を見捨てるなんてしたく無いから。


「正直に話して。何かあったでしょ?」


「……久保君にはお見通しなんだね」


 やっぱり。と心の中で思った。橘さんは教卓の椅子に座ると笑って言った。


「私ね、クラスの女子のパシリにされてるんだ」


「パシリ?」


「うん。私は買い出しの班になったんだけど、一緒に行く人いなくて、メンバーの皆は用事があるからって帰るんだ」


「それって……」


 大体そう言う奴はサボりたいから帰る奴の常套句だ。一人ならまだしも、全員用事は流石におかしいだろう。


「うん。分かってたの。買い出しに行ってる途中で、全員でお洒落な店に入って行くのを見たから。私以外全員同じタイミングで用事って言うのもおかしな話だし。でもね、いいの。私が一人で頑張ればいいだけだから。それで何もトラブルにならないのなら。だってトラブルにならなければ、久保君達と楽しめるでしょ?」


 橘さんはそう言って笑う。でも、心の底から笑っていないのは分かる。


「それで、橘さんはいいの?」


「うん。いいんだ。私にはぼっち部の人達がいるから」


 その言葉が僕に深く突き刺さった。確かに、僕もぼっち部の人達がいればいいと思ってる。でも、ぼっち部の先輩達が卒業したら?いつかは必ず卒業が来る。今はまだいいが自分達が三年生になったら?頼る人もいなくなり、拠り所が無くなってしまう。今はいいかもしれないが、後々困るのは明白だ。


「もし先輩達が卒業したらどうするの?」


「その時はほら!久保君がいるから」


「女子だけで行動する日が来たら?クラスが変わったら?」


「その時は耐えるよ。クラスが変わっても、私は久保君に会いに行くから」


 気持ちは嬉しい。とてつもなく嬉しい。でも、それだと駄目なんだ。それだと前と同じになってしまう。


「ごめん、俺用事が出来たから帰るね。先生が来たらプリントあるって言っておいて」


「え?ちょっと、久保君!?」


 俺は走って学校を出た。

5ヶ月ぶりの更新です。前の話を見返した時、やる気が出てますみたいな事を書いておいて5ヶ月経ってます。どうなってるんですかね。私のやる気。書いてて楽しいので更新をしません的な事はしませんが少しづつ更新することになります。許してください。ユルシテ……

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