お返し
「橘さんありがと。助かったよ」
先生の机にプリントを置いてほっと一息をついた。
「ううん。全然大丈夫。じゃ、私は買い出しに行ってくるね」
「うん。行ってらしゃい」
橘さんは俺に手を振ると教室を出て行った。
「文化祭の準備の割には教室に誰もいないな。皆買い出しとかかな?まぁ。俺的には人がいない方が楽でいいんだけど」
イベント事や居残りなどで残された時、1人で作業しているといつもは気にもしない人達に目を向けてしまう。こういう時前の俺は
「ここで話かけたら仲良くなるのでは?よし!勇気を出して話かけよう!」と俺以外に1人だけ残った女子に話しかけた所
「キモい。話かけないで」
と言われ、次の日にはクラス全員に広まり恥ずかしい思いをした。それ以降誰が残っていようと俺は空気になるようにして来た。パチッパチッとホッチキスの音だけが教室に響く。
「クラスの誰かと気まずい雰囲気でやらないから、俺にはこっちの方が向いてるのかな」
俺はこの言葉が出るあたりぼっちやってるなと感じ溜息をつきながらホッチキスでプリントを留めた。
外が夕焼けで赤く染まる頃、クラスの人達は皆バックを持って帰る人達が現れ始めた。まだホッチキスで留めていないプリントを見ると、すぐには帰れそうな量では無く、やっぱり貧乏くじを引いたとまた溜息をつくしか無かった。
「はぁ〜やっと終わった……。って、もう暗くなる直前なんですけど!?」
時計を見たら19時を回ろうとしていた。少し休憩を挟んだとは言え時間かかり過ぎだろ。どんだけあったんだよ。
「はぁ〜やっと帰れる」
背筋を伸ばして帰ろうと席を立った時、外で橘さんが重そうに荷物を運んでいるのが見えた。俺は急いで教室を出て橘さんの所に向かった。
「橘さん!重そうだけど大丈夫?俺も持つよ」
俺は橘さんが両手に持っている荷物の片方を取った。その時少し手が触れてドキっとした。
「はぁ、はぁ。あ、久保君。ありがとう。でもいいよ。重いでしょ?」
確かに女の子が運ぶにはちょっと重いくらいだった。それが2つともなるとここまで持ってくるのも大変だろう。
「重いから俺が持つんだよ。さっき橘さんもプリント運んでくれたでしょ?だからそのお礼」
「じゃあ、お願いするね」
橘さんはえへへと笑うと、元気を取り戻したのかスキップをするように歩いて行った。
最近この作品を書くのが楽しくなってます。多分ぼっちになってるからですかね。色んな所で。て事で次回もよろしくお願いします!