胸の痛み
「夢ちゃん大丈夫?」
私は久保君から逃げるように夢ちゃんのいる保健室に行った。
「まり先輩?どうして……?部活は……」
「部活なんて大丈夫だよ、どうせやる事ないし。久保君もいるから」
私は寝ている夢ちゃんの頭を撫でながら言った。久保君から逃げて来たなんて言えるはずが無かった。
「ふふっ、そうですね……。ぼっち部って何もしてないですよね。今更ですが」
「ぐっ。いいじゃん!だって私なんて運動出来ないし?友達いないし?だったら、学校で楽しんだ方がいいじゃん?」
「大丈夫ですよ。私は運動なんて部活でしたくないし、こうやって、私を心配して来てくれる友達もいるんですから……。少なくとも、ぼっち部の皆は友達だと思ってくれてる筈ですよ?」
「そうかな?こんなにワガママな部長だよ?」
私は、今まで、人を付き合わせてばかりだった。自分がしたい事を押し付けてるんじゃないのかと不安になる時も沢山あった。自分だけが楽しんで、周りの人は迷惑してるんじゃないかって。学校生活を楽しんで貰う部活の部長として、失格なんじゃないかって。
「そんな、ワガママな部長だから良いんですよ。ワガママで元気で、引っ込み思案な皆を引っ張っ行くまり先輩が。そうじゃないと、私とか絶対楽しいと感じなかったかもしれないですし」
夢ちゃんの言葉を聞いて、今まであった心のモヤが晴れた気がした。
「ふふっ、なんで倒れてた夢ちゃんにお見舞いに来た私が励まされてるんだろうね」
「ほんとですよ……これだからぽんこつな部長は……」
「ちょっと!今ぽんこつって言った!?」
「言ってません。多分聞き違いです」
「今絶対言ったよね?ねぇ!?」
「うるさくするなら、保健室出てっ貰ってもいいかな?」
「「あっ……」」
顔が引きつってる保健室の先生が目の前に居た。
「追い出されましたね……」
「うん。そうだね……」
保健室を追い出されて涙目をした私達が廊下に残った。すると突然ガラガラっと保健室のドアが開き、保健室の先生がこっちを見た。
「あ、夢さん。夢さんをここまで連れて来た久保千紘君にお礼言っておいてね」
「は、はい!……久保君が連れてきてくれたんだ……」
夢ちゃんの笑顔を見た時、私は胸がズキンとした。
「あ、そうだ夢ちゃん。久保君が家に来たかどうか聞いてきたんだけど、夢ちゃんにも聞かれた?」
私は思い出した様に夢ちゃんに聞いた。胸はまだズキズキと傷んでいた。
「あ……。それ、私です。私が行きました」
「そ、そうなんだ?久保君が探してたから、何かあったのかなーって思ったんだけど、何かあったの?」
夢ちゃんはキョロキョロと辺りを見回しながら誰も居ないことを確認すると、私の耳元で言った。
「まり先輩、実は私、久保君の事が好きなんです」
私の胸の痛みが更に増した。
お久しぶりです!2週間位また空いての投稿になりました。色々あって、更新が時々になっておりますが、これからも読んで頂けたら嬉しいです!