決着
俺と夢先輩は二人共向き合い、あっち向いてホイの真剣勝負が始まる。あっち向いてホイ。それは、じゃんけんで勝ち、更に4分の1の確率で相手が向く方向を当てなければならない言わば心理戦だ。俺はこの迫り来る緊張感を感じゴクリと息を飲む。
「「じゃんけんぽん!」」
俺がチョキで夢の先輩が、パー。じゃんけんは俺の勝ち。
「あっち向いて〜」
ここからがあっち向いてホイの楽しいところなのだ。当たるか、当たらないか。確率は4分の1。この駆け引きが俺をワクワクさせる。けどどちらかと言うと俺は指を向けられて4分の1当てられないようにするのがしてみたいからここは当てる訳にはいかない。
「ホイ!!」
俺が指を刺したのは上。夢先輩も上を向く。
「くっそぉぉぉ!!!!」
「なんで久保君がくやしがるの!?」
「もう1回!もう1回お願いします!」
「え……。私は逆に嬉しいんだけど」
「じゃあもう1回!」
「「じゃんけんーぽん!」」
俺がパーで夢先輩がグー。ここは外さなければ……。
「あっち向いてホイ!」
俺が指を刺したのは下。夢先輩上を向いた。よし!次こそ負ける!
「「じゃんけんぽん!」」
俺が出したのはチョキで夢先輩が出したのはパー。また勝ったよ!その後も俺は5回勝ち続け夢先輩をジト目で見た。
「夢先輩、じゃんけん弱くないですか?」
「うっ……。そうだよ。私じゃんけん弱いの」
なんてこった。夢先輩がじゃんけんで勝たなければ俺が指向けられること無いじゃん。ここに来てまさかの伏兵が……。あっ。そうだ!俺がわざとじゃんけんで負ければいいんだ。やば、俺天才。
「夢先輩、じゃあ俺はグーを出します」
「え、なに?急に心理戦も追加?」
「じゃあ行きますよ!」
「「じゃんけんぽん!!」」
俺はグー。夢先輩はチョキ。ん?チョキ?
「ちょっと夢先輩!なんでチョキ出すんですか!」
「え、だってグー出すと見せかけてパー出すのかと」
「ちがあぁぁぁう!!」
俺はもうイライラが溜まり怒りをぶちまけた。
流石にここまで負けに来てるのになぜ勝てないんだ!
「え、久保君は負けたいの?」
「そうですよ!その為に色々と手を加えたのになんで負けちゃうんですか夢先輩……」
「それって私に直接言って欲しいって事だよね……てことは久保君実は私の事……」
「夢先輩?今なんか言いました?」
「い、いや!何も言ってないよ?うん。空耳じゃないかな。あははー」
「よし、という事でもう1回しましょう!」
「いや、私はもう辞めとくね」
「え!?なんでですか!?」
「もうやらないって言ってるでしょーほら、勉強勉強」
くそ……。結局あっち向いてホイで指を向けられる夢が叶わなかった……。ところでなんで夢先輩急に辞めたんだろう?それだけが1番疑問に残った。
「いつか自分で言うね」
夢先輩は誰にも聞こえない声で言った。
どうもです!今回の話で夢先輩の心情は汲み取れたでしょうか?汲み取れなかった方、次回は夢先輩の気持ちを書こうと思っているので次回見てくださったら嬉しいです!(ちゃっかり次回の宣伝)