兄の威厳
俺はベッドで寝ながら考えている。
何故人は感情を持ったのだろうと。
感情を持つから嫉妬し、勉強や運動で勝てなかったら言葉で馬鹿にするか、その人におんぶにだっこで頼るばかり。それは感情があるからだ。
嫉妬さえしなければ、嫌だという気持ちを持たなければそんな事は無いのに。
ついでに感情無ければ恋愛感情も生まれなくなるから皆彼氏彼女いないしね。
……これだと人間すぐ滅亡するな。
なんでこんな事考えているのかと言うと、正直言って暇だからだ。ぼっちは遊びに誘われない為自然と家に居るようになる。家にいるとなんか考え込んでしまう。今ここだ。暇すぎて考え事をするとひねくれてる俺はどうしてもそっちの方を考えてしまう。でも、こういう事を考えるのは正直暇つぶしになるし、楽しい。
これが俺が1人で唯一時間を潰せる方法だ。これにハマるとずっと考えて1日経ったこともある。ふと気づいた時に頭をめちゃくちゃ使う為達成感もあるのだ。やろうぜ皆。
「はぁ……この部屋には俺しかいないのに誰に向かって言ってるんだか」
「私がいるけど?」
「うぉあ!!!なんだよいたのかよ千佳……」
「うん、いたよ」
俺の妹がいつの間にか俺の部屋にいたのだ。心臓止まるかと思った。
「因みに何処から……??」
ここは1番重要だ。最初から聞かれてるか聞かれてないか、これで俺のお兄ちゃんとしての生死が別れる。
「感情を持つから嫉妬し……の所から」
最初っからじゃねぇぇぇかぁぁぁぁ!!!
「終わった……」
俺は地面に膝を着いた。
「なにが終わったの?」
「え?なにがってそりゃ……。俺の兄としての威厳」
これだけは絶対守らなければならない。兄の威厳は大事だ。兄とは、妹に誇れる存在じゃないといけないのだ。
「元々ないよ?」
「終わった……」
兄としての人生を終えた俺だった。
「え?なに?威厳あると思ってるの?お兄ちゃんに?友達いなくてずっと家でゴロゴロして、出てくる言葉は進む言葉よりいつも否定ばかり」
グサグサ来た。めちゃくちゃ泣きそうになった。死のうかなって思うくらい。でも本当にその通りだからなんも言えないんだけど。
「でもね、お兄ちゃん」
千佳はすごく優しい目で言った。
「私はお兄ちゃんのそういう所、全部好きだよ?妹としてね?」
「千佳……」
俺は今度は嬉しさで涙を流しそうだった。
「だって今日みたいに買い物行ってきてって言ったら行ってくれるでしょ?」
「へ?」
「はい、メモはあるから行ってらっしゃい!」
そうかそうか……。俺はパシリなんだな……。
そう思いながらもちゃんと買い物に行きました。
今回は久しぶりと言うか2回目の妹の登場です!
まだ全然出てないので、これからもっと出していけたらなと思います!
次回もよろしくお願いします!