表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今までも、これからも。』  作者: 藤乃 澄乃
第11章 戻らない時間
86/110

親友宅にて(1)

 優柔不断だった僕も、やっとヤツ・・とのことに終止符ピリオドを打つことができた。

 ヤツ・・には申し訳ないが、お互いのためには良かったのだと思う。

 あのまま互いにごまかしながらずるずると日にちが経てば、きっと後で嫌な思いをするときがくるだろう。

 これでよかったんだ。

 もっと早くにこうしていれば……。

 いや、今だからこそきっぱりと言えたのだろう。

 優柔不断も卒業だな。


 ヤツ・・の家を後にし、夕暮れ迫る街並みを親友宅に急いだ。




 ひとつ心配ごとが片付いてもホッとはしていられない。

 残暑厳しい日曜の午後、久々に親友からきたメール。

 理由も告げずにただ『来てくれ』だなんて。アイツらしくない。

 学生時代とは違い、お互い仕事も忙しいし、親友には彼女ちゃんと子供ちゃんとの家庭もある。

 なのに突然家に来るようにだなんて。


 家を出る直前にヤツ・・から緊急だとの電話がかかり、ヤツ・・の家に向かったのだが。


 親友が僕に電話では話せないことって何なのだろう。

 彼女ちゃんとの間になにかあったのだろうか。

 なにか胸騒ぎがする。

 

 今まで僕は親友には助けられてきた。

 今度は僕が親友の力になりたい。

 



 大急ぎで親友宅に着くと、しびれを切らした親友が家の外をウロウロしながら待っていた。

 夕方と言いながら少し遅くなってしまった申し訳なさに、心が痛む。


 親友は遠目に僕を見つけるなり走って来た。


「遅いぞ!」


「ごめんごめん、ちょっとあって」


 まさかここでヤツ・・とのことを言うわけにもいかず、言葉を濁した。


「ちょっとって何だ」


 それを聞き逃す親友ではない。


「いや、話すほどのことじゃ……」


 話すほどのことではないというか、話せないよな。

 僕の優柔不断武勇伝なんて。


 そんな僕をしばらく見つめて少し怪訝けげんな顔をしながらも、切り替えた様子で親友は言葉を発した。


「まぁいい、話は後でゆっくり聞く」


 いや、話すつもりはないのだけど、とも言えずに「ああ」と頷いた。


 それを見て親友は駆けてきた道を家の方へと歩き出した。

 僕もその後をついて行く。


「さ、入れ」


 親友はそう言いながら僕を自宅に招き入れてくれた。


 僕は玄関で「お邪魔します」とひと声かけ、促されるままリビングのソファーに座った。



お読み下さりありがとうございました。


今話より『第11章 戻らない時間』に入りました。

次話「親友宅にて(2)」もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ