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『今までも、これからも。』  作者: 藤乃 澄乃
第8章 優柔不断
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優柔不断(4) 

偶然にも再会を果たした僕と彼女。

ふたりで夕食をともにすることになった。

 近くのお洒落なイタリアンレストランで、パスタのコースを食べることにした。ワインも頼んだけど、彼女は、グラス半分で顔を真っ赤にしている。やっぱり可愛い。


「ふふっ、このお店ね、高3の夏、親友クンと、彼女ちゃんと、あなたと私の4人で映画を見た後に、皆で食事をしたお店なの。楽しかったなぁー。ホラー映画を観てね、その話をああだこうだって。盛り上がったよね~。あ、高校生の時のことなんて、覚えてないよね」


「ああ、ごめん」


「いいのいいの。あなたのせいじゃないんだから。悪いのはあの事故、なんて。ふふ。その後、ショッピングや何やらであっちこっち連れ回して、男子はヘロヘロになってたよねー。あ、覚えてないか、ごめんごめん」


 どうしたんだろう。いつもの彼女とは違う気がする。


「大丈夫? 飲み過ぎじゃないの?」


「グラス半分しか飲んでないよ。あ、私がお酒弱いのも覚えてないよね。ごめんごめん」


 妙にはしゃいでつっかかってくる彼女に、少し違和感を感じた。


「どうしたの? 何かあった?」


「ううん、何もない」


「今日のキミ、ヘンだよ」


「ヘンじゃなーい」


「何か話があったんじゃないの? だから、ごはんに誘ったんでしょ」


「別に何も」


「いや、僕には解るよ。言いたいことがあるんなら、ちゃんと言ってくれないと解らないよ」


「ふっ、そんなこともあったわね」


「そんなこと?」


「いいのいいの、高校生の時の話」


 笑いながらそう言う。

 彼女は一体どういうつもりなんだろう。

 僕の記憶が戻っていないのを知っていながら、わざわざ高校生の時の話ばかりを引き合いに出すなんて。

 

 彼女らしくない。

 何か話があるんじゃないのか?

 

 本心ではすごく気になるし、彼女の気持ちを聞いてしまいたい。

 でも、言いだせない自分の方が本心を覆い隠す。


 まぁ、無理に聞かずに、彼女が話したいタイミングになるのを待とう。と自分に言い聞かせて。


 そうして妙な緊張感と違和感を抱きながら、いつもとは違う彼女の様子を見守ることにした。

 いや、今の僕にはこんな彼女を目の前にして、すべがないと言ったほうが正しいだろうか。


 そんな調子のまま食事は進み。


 コースも終わり、最後のコーヒーを飲んでいると、急に真面目な顔で彼女が話し出した。



お読み下さりありがとうございました!


食事の間中、様子がおかしかった彼女がついになにか話し出すのか。


次話「優柔不断(5)」もよろしくお願いします!


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