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『今までも、これからも。』  作者: 藤乃 澄乃
第7章 それから
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ちょっとした騒動(2) 

 案の定、雪が降り出した。

 「やっぱ冷えるね~」なんて、のんきなことを言っているけど。


 この3人は気づいているのだろうか。


 まあ、その時はその時のことと割り切って、今は母の美味しい手料理に舌鼓を打ちながら、この『イケメンボーイ』くんの観察でもするとしようか。


 って、僕はいつからそんな小姑みたいなことを考えるようになったんだ?


 妹が可愛いなら、妹の喜ぶ顔が見たいはず。

 それを彼氏のあら探しをするようなこと。

 それで、もし気に入らないところが見つかったらどうする気だ?

 兄貴面して反対でもしてみようか。


 ……まさか。


 いくらなんでもそこまではするつもりはない。


 だがしかし。


 やっぱり妹の彼氏……と思うとあまり嬉しくない。っていうのが本音かな。

 いつかはそんな日が来るとは思ってはいたものの、実際目の前に、まあまあいいヤツっぽい青年が鎮座しているのを見ていると、内心穏やかではない。


 これが結婚の挨拶とかだったらアレだけど。

 まあ、お付き合いの挨拶ということだから大目にみようか。


 もしもとんでもないヤツだったら問答無用で追い返すんだけどな。


 だがこの『イケメンボーイ』くんときたら、ちゃんと挨拶もできるし、礼儀正しい。

 母親や僕を立ててものを言うし、見た目も真面目そうだ。清潔感もある。

 冗談も通じるし話しやすい。

 話題も豊富で……って、いいとこだらけじゃん。


 まあ、今は猫をかぶっているのかもしれないが、それを差し引いても反対する理由が見当たらない。

 そんなヤツいるか?


 流石は我が妹よ。

 ちゃんといいヤツを見つけたんだな。


 まあ、僕には負けるかもしれないけど。

 って、それぐらいは言わせてほしい。



 昼食会も終わって、さあ食後のコーヒーでも、と母が席を立ったその時のことだった。


 インターホンが家人を呼び出している。


「はいはい。全くもう、こんな大雪の日に一体誰かしら」


 面倒くさそうにそう言う母。

 昼食前に降り出した雪は、リビングから見える庭にも積もりだしていた。


「ただいま」


 ……!


 聞き覚えのある声色が、室内に響く。


 母と妹は顔を見合わせて、一瞬固まったように感じた。


 その様子で全てを悟った『イケメンボーイ』くんは、緊張の面持ちで椅子に座り直す。


 僕?


 そんなこと予想してたよ。雪が降り出した時点でね。


 ゴルフはね、いくら天候を選ばないっていっても、大雪の時はクローズになるんだよね。

 え、知らなかったの?


 やっぱり3人は気づいていなかったのか。


 はあ、これはちょっとした騒動になりそう。

 外の天気と同じで、荒れ模様だろうな。


 そこへなにも知らずに父が……。



お読み下さりありがとうございました。


次話「ちょっとした騒動(3)」もよろしくお願いします!

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