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『今までも、これからも。』  作者: 藤乃 澄乃
第1章 オレはずっと
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本人には絶対に言わない(1)

 いつも同じ夢を見る。

 そしていつも同じところで目が覚める。


 いつからだろう、僕はずっと……同じ夢を見ていた。

 毎日いろんな夢を見ているはずだが、目覚める前は決まって同じ夢だ。




* * *



 目覚まし時計の凄まじい音で飛び起きた僕は、あれからずっと続く、

――全てが真っ白な世界――への訪問にもだんだんと慣れてきた。初めはあった多少の違和感も少しずつ薄れて、最近では然程さほど気にならなくなっている。

 というよりは、むしろ日常の一部になっていった。


 僕はいつものように身支度を整え、学校へ向かう。


 


 昼休み。

 弁当を食べ終わると、いつもふざけてばかりいる親友が、いつになく真面目な面持ちで口を開いた。


「ちょっといいか? 相談したいことがあるんだ」


「ああ、何だ?」


 何でも、彼女ちゃんの父親が、昨夜入院したらしい。怪我は大したことはなく、1週間程で退院できるとのことだが、父親大好きな彼女ちゃんは、ひどく落ち込んでいるので元気づけたい、と言うのだ。


 なるほど。あのいつも明るく天真爛漫な、誰もが『ちゃん』をつけて呼びたくなる、そんな元気いっぱいでポニーテールがトレードマークの『彼女ちゃん』が、今日は朝から少し元気がなかったのは、そういうことか。


 それなら「早速、明日にでも僕たち4人で出かけよう」と提案し、みんなで映画鑑賞をする、ということで話はまとまった。


 問題は、『何の映画を観るか』ということだ。もう夏休みだし、公開中の映画も多い。恋愛映画にアクションもの。ホラーにファンタジーにSFとバラエティーに富んでいる。どの映画も面白そうだし目移りするだろうな。


 まあ、みんなの意見を聞いて、明日決めよう。 


 でも女子はきっと、アイドル主演の甘~い恋愛映画を推してくるんだろうな。

 それだけは何としても避けたい。




 いろいろ思うことはあるけど、明日に備えて早く寝ることにした。


 部屋の灯りを消して、ベッドに身体を放り込む。ほどよい疲労感ですぐに眠れそうだ。

 

 今日も平穏な1日だっ……。







 『此処は……何処だ?』


 いつものように――全てが真っ白な夢の世界――で、僕は目を覚ます。白以外何も無い空虚の中で、1人たたずんでいる。


 前後・左右・上下全てが眩しいほどに純白で、足元には自分の影さえも無い。ただとてつもなく広い〈白〉の中で僕は、遙か向こうで誰かが、手を差し伸べているのに気がついた。


 恐る恐る近づいて、〈女神のようなその差し出した手〉を掴もうと、僕はそっと右手を伸ばした。


 すると……。



お読み下さりありがとうございます。


次話「本人には絶対に言わない(2)」もよろしくお願いします!

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