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『今までも、これからも。』  作者: 藤乃 澄乃
第4章 一目惚れ
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一目惚れ(1)

 夕方になり、買い出しに行っていた3人が帰ってきた。

 急に賑やかになった病室。楽しそうにいろとりどりのモールやなんかを使って、華やかなクリスマスらしい飾り付けをしている。壁やドアに色んなものを貼り付けたりして、まるで子供みたいだ。

 きっと僕を元気づけようとしてくれているんだな。


 少しすると看護師さんが入ってきて、僕の体温や脈拍、血圧などを測定している。


「楽しそうね。今日はクリスマスだものね。でも、患者さんが疲れるようなことはしないようにね」


「はーい」


 大きな声で満面の笑みとともに返事をする。

 本当にみんな子供みたいだ。


 親友と、彼女ちゃんと、もう1人……。とっても可愛いもう1人。


 誰なんだろう。僕好みの清楚で、とっても可愛い。サラサラロングヘアで、くりくりっとした澄んだ瞳。笑顔がとっても可愛い人。

 すごく気になる。


 これを一目惚れというのだろうか。


 前にどこかで会ったような気もするが、会ってない気もする。


 そんなことを考えていると飾り付けが終わり、みんなは満足げに眺めている。


 さあ、いよいよパーティーが始まる。

 ……といっても流石に病院なのでケーキを食べて、飲み物を飲んで、トランプをしたりベラベラ喋って盛り上がってみたり……というかわいいものだけど。




 そうしてみんなで楽しく会話をしていたけれど、とっても可愛いもう1人のことが気になって。

 何気なく言った僕の言葉で、場の雰囲気が一変した。


 そう、正しく凍りついたのだ。


「今日は見舞いに来てくれて、ありがとう。親友たちに付き合わされて、キミも大変だね。

 僕は嬉しいけど、折角のクリスマスだし、彼氏に叱られるんじゃない? 

 えっと、名前は……まだ聞いてなかったね」


「え……って、お前何言ってんだよ」


「何って、こんな可愛い人が、クリスマスに僕なんかのところに出入りしてたら、彼氏がヤキモチ焼くんじゃないかなって」


「はあ? 何つまんねぇ冗談言ってんだよ。ちっとも笑えねぇよ」


「冗談言ってる顔に見えるか?」


 僕は真剣な面持ちで、親友を見据えた。


 しばらくの沈黙のあと、〈可愛いもう1人〉が口を開いた。


「本当に私のこと解らないの? 名前も覚えてないの?」


「うん、前にどこかで会ったような気もするけど、会ってないような気もするし……。基本、キミみたいに可愛い人に出逢ってたら、僕は忘れることはないと思うんだけどなぁ」


「他のみんなのことはどうなの?」


「みんなのことは覚えてる。でもキミのことは、はじめましてとしか……」



お読み下さりありがとうございました。


次話「一目惚れ(2)」もよろしくお願いします!

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