表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今までも、これからも。』  作者: 藤乃 澄乃
第3章 大切な人
26/110

大切な人 

 彼女とのデートのプランを考えていると、あっという間に1日は過ぎてしまう。もちろん仕事はちゃんとこなしている。一生懸命に取り組んでいる。が、しかし、ふとしたときに考えてしまう。

 彼女の楽しそうな笑顔を見たいがために、仕事の合間に、そう合間にちょっとだけ。


 ヤツ・・とは10月の本配属で別々の部署になり、それ以降は以前ほどには顔を合わさなくてすむようになった。

 ある意味、少し平穏な日々を取り戻しつつある。


 


 10月には街を歩いていても、大小様々なかぼちゃのオブジェに目を丸くしていたが、11月に入ると途端に街は静まりかえる。


 クリスマスまでの休憩とでも言おうか。

 年々イベントのCM時期が早まり、間もなく大きなツリーがお目見えすることだろう。


 明日のデートのプラン。ああそうだった。今の時期はあの山に行ってみようか。

 くれない黄金こがねに染まる空、いやアーケードのような紅葉もみじ

 観光客で賑わうその山は、地元の僕たちは案外行かないもので新鮮さを感じる。


 最寄りの駅から土産物屋を見ながらゆっくりと歩けば、目的地の紅葉に彩られた滝までは30分ほど。途中に洒落た喫茶店などもあり、疲れたら休憩もできる。


 また、ドライブウェイコースもあり、名所である滝には車で行くこともできるのだ。






 僕たちは帰りのことも考えて、車で上ることにした。約10分、くねくねと曲がりくねった山道を慎重に運転する。駐車場に車を止めて、そこから階段を降り、観光用のパンフレットの表紙にもなるほどの、手前の紅葉が迫り来るような迫力の滝の前に佇む。

 圧巻である。


 他の観光客に頼み、写真をパチリ。


 滝の近くの茶屋で抹茶と和菓子を注文して、すっかり和の雰囲気を楽しむ。

 それから近くの出店で『焼き栗』と『焼きぎんなん』を買ってベンチで食べることにした。


「秋だなぁ」


「ほんと、綺麗ねぇ」


 なんて言いながら。


 僕は彼女との時間を大切にしたいと、いや、これからもずっと大事にしていきたいと思った。

 物の見方、価値観が似ているということはもちろんのこと、たとえ考え方が違っていたとしても、お互いの想い、感じ方を尊重し合える関係。心地良い距離感で、一緒にいてくつろげる。僕にとっての彼女はそんな存在だ。


 心から大切に想う、想える人だ。



 これはずっと以前から考えていてことだが、なかなか一歩前に踏み出せない自分がいた。

 でも、今は違う。


 やっと決心したんだ。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ