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『今までも、これからも。』  作者: 藤乃 澄乃
第3章 大切な人
23/110

告白記念日(1)

 目覚まし時計の凄まじい音で飛び起きた僕は、身支度を整え、会社に向かう。

 今日こそ平穏な1日になりますように。



 いつものようにいつもの如く駅まで歩き、満員電車にゆらり揺られて。

 やっとのことで会社に着くと……やっぱり満面の笑みを浮かべたヤツ・・が来た。


「おはよう。今日もよろしくねぇ」


「はいはい、おはよう」

 

 何を言われても特に言い返すこともせず、適当に話を合わせてその場をやり過ごす。

 毎日毎日懲りもせず言い続けたヤツ・・こん負けしている。

 もう最近は、半分ヤケクソだ。


 それでも時間は過ぎてゆくわけで。




 朝礼後、部長から発表があった。

 今年の新入社員で、男女ふたり一組になって、部内プレゼンをするように。その出来映えによって、10月からの正式な配属先が決まる、とのことだ。

 早速、そのペアを決めるべく、くじ引きが行われた。


 ヤツ・・とだけは一緒になりませんように。他は誰でも、文句はいいません。

 目をつぶり心の中で願をかける。


「これだ!」

 

 勢いよく、くじを引いた。


「何番だ?」


「2番です」


「2番の女子、2番の女子は誰だ?」


 上司の問いかけに、ドキドキしながら周りを見渡した。


「はぁーい、私でぇーす」


 この声、この口調。

 ま、まさか……。


 声の主の方へ目をやる。

 ……やっぱり。


「ほ、本当に2番か? ちょっと見せてみろ」


 そう言って、手に持っていた紙を見ると……た、確かに2番と書いてある。


 うそだー、誰か嘘だと言ってくれ、しくは夢だと……ううっ。


「ねぇ、ちゃんと2番って書いてあるでしょう?」


「た、確かに」


 同じ部に仮配属された新入社員は、男女10人ずつの計20人だ。女子は10人もいるのに、なんで選りに選ってヤツ・・なんだ!

 ただの偶然か、はたまた誰かの陰謀か、それとも僕の日頃の行いが悪いのか、ただついていないだけなのか……。


「はあぁー」


 特大のため息をついた僕に、同期がニヤニヤ笑いながら近づいてきた。


「お前ついてるなぁ、がんばれよ」


「嫌味か! で、お前はどうだったんだ?」


「俺は5番。ミス新入社員ちゃんだ」


「ほぉー」


「俺、緊張して、仕事手につかないかも。ムフフ」


「ムフフって、お前彼女いるだろ。ヘンな気起こすなよ」


「それとこれとは別」


「浮気心だすなよ!」


「はいはい。お前は堅物だなぁ」


「普通だよ。さ、仕事、仕事」





 そんなこんなで、ちょっとバタバタしながらも、今日も無事に仕事を終えた。


「お先に失礼します」


「お疲れ様でした」



 今日は、彼女とディナーの約束。はやる気持ちを押さえつつ、会社を後にする。

 だが外に出ると、そこにはひとつの人影が待ち構えていた。


 

人影って……。


お読み下さりありがとうございました。


次話「告白記念日(2)」もよろしくお願いします!


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