『此処は……何処だ?』
―全てが真っ白な世界―で、〈女神のような差し出した手〉を追いかける夢を、毎日見ている。
『平穏な日々を送りたい』と願う主人公が、なかなか平穏にはいかない日常と格闘しながら、大好きな彼女と幸せになれるのか……。
ラブラブだけどじれったい、甘くてちょっと切ない物語です。
登場人物には、敢えて名前を付けていません。
最後までお付き合い下さると嬉しいです。
いつも同じ夢を見る。
そしていつも同じところで目が覚める。
いつからだろう、僕はずっと……同じ夢を見ている。
『此処は……何処だ?』
いつものように――全てが真っ白な夢の世界――で、僕は目を覚ます。
白以外何も無い空虚の中で、1人佇んでいる。
前後・左右・上下全てが眩しいほどに純白で、足元には自分の影さえも無い。
ただとてつもなく広い〈白〉の中で僕は、遙か向こうで誰かが手を差し伸べているのに気がついた。
恐る恐る近づいて、〈女神のようなその差し出した手〉を掴もうと、僕はそっと右手を伸ばす。
……そんな夢をいつも見ている。
〈女神のようなその差し出した手〉を、僕は今日も追いかける。
顔も見えないはずなのに、どこか懐かしく、僕に安らぎを与えてくれる。
顔も見えないはずなのに、その笑顔は、とても美しく感じる。
……でもその後ろ姿は、どこか哀しそうに見えた。
放っておけなくて、僕は追いかけた。ただひたすら走り続けた。
もうすぐ。
もう、すぐそこなのに。届きそうで届かない姿を追い続けた。
いつからだろう、僕はずっと……同じ夢を見ている。
そしていつも同じところで目が覚める。
目覚まし時計の凄まじい音で飛び起きた僕は、いつものように身支度を整え学校に向かう。
平穏な1日が今日も始まる。
読んで下さって、ありがとうございます。
どうぞ、これからもよろしくお願いします。
第1話「平穏な1日」は本日お昼過ぎに更新します。