THE04ー魔法発動ー
ー翌日ー
今俺は母と魔法教師エリスタット・カイヤナイト(通称エリス)と姉エイシャの4人で馬で家から30分程行った広い野原に移動した。
俺は母と、エイシャはエリスと馬に乗って向かったが・・・初めてエイシャが羨ましいと思った今日この頃である。
目的地に到着して俺は母とエリス達から少し離れた所で魔法を習う事になった。
理由はエイシャの誤発射を防ぐ為との事だが、おそらく俺をエリスから離す為であろう・・・
昨日の俺の失言から母はエリスに敵対心を抱いているようなのだ。
「それじゃあお勉強を始めましょう。
まずはママがお手本を見せるからよーく観ててね。」
「はいっ母様!」
母は俺から少し距離を取り肩幅程に脚を開き両手を前に突き出す。
母は何やらブツブツ物凄い早口で何を言っているかわからない、すると、母の美しい金髪は徐々に逆立ち、手の前には卵程の大きさだった炎がどんどん肥大していきいまでは母より数倍巨大な炎の塊がそこにはあった。
後ろからエリスが青い顔をして走ってきて俺をガバッと覆い被さるように抱きしめてくれた。
「「っ!?」」
「ヘル・フレア」
母が呪文口にした途端巨大な炎は一気に野球ボールサイズ縮小し甲高い音を立てて空に飛んで行く、そして爆音と共に凄まじい衝撃波と熱風が俺に届く。
おそらくエリスが居なかったら吹っ飛ばされていたであろ。
そして、目の前にはまるで空にどこまでも広がる激しい炎のマントを纏い逆立つ金髪の怪しく光る眼でこちらを見ている母がいた。
「ふー・・どうだった?ママの魔術は?
エリス私のリュークから離れて!」
「す、すごいです」
俺はポカンと開けた口からしぼり出す様に母に感想を言う。
「奥様っ!あんな大魔法をこんな至近距離から放ったらあぶないですっ!!」
ゆっくり立ち上がりエリスが母に注意している。
「大丈夫よっリュークは私の子供なんだからっ!」
母様、意味がわかりません。
「それじゃあ次はリュークの番ね。
昨日渡した本は読んできたかしら?」
「はいっ!
では、いきますっ!」
先程の母の様に、姿勢をとり、生まれて初めての詠唱を唱える。
「古より眠りし龍脈よその片鱗を貸し与えたまえ我は願う、ファイヤーボールッ!」
詠唱していると、目の前に急にメニューが表示されさらに詠唱していくと一つずつ進んでいく
最終的には後は魔法を唱えると、確定して発動された。
あっ思って居たよりも簡単なのかも知れない。
と思っていると後方から大笑いしながら、エイシャが寄ってきた。
「アハハハハッ!
何よその詠唱はっ!
やっぱりあんたには魔法の才能はないわね!
見てなさいこれが天才の魔法よっ!」
自分を天才と言い切ったな・・・
すると母と同じく理解できないほど早口で1秒かからずに魔法を発動させた。
「ファイヤーボール!」
しかも俺に向かって・・・
俺は近くに落ちて居た枝を拾い昨日の様に火の玉をあっさりと否した。
昨日は突然で自分でも驚いたが今日は自然と身体が動いてくれた。
「チッ」
舌打ちをして踵を返しエイシャは戻って行った。
「リュークは本当に剣術も上手なのね!」
いやいや、それより母よ娘に人に向けて発射するなと注意してくれ。
エリスは目が点になっている。
おそらく回復魔法があるから多少死にかけても大丈夫とおもっているのもしれないな。
「それじゃあリューク、次は自分の限界を知る為にたくさん発動させるか、1番強そうなのを発動させてみなさい。
限界を間違えると後々大変な事になるからね」
「はいっわかりましたっ!」
さて、物は試しに詠唱した時と同じ要領で・・
やはり詠唱しなくてもメニューで魔法を選択して発動は名前を唱えるだけっぽい。
あれっ?こんな魔法あったかな?まあいいとりあえず1番下のをっと
先程の体制で手を空に向けて
「エグスプロージョンッ!」
「「っ!?」」
次の瞬間、空は紅蓮の焔で包まれ中心では渦を巻いている。
そして一瞬にして中心に集まり目を覆う程の閃光に包まれそしてとてつもない爆発音と母の時より遥かに凄まじい衝撃的波と爆風に俺は後方ゴロゴロと飛ばされて居た。
俺はうつ伏せで倒れていたが目を開けるとそこは薄暗く、とてもいい匂いがした。
そして状況が確認できた。
どうやら俺は運良く転がった先はエリスのローブの中であった。
エリスは尻餅をつきいわゆるM字開脚状態のローブの中に俺は居た。
それよりもラッキー・・
いや問題なのがなぜか、ノーパンなのだ・・・
まぁそうゆう趣味なのかも知れないが・・・
「イテテッ・・ホエッ!!??」
どうやらエリスも状況を把握できたようだ、ローブと脚を勢いよく閉じたが、俺の頭もろともなので更に状況は悪化してしまった。
その後、エイシャの飛び蹴りにて俺は花園からの脱出に成功するのだが、蹴りの所為か鼻血が、止まらない。
母はエリスに仁王立ちでお説教中だ。
エリスは顔が真っ赤で正座している。
エリス、本当にごめん、そしてありがとう一生忘れないよ。
なんでも、下着は今朝全て洗ってしまったのでローブで見えないからいいかと言う理由だったようだ。
その後、それぞれ落ちつき、空には雲が全て吹き飛ばされて所々に未だ燃えている・・・
「それにしても、リューク今の魔法はなんだったの?」
「そうですっ!
私も初めて見聞きした魔法でしたよ!?」
「チッ・・・目立ちやがって・・・」
お前ろくな勇者にならないぞ?
母とその後に手で押さえ退かされているエリスは俺に聞いてきたが、俺も今日まで気が付かなかった魔法なのだ。
ここは・・・
「わかんないっテヘッ?」
どうだっ!最強魔法4歳の満面の笑み!
「「・・・」」
「ケッ!」
「「可愛いぃー」」
「ブッ」
俺を抱き締められたのは母だけだった、エリスは母に蹴り飛ばされていた。
その後、色々と初級から中級、上級と魔法を全て使い終わった所で母は目を輝かせて俺に頬ずりしている。
エリスとエイシャはは目を点にして口をパクパクと驚きを隠せずにいた。
「リュークは本当にすごいわね、さすがママの子よーもうママ教えられる事なくなっちゃったわ!それに、全て無詠唱なんて、すっごいわ!天才よ!」
「わ、私も、教えられる事がもうありません・・・申し訳ございません」
「じゃあリュークは魔法卒業ねっ!」
「えーーーーーーーーー!?
なんで、リュークだけ!」
「貴女はこれから私とエリスでビシッバシッ教えてあげるわ」
母はちょうど俺に背を向けてエイシャと話しているが、エイシャの顔はみるみる内に蒼ざめていきガクガクと震えだしていた。
それを見て俺はほくそ笑んでいる。
そしてあの技は今後2度と使わないと心に決めた。
すると、エリスがチョンチョンと肩をつっ突いてきた。
振り向くと顔は耳まで真っ赤に染まっている。
「そ、その、今日の事なんですけど・・・
できれば、忘れてください、ねっ?」
か、か、可愛いーと心で叫んでいた。
「あ、あれですね・・・わかりましたっ!」
するとエリスはパァと笑顔になりエイシャと母の元に走りだそうと踵を返した時、風でローブがめくり上がり可愛い桃ちゃんが俺の眼前で露わになった。
「キャッ!」
とエリスはローブを押さえこちらを見てくるが俺、頭と手をブルブルと必死に訴えた。
今日は人生で1番いい日だなと思うつつ母と馬に乗り家に向かうのであった。