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カースト最底辺からの成り上がり  作者: けんもも
第五章 龍族編
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後の世界へ

そんな日々を過ごしていた。洋子達を迎え入れて4日目また魔大陸で人族の集団を見つけた。


「リュウザキ様、この反応は人族ですよね?」


上位スキルの隠密スキルを取って、索敵スキルを上位スキル「探知」にするために、先行チームとして彩をリーダーに先に進んでいたチームに入っているメイリンから念話が入った。現在、彩、アリス、ミミ、リリアナ、カミラの5人に2、3名ずつ分かれてチームを作って、個別にレベル上げとスキル上げを行っている。

俺とか彩などは気付いていたけど、彼女達が気付くかどうか練習をさせていたのだ。


「でも反応が微弱だよ。何か隠蔽している?」


「地下にいるんじゃない?」


「みんなよく気付いたね。これは土魔法で周囲を囲って隠れているんだと思うよ。この距離で気付ける様になったのなら大したものだよ。この系統のスキルは意識して働かせることでレベルが上がるからね。こうして実地に中で繰り返すことでレベルが上がるし、その分自分の身を守る武器になるからね。」


「「「「「「はい」」」」」」


14名がハモって返事をするけど、合唱のように心地いい返事。練習でもしてるのかな。


「さて反応は間違いなく人族だよね。この先どうする?」


「中の人の様子の情報を把握できる位置まで進みます。リュウザキ様の服従魔法が掛けられているかどうかは認識できますし、場合によってはもっと情報を得られるかも知れません。その上で判断していいでしょうか?」


「うん、いいよ。じゃあ全員隠密もさらに意識してね。中の人にこちらの存在を絶対に悟られないように。」


その後、周囲を警戒しながら、土魔法をかけれれている洞窟の傍までやってきた。


「服従魔法の反応はありません。全員女性?。身長が低いよね。」


「もう少しレベルが上がれば声が聞こえるようになるかもしれないね。さて、現状の情報でどうする?」


「周囲には他の反応がありませんし、状況からすると中の4人で孤立しているのだと思います。事情を聞いた上で、助けるか援助したいと思います。ただ私たちのクラスメイトである可能性がありますし、私たちでは冷静に判断できないかもしれません。リュウザキ様、中の確認よろしいでしょうか。」


「正解よ。拓哉の言ったとおりね。じゃあ、拓哉、集会場の方にゲートお願い。丁度お昼だし、私たちは向こうで待機してる。」


「了解。じゃあ、俺が言ってみるね。」


皆をゲートで送り出した後、俺は一旦土魔法を壊して、洞窟の入り結界と空間位相で洞窟の入り口を封鎖した。


「驚かせてごめんね。反撃はしないでね。」


「その声は、リュウザキ様?」


「リュウザキ様、どうしてここへ?」


「入り口の土壁が壊れてた?すぐに補強しないと。」


「メイメイ、今は無理だよ。魔力回復してないでしょう?」


「あー入り口の土魔法は完璧だったよ。問題ない。今は俺が結界張りなおしたからさらに問題ないかな。それでなんでここにいるの?」


「はい。私たちは教皇の指揮のもと大陸からの脱出経路を探すと言うミッションを受けたんですが、途中で魔物の群れに襲撃されて一緒にいた騎士の方々は皆倒されてしまいました。それで、生き残った私たちだけで逃げてこの洞窟を見つけて避難したんです。」


「それで教皇はどこにいるの?」


「始まりの平原の先の山の中の洞窟です。私たちも一緒にいたんですが、教皇がこの方向に脱出経路があると精霊様から神託を受けたと言って、10名のチームを組んで送りだされました。」


「でも最初に送られたチームも同じこと言って送り出したのに、反応がなかったよね。」


「ファン、あなたまだ教皇のこと信じてるの?」


「まさか、最初にリュウザキ様がこの大陸の脱出経路はないって言ってたし、教皇は信用してないわよ。でも騎士団の人たちを見捨てる訳にもいかないでしょう。実際、私達より戦闘に慣れているはずの騎士団の人たちだけ先にやられちゃってるし。」


「やっぱり、メイ達と一緒に始まりの平原に残ってたらよかったんだよ。」


「それは言っても仕方ないよ。聖剣と聖槍使えるの私達しかいないんだし、騎士団の人、見捨てられないでしょう。」


「だから私達で教皇さんを処分しちゃえばよかったんだよ。支離滅裂だったじゃん。その後、完全に隔離されて質問できなくなっちゃたし。」


「仕方ないよ、騎士団の人たちは教皇を守るのが仕事だし、急に意識は変えられないよ。」


「えっと、事情は何となくわかったけど、それでこれからどうするの?教皇のとことに帰るの?」


「申し訳ございません。リュウザキ様のこと忘れてました。暗いので自分達だけいる気になってました。」


「あー明りでも点ける?」


「多分、私達酷い恰好をしているので出来れば暗いままで。」


「浄化魔法で綺麗にできるよ。顔見て話した方がよくない?」


「「「「よろしくお願いします。」」」」


暗くても俺には見えてるんだけどね。言うほど酷くないけどそこは女の子ってところかな。俺は浄化魔法をかけた上で、ライトの魔法で辺りを照らした。薄暗い洞窟が一気に真昼になった感じだ。


「まあ、まずこれでも飲んで、少し話を聞かせて。」


俺は特製の回復薬入りの柑橘系ジュースを氷魔法で冷やしながら皆に渡してあげた。


「「「「おいしい。冷たい。」」」」


お代わりいるならって言ったら皆コップを差し出してきたので注いでやった。


「それでさっきの質問だけど、これからどうするつもりなの?」


「私たちはこのまま教皇と一緒にいる人たちから離れて、この大陸で戦っていこうかと決めてました。騎士団の方がまだ残っているのでその点は気がかりですが、教皇国への義理は果たしたと考えています。」


「でも、クラスの皆が残ってるよ。」


「だから何度も言ってるだろう。あの子達は多分ダメだよ。リュウザキ様のこと、心から信用してない。聖精霊の使徒ということに酔ってるとしか思えないよ。」


「うん、そうだけど、もう一度話せば解って貰えるんじゃないかな。」


「リンは甘いよ。あれ程言ったのに、あの場所を離れようとしなかっただろう。今回のミッションだって、多分教皇に忠誠を誓ってない人を追い出すための作戦だと思ってるよ。」


「そんな酷いことする訳ないよ。・・・多分。」


「もう忘れたの、私たちは一度あの教皇に騙されてるんだよ。もしリュウザキ様に首輪を外して貰ってなかったら、今もあの教皇の駒のままだったんだよ。それに遠征に出るのにHP薬やMP薬渡されないでしょう。私達が魔法職じゃないからって異常だよ。」


「うん、そうなんだけど、信じたくないって言うか。」


「リン、あなたのその性格は美徳ではあるけど、それで危ない目に会ったでしょう?私達が気付かなかったら、今頃あのナンパ師にいいようにもてあそばれてたよ。」


「うん、ありがとう。」


「だいたいあなたは、19歳にもなって、お子様なのよ。」


「えー胸は一番大きいよ。」


「む、胸はいいのよ。有っても剣を振るのに邪魔になるだけだし。」


「えーそんなことないよ。リンは邪魔にならないよー。」


「あなたたち、リュウザキ様がいらっしゃること忘れてないわよね。」


「「申し訳ありません。」」


「あーいや、慣れてるんで問題ないですよ。それでここにいる4人は、自分達でこの大陸で生き残っていくことを決めたってことでOK?」


「はい。今さらですが、はじまりの平原に戻って、あそこに残っている人たちが許してくれるなら合流したいと考えています。ダメでも自分達で何とかします。」


「でも方向とか解らなくなってるよ。」


「とにかく西に向かえばいんじゃない。大陸の西端なんだし。」


「そうか、じゃあ、取り敢えず、ここに入って。」


俺は集会場に通じるゲートを開いた。

集会場には、食事の準備をして皆で待っていた。


「ここは?あれ?みんななんでいるの?」


「久しぶり、リン、ファン、メイメイ、メイリン。まず靴を脱いで。ここ土足厳禁。」


「あ、うん。ってこれはどういうこと?」


「まあその辺りは食事をしながら話そうか。お腹空いてるでしょう?」


「「「「「はい」」」」」


ん?何かミミの声が混じってたような。すっかり定位置の俺の膝に乗ってるけど。

その後お互いに状況を確認しあって、午後からは探索はお休みにして、自由時間にした。でも日本人グループが是非、魔大陸の訓練に行きたいって言うので、中国人グループを残して夕方まで探索した。


「もしかして、皇帝と一緒に行った人たちを探してる?」


俺がストレートに聞いてみると、


「はい、もしかしたらまだ戻りたい人が見つかるかも知れないって思って。済みません。」


「俺が皇帝なら、あの平原から山脈に入ると思うよ。俺の話を信じなかったとしてもあの場所が大陸の西端であることは想像しただろうし、元々山脈ルートで大陸は繋がっていたしね。」


「しかし、山脈には竜が。」


「うん、いるよ、結構たくさん。東大陸側と西大陸側の平野部には出れないように結果は張ってるけど、自分達が山脈に入るなら襲われるだろうね。尤もその先には多重結界があるから絶対に大陸を横断できないんだけどね。痛い目をみないと理解できないのかもね。」


「それじゃあ、救援は無理でしょうか?」


「今の彼らのレベルだと瞬殺だろうね。ただ、別方面に向かっているかもしれないし、この前みたいに捕らえられてるかもしれないしね。」


この後、その日の夜新しく来た4人もハーレム要員に加わった。仲間にいろいろ情報を聞いて、実際に自分達より武術のスキルが上がっているのを模擬戦を通して理解し、聖剣や聖槍として渡されていた自分達が使っていた武器が、すでに俺のハーレムに入っている人に渡されていた武器と比べて、性能や威力で格段に劣るものであることを認識させられ4人同時でもいいから是非と言う必死のお願いだった。今回はいつも冷静なメイリンも率先して自分達の初めてを貰って欲しいと迫ってきた。勿論それぞれの望む形で頂いたけどね。十分に時間をかけて。


これで、教皇国出身12名、帝国出身6名となり、その内12名ずつになるんじゃないって話してたら数日後には現実になった。

宿舎は出身に関わらず、武力系のスキルをメインに鍛えたいグループと、魔術系のスキルを鍛えたいグループに分かれて、両側の個室に入るようになり、宿舎の位置関係から最終的に、ノースグループ、サウスグループと呼ばれるようになり、ノースグループはこの地の治安を、サウスグループは集会場を発展させた神殿と呼ばれる場所の管理を担当することになる。


計ったように、彩が妊娠し、順次妻達が妊娠出産していく。妻達が第二子を産む頃には、他のハーレム要員達24名も順次出産し、生まれてくる子供達は全員、クラス「E」の「龍族」という新しい種族になった。

またテンバの国はその後大きく発展し、周囲の大陸から遮断し山脈内の結界に入れ独自の発展を遂げるようになる。尤も龍族とは直接交渉はないけど、時がたち俺のことを龍神として信仰するようになっていくのは俺が死んだ後の話だ。俺と俺の妻達がこの世界を去る時には、出来る限りのことはしたつもりだ。魔族大陸側もいくつかの集団が出来始めてるし、西大陸でも3大国時代は終焉し、群雄割拠の時代になっている。魔物の数も随分と減らした。俺の死後この惑星が今と同じように本来の持ち主であるやつからの干渉を受けないように、世界中にある8つの古代遺跡に魔力が還流するように、精霊信仰と結び付けて信仰心をキーに魔力還流するようにシステムを設定した。その時点で他種族より多少優秀であった種族に、各精霊神殿の守り手となるようにも調整した。最終的には種族ごとに好きな精霊信仰を出来るようにしたから、将来的には上手くばらけてくれると考えた。それまで5つに分かれていた属性を、聖、氷、火、水、風、雷、土、闇の8精霊属性に設定しなおしたのは古代遺跡の数に合わせたからだ。本当はこの世界に認知されている5つの精霊に分類した方が受け入れやすかったと思うんだけどね。


俺の死後、この古代遺跡に人が来ることはないだろう。少なくともクラス「D」以上の者でないとこの施設には入れないし、俺が設定したシステムを変更できないからね。この惑星では到達できないと考えている。それに冒険者ギルドが持っていた水晶板の機能も使えないように設定を変えたので次第にステイタス自体廃れて行くと思う。人が生きて行くのに余計な知識は持たない方がいいと思う。知ることで苦しむのは俺だけで十分だ。

後はこの人工知能が上手くやってくれるだろう。数十年常に膨大な魔力を受け続け自らの進化を遂げたこいつに後のことは任せた。俺や俺の妻達の意思をうまく汲んでこの世界を守ってくれるだろう。老化遅延の魔法で俺を含めて龍族の者は見かけ上は若いままだけど、寿命を延ばす魔法を作れなかった。人工知能に託しているからずっと先には完成しているかもしれない。


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