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カースト最底辺からの成り上がり  作者: けんもも
第二章 ガノ王国編
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調合

「タクヤ様、今日の換金の明細と、こちらが冒険者カードです。A級に昇格されました。それで流石に異例なことですので、お時間がある時にギルドマスターがお話をお伺いしたいとのことです。よろしくお願いします。」


流石のお姉さんも顔が引きつってるなぁ。見かけ4人の子供のパーティーだしね。3人は美少女(美幼女)だしな。


「えっと特にお話しできることはありませんけど。」


「勿論、冒険者の方々の能力や戦い方については一番の秘匿事項ですので、冒険者ギルドとしてもそのようなことを詮索したい訳ではありません。」


「迷宮はここだけではありませんしね。」


その一言でお姉さんの顔が青くなった。意地悪をしたくはないけど、余計なトラブルとか余計な注目を浴びたくないしね。でもいつもよくしてくれるし。


「尤も、俺としてはこちらの迷宮をもっと探索したいと考えていますし、手に入れた素材をまとめて引き取ってくれる冒険者ギルドに買い取りをお願いしたいと思ってますが。」


昨日の糸の購入代金をみて、恐らく冒険者ギルドがドロップアイテムを市中に流す際に結構な額の中間マージンを抜いてると推察したのだ。恐らく商人へ直接卸せばもっとお金をもらえるに違いない。大量にレア素材を持ち込む俺達は、この冒険者ギルドにとって逃したくない冒険者だと判断しているはずだ。さっきの脅しで余計な詮索をするのを止めてくれればいいけど、ダメならこの街を出て他の街に行くだけだ。


「失礼しました。お忙しいところお時間をとらせてしまい申し訳ございません。」


なんとか立ち直ったお姉さんが、なんとか笑顔を作ってそう言った。


「ところで、調合とかやっているところでお勧めの場所とかありますか?できれば見学とかもやりたいんですが。」


「調合ですか?それでは当ギルドで契約している調合師を御紹介します。あの、薬剤の販売は当ギルドの2階でも行っておりますので、そちらもご利用下さい。」


「解りました。薬剤を購入する際には、2階の販売所で購入したいと思います。」


直接取引を警戒してるのかな?それでも契約の調合師を紹介してくれたのは俺に気を使ってくれたんだろう。


その後、教えられた調合師の店に行ってみた。彩とアリスも興味があるみたいで一緒についてきた。ミミは夕食を作りたそうだけど、調合にも興味があるようだ。


「ごめんください。冒険者ギルドから紹介されてきたんですか。」


「はい、いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか?」


「あっ、調合に興味がありまして、こちらで作っている薬品とか、可能なら調合を見せて頂ければと思いまして。」


「それは構いませんが、調合を学ぶなら正式に調合師の所で修業しないと身に付きませんよ。」


「はい、それは承知しています。ただ知りたがりな者で、ギルドの方で一番腕がいい調合師さんだと紹介されたので、調合の現場を見せて頂けないかと思いまして。」


「そうですか。冒険者ギルドにはお世話になってますし、狭いところですがどうぞご自由にご覧になって下さい。ちょうど今回復薬を調合しているところですがご覧になりますか?」


案内された場所には、いろいろな材料が置かれていて、大きなつぼを使って調合を始めるところだった。


「材料を合わせれば出来るって物ではないですが、大切なのは素材を正確に合わせることです。調合レシピについては申し訳ありませんが一子相伝になっておりましてお教えできませんが。」


「勿論です。ところで、こうした調合の器具と言うのは特殊な物なんですか?」


「とくに特殊な器具はありませんよ。強いて言えばこうした秤や正確に水を測る升ぐらいなものですね。調理器具屋などに売っている物ですよ。調合は料理に通じるものがありますし。」


「そうなのですか。料理と調合は相通じるものがあるのですね。」


ミミが反応してる。本当に料理が好きなんだなぁ。今夜料理スキルを上げてやるかな。


「お客さん、興味があるようだね。この中古の器具でよかったら持っていってくれ。使ってないものだけど、十分に使えるよ。」


「それは、申し訳ない。では、いくつか後学のために薬品を購入させて頂きます。あー冒険者ギルドには内緒にして下さいね。」


「気を使わせて申し訳ない。さてそろろろ変化しますよ。」


おしゃべりしながらもかき回していた調合薬の色が変わった。少し赤みがかった紫だ。


「これが回復薬になります。あとは小瓶に分ければ完成です。」


「小瓶は御自分で作るんですか?」


「いえ、まとめて購入してます。うちは専属契約している鍛冶職人の職場から直接仕入れてますよ。」

その後、お店に置いてあった薬品を一種類ずつ購入して店を出た。


「さて、用事は済んだけど、他に何か買いたい物とかあるか?」


「大丈夫。家に帰ろう。拓哉。」


よし、じゃあ、そっちの角を曲がったら飛ぶから皆固まっててね。

家に飛んで、彩は機織りと裁縫。アリスは調合、ミミは夕食の準備にかかった。俺は一人暇になったので、一人で迷宮に潜ってみた。10階のボス戦を何度かループした。物理攻撃、魔法攻撃。マイクロ波魔法の攻撃、どれも一瞬だ。特に物理攻撃は身体強化があるのでダメージが通らないかと思ったけど、普通に通ってしまった。能力値をフルカンストしてるからね。瞬間移動したみたいに感じたんじゃないかな。最後、念のためダメージを受けてみたけど、体力が削られることはなかった。防具で受けたら防具が破損するかもしれないので手のひらで受けてみたんだけどね。ともかく、このレベルならダメージを受けても問題ないってことが分かってよかった。ちなみにレベルが1つ上がった。


家に戻ると、彩がすぐにやってきた。


「拓哉、どこに行ってたの?」


「迷宮でいろいろ確かめてた。ごめん彩に心配かけた?」


「それはいいけど、気配が小さくなったしちょっとだけ気になっただけ。」


「彩は何か作ったの?」


「うん、少しミミの手伝いをしてた。焼き肉にするみたいだよ、今夜。」


「そうか、ミミ張り切ってたしな。三角肉また取ってきたし渡して置くかな。あっ、彩が持ってた方がいいか?」


「うん、じゃあ、私のマジックバックに入れとくね、非常食と一緒に。」


「ちょっとだけあっちの空間に行ってくる?」


なんとなく彩が俺にくっついていたそうだったので、ベッドだけおいた亜空間部屋に行ってたっぷり交合ってきた。お互い満足して戻ってきたら少しお腹が空いた。気分的なものだけどね。

ダイニングに行くとミミが夕飯の準備を終えて俺達を呼びに行くところだった。


「旦那様、奥様準備できましたよ。今夜はいつもより寄りをかけて作りましたからね。三角肉を存分に味わって下さい。」


ミミがそう言ってたように、三角肉は本当においしかった。半端ないぐらい、おいしい。元の世界でも国産和牛の高級肉とか聞いたことはあるけど、この肉はそれに勝るとも劣らない肉なんだろうな。


「旦那様―、ミミは幸せですー。こんなにおいしいお肉をお腹いっぱい食べられる日がくるなんて夢のようです。」


「ミミも頑張って倒して得たお肉だからな。ミミの働きのお陰だよ。それにこんなにおいしく料理してくれてミミがいてくれてよかった。」


「ミミも旦那様についてきてよかったです。ミミは毎日幸せですー。」


「アリスも同じだよ。お兄ちゃんに助けられてよかった。ありがとう、お兄ちゃん、お姉ちゃん。」


「まあ、迷宮探索はまだまだ続くしな。今日のボスは毎日肩慣らしによさそうだし、お肉の心配はないんじゃないか?」


「このお肉を食べちゃうと他のお肉じゃ満足できないかもね。」


「これだけいい肉だと、このままハンバーグとかコロッケにしたら勿体ないかなぁ。」


「贅沢だけどおいしそうだね。」


「ハンバーグ?コロッケ?それはどのような料理でしょうか。」


「じゃあ、明日一緒に作ってみようか。」


「奥様に直接御指導頂けるのですか。是非お願いします。」


「それは楽しみだな。そう言えばこの世界チーズとかないよね。」


その日も楽しいおしゃべりをしながら夕食を食べ、お風呂上りにミミは冷たいフルーツシャーベットを御所望だったけど、俺が作ったアイスクリームもどきを出したら大好評だった。レモンシャーベットみたいなアイスになったけど。バニラとかチョコとかなさそうだしなぁ。


「旦那さまー。これは三角肉以上の美味です。ミミにも作り方を教えて下さい。」


「王族でもこんな贅沢な物食べてないと思うよ、お兄ちゃん。」


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