乃木の苦渋
「私は納得できません!」
静かな部屋に、乃木が机を叩く音が響く。乃木の目の前には、年相応な風格を備えた初老の男性がいる。椅子に深く腰掛けながら、乃木の鋭い眼光を直視していた。
「一体全体なんなのですか、この訓練方法は!?こちらだってド素人相手に半年間苦労を重ねているのです。アミューズメント装置の試験運用か何かは知りませんが、私への事前通達もなくしていきなりの訓練方針の変更な…」
「君はまだ若い。故に全てを見越してはおらん。」
静かに、しかし力強く反論された乃木は黙ってしまった。
「先ほどの通達通り、君には明日以降も指揮官として働いてもらう。未曾有の事態に対処できるかの資質を問われていると思って臨むように。」
以上だ。と言い残して、乃木に背を向けた。乃木も悔しそうに歯噛みしながら、一礼して部屋を去っていった。
「そういえばさ。」
ふと悟が思い出したように、慶斗と葵に話しかけた。時間は就寝時間も差し迫った頃合いであり、三人共資料をようやく読み終えたところであった。
「この訓練に使うシステムだけどさ、アミューズメント施設の運用テストではないかもって話は聞いたか?」
「初耳だけど。」
葵も首を横にふる。慶斗が話を促し、悟が語るところによると、慶斗達とは違う旅団に属する、年上の訓練兵からの情報であるらしい。その訓練兵は個人的な株取引を行っており、今回の訓練に用いられるシステムがアミューズメント向けの物ならば、その手の商業施設の株価が跳ね上がる可能性がある。インサイダー取引になりうる可能性を考慮したが、今回の資料に口外厳禁等の規制はなかった為、早速株を買おうとしたが、どの会社も上がる気配を見せていない。既に株価の変動が終わってしまったかと考えたが、ここ数ヶ月に大きな変動は見られなかったのだ。
「つまり、株のトレーダーからみると、今回の訓練は運用テストではない可能性が高いってことさ。」
「じゃぁ、このシステムってなんのためにあるの?私達が出場するサバゲーの世界大会は普通の人間相手でしょ?なんか気になるね~。」
サバゲー関係ないけど、ネトゲのFPSやってます。最近でたゾンビ狩るやつで弾薬箱運んでます。プレーヤーネームは作者名と同じだったりします。