異なる世界
「あぁ、もう!…もぐもぐ。何がエリートだ、…ごっくん。常に安全な場所で膨大な情報を得ているんだから、当たり前じゃないか。」
大量に並べられた食事を、ものすごい速度で慶斗が胃に詰め込んでいく。周りはその様子を呆れたように、また見慣れたように見ていた。突如、慶斗が喉をつまらせて胸を叩く。左隣に座る悟が、これまた慣れた手つきで彼の背中を叩く。
「慶斗っち、はいこれ。」
右隣の葵が飲み物を手渡してきた。それを一気に飲み干し、やっと慶斗は落ち着いた。
「慶斗、乃木の奴がいうことが不条理極まりないってことは、俺も理解してる。けどさ、食事くらい落ち着いて…」
「不条理なんかじゃない。むしろ的確すぎるんだ…。あいつが言っていることは全部理に適っているし、僕は小隊ごとの連携なんて考えていなかった。もっと僕は周りを見るべきだったんだ。」
爆風が吹き荒れる。土煙の中を光弾が飛び交う。一人の少女が左手から無数の光弾を発射し、相手を牽制している。その間に右手には巨大な光弾が生成されていた。
「喰らいなさい!」
右手の光弾を投げつける。すると、敵陣に巨大な爆炎が上がり、敵からの攻撃は止んでしまった。
「勝負あったようね。」
少女は戦果を確認しないまま、その場から消えてしまった。
「姫様、今日も見事にございました。」
「何言ってるのよ。どうせ相手側には手加減するように言ってたんでしょ。もう始まるまで半年しか無いの。時間を無駄にしないで。」
仰せのままに。という執事の言葉を置き去りに、レイアは自室へ去っていった。
「私が絶対に阻止してみせる…」
と呟きながら。