慶斗の戦術
なぜか次話投稿予約ができてなかった…。割り込み投稿はうまく行ってるはず、と願いたい…。
慶斗たちクローバー小隊が、乃木の指示を受ける直前、相手の小隊を追い詰めていた。場所は丘陵地帯、クローバー小隊は丘上の岩陰に、相手は丘の麓の塹壕に身を隠していた。相手の場所までは100m程度あり、他に身を隠せそうな場所はいくつかあった。ミラーを岩陰から出して状況確認を行うと、相手はライフル型を構えているのが見えた。丘上という状況を鑑みれば、岩陰から身を出せば的になることは必須だった。
慶斗が考えた戦略は、クローバー小隊を分散し、3方向から相手を攻め落とす作戦だった。フラッシュによる閃光で相手の目を潰し、その間に悟と葵を左右は展開、別な物陰に移動する。それを繰り返し、二人を塹壕へと侵入させた後、慶斗自身が囮となり相手の注意を引きつける。その間に二人が両側から制圧するという作戦であった。
「甘いね。君が戦術に関して素人だという事実を考慮に入れてもだ。」
乃木は慶斗が話し終えるやいなや、冷たく言い放った。
「君の戦術とやらは、完全にひとりよがりだ。それでいて、自己犠牲にあふれていながら、他人を犠牲にしかねない。いいかい、相手が閃光ゴーグルを持っていたら、フラッシュは意味を成さない。この時点で君の戦術は総崩れだ。まぁ、今回相手の装備にそれはなかったから良しとしよう。君もその情報を持っていた、と仮定しよう。だが、君は知っていたか?二人を潜入させようとしていた物陰には、別な相手の小隊が潜んでいたんだ。」
慶斗は驚いたように目を見開き、それを見た乃木は薄く笑った。
「まぁ、まだまだ言いたいことはあるけどね。君のためを思ってこれ以上は言わないでおくよ。今度からはもっと素直に私の指揮を聞くことだ。それじゃ、妹さんにもよろしく伝えてくれたまえ。」