アリスの姉
翌日の昼前、俺とアリスがカンテンに入るための出区申請はあっさりと承認の通知が届いた。
ムー、というかフォーリアルのおかげでほぼザルとなったカミラギ地区の区議会に対しては色々思うところはあったものの、とりあえずは無事にアリスの姉に会いに行けることに、そのときの俺はホッとしていた。
一時的ではあるが……、カンナルコ家から脱出することができたからだ。
【発火】の発動も上手くいった昨日の夕食の席で俺はアリアからひたすら、ずっと、延々と、先程の発言をからかわれ続けていた。
アリスのどこが好きなのか、嫌いなところはないのか、一番記憶に残っていることは何か、第一印象はどうだったのか。
とにかく、ひたすら、ずっと、延々と、アリアはその調子だった。
もちろん、別に嫌な感じを受けるわけではないし、俺やアリスを困らせようとしているわけでもないし、悪気もない。
ただし、しつこい。
アラフォーにしてはどこか子供っぽいところがあるとずっと感じてはいたものの、その実態は予想をはるかに超えるものだった。
マックスはマックスでそんな妻を止めるでもなく、俺を助けるでもなく、食卓の正面に座る俺の瞳を凝視したまま無表情で口を動かし続けていた。
エメラルドの原石のようなその瞳は幾分かやわらかくなっていたものの、アリアやアリスの言葉の種類によっては明らかに苛立ちと怒りだろうと推測される感情がそれに混じる。
そのため残念ながら、カンナルコ家としては貴重なあたたかい料理の数々の味を、俺はほとんど認識することができなかった。
2人でチェスをしていたときのように普通に話してくれればいいのに、どうやら妻と娘の前ではいつもあんな感じらしい。
その2人の娘であるアリスは……。
アリアから飛ぶ中学生レベルの質問を適当にいなしながら、食卓の場では一応普段通りの無表情だった。
台所に行くまで真っ赤だった顔も人形の白に戻っており、父と同じく感情をあまり露わにしない唇は、たまに母の質問を受けてピクリと動く。
しかし、俺が用意した湯浴み用のお湯で全員が順番に汗を流し、それぞれの寝室に引き上げた直後。
その様子を、豹変させた。
「ちょっとだけ、いい?」
「ああ…………っ!?」
あてがわれた客間の引き戸を閉じ、経験がない種類の疲れに満たされた体をベッドに投げ出そうとした瞬間。
戸を小さくノックする音と共に部屋に滑り込んできたアリスは、……そのまま俺をベッドに押し倒す。
「ちょ、何を……?」
まさか階下の寝室で両親が休んでいる環境で、その娘と体を交わすわけにもいかない。
そんな状況で興奮できるほど、俺の倫理観は狂ってはいないのだ。
ああいう言葉をマックスにぶつけた後ではあるが、アリスがそういう性癖なのだとしたら俺は……引く。
そしてありがたいことに、アリスの倫理観も狂ってはいなかった。
……が。
「ソーマ、お父さんに言ったやつをもう1回言って」
「……」
馬乗りになって俺の灰色のコロモの襟首を掴み、ベッドに押さえつけた俺の顔の上で妖艶に微笑むアリスの目は、結構危ない光を宿していた。
「言って」
そして、やはりアリアの娘だった。
「言って」
「……もう、眠いから」
「……」
いつぞやの意趣返しか、食虫植物のような笑みを浮かべて俺の目を覗き込むアリスにそう小さい声で返すと、その瞳からふっとやわらかさが失われる。
深い深い森の奥の大樹の葉のような穏やかな緑色から、磨き抜かれたエメラルドのような怜悧な色へ緑色が変化すると。
「……」
「何……やってるんだ?」
ふっと立ち上がったアリスは、無表情のまま自身が着ている淡い緑色のコロモの帯を緩め、小さい中身がしまわれた胸元を大きく開け始める。
「この状態でお父さんとお母さんの寝室に駆け込んで、……泣く」
「……ふざけんな!?」
そして無表情のまま、俺を脅迫した。
「私としても、そんなことになってしまうのは残念。
とても、残念」
「……っ!」
残念ならやめればいいじゃねぇか、と口に出しかけて俺は歯を食いしばる。
ただ俺も、いつでも真顔であんな台詞を言えるわけではなく……。
……くそ、普段なら適当にあしらえるのに、ここでは地の利がなさすぎる。
「お父さんの張り手は、そこそこ痛かったけど?」
誰の真似なのか意図的に唇だけをつり上げた表情で、薄い笑みを浮かべるアリス。
俺に逃げ場がないことを理解し、追い詰めたのだと確信したのだろう。
顔をしかめて黙り込んだ俺を見て、さらにその笑みは深くなった。
「ソーマ、痛かったけど?」
「……」
……ああ、わかりましたよ、アリスさん。
今回は俺の負けですよ、アリスさん。
でも、その余裕の笑みは消させてもらいますよ、アリスさん?
肉を斬らせて、骨を断たせてもらいますから!
「……わかりました、言います」
「……え、あの……ソーマ?」
俺が無言でベッドから立ち上がり、かなりはしたない格好のアリスの前に立つと、アリスの笑みにひびが入る。
おそらく誰の真似なのか、俺の唇がつり上がっていたからだろう。
甘い香りのするアリスを抱き寄せその長くとがった左耳に唇を付けると、俺の意図に気づいたアリスが身を強張らせる。
だがもう、全てが遅過ぎる。
「俺は、命を懸けてるから」
「ふゎあぁあぁぁっっっっ!!!?」
「アリスのその夢に……」
約束する、まできっちり、アリスの耳に囁きを叩き込んだ俺は、放心状態のアリスの腕を引いて自室に放り込んでから。
客間に戻って、眠った。
「もう1回言って」
「いやだ」
「言って」
「いやだ」
「言って」
「いやだ」
「……うぅ!」
日が高くなってカンテンノクチの鐘楼に転移し、憮然とした表情の門番の横を通ってカンテン地区の居住区までの林道を歩く間もアリスは、そして家を出るまでのアリアもこんな感じだった。
朝からの雨のため赤と白の傘をそれぞれ差し、アシダの歯でパチャパチャと地面を蹴りながら、黒と紫のコロモがふざけ合う。
俺用のサイズのコロモとアシダをアリアが昨日の買い物のときに用意してくれたこと、傘を目深に差しておけば他の森人の視線を気にしなくていいことから俺がかなりリラックスできているのも、それに一役買っていた。
ちなみにアリスの方は帯にいつものステッキを差し込み、右手に大きな布包みを下げている。
アリスの姉であるマリアへのお土産。
結婚に立ち会えなかったために遅くなった、結婚祝の品だった。
「こっのっっ、アホアリスーーーー!!!!」
「っ!!!!」
カンテン地区、居住区の中央付近。
カミュ家の玄関戸を叩いて現れた森人の女は、その絶叫と共にアリスの頭に手加減のない拳骨を落とした。
「マ、マリア、一旦落ち着いて?」
「落ち着けるくぅぁあーーーー!!」
「……お……姉……ちゃん…………」
「……まぁ本人も反省してるんで、そのくらいにしてやってもらえませんか?」
マックスと同じ朱色の髪を流れる炎のように背中まで垂らし、アリスと同じ緑色の瞳に憤怒を浮かべた女性。
山吹色のコロモに包まれた長身の体を背後から夫に羽交い締めにされ、目をぎゅっと閉じて頭の痛みの波をやり過ごそうとしているアリスと、苦笑した俺の前で尚暴れ続ける森人。
彼女がアリスと血を分けた姉のマリア=カミュ、旧姓カンナルコだ。
……アリスとは、全く似ていなかった。
さらに5分ほど玄関で騒いだ後、ようやく俺たちはカミュ家の居間に通されていた。
ゼェゼェと息をつくマリアに頭を下げるアリスの横で、俺は白いコロモをきっちりと着こなしたマリアの夫と挨拶を交わす。
ユリアン=カミュ、白金を想わせるウェーブのかかった髪を短くまとめ、赤みの強い紫色の瞳で柔和に笑うマリアの夫は、森人としては少数派の水属性の魔導士でもあった。
妻の妹のパートナーであり、人間であり、そして自身の契約する精霊の王でもある俺への対応に若干当惑しているようであったが、とりあえずはお互い苦笑しながら握手を交わす。
「……このアホアリス、アホ妹、アホ娘!!
あんたが書置き1枚で家を抜け出した後、お父さんとお母さんがどれだけ心配したと思ってるの!?
手紙の1通も寄越さないで1年以上音信不通、どこかで死んだか攫われたかと皆で心配してたら自陣片の魔力だけがバカ上がりしだして、挙句『魔王の恋人』なんて2つ名だけがノクチから聞こえてくる!!
ようやく手紙が届いたと思ったら、人間の国2つに戦争で勝って今は自治領の運営をしています、フォーリアル様にお会いするために1度帰ります、って何なのよ!?
さらにはパートナー (男の人で水の大精霊)も連れて行くから、なんて意味わかんないし!!
あんたは何、アホなの、アホよね、アホでしょ!!!?」
「……色々と心配をかけて、ごめんなさい」
「ひ、と、こ、と、で済ませられるくぅあーーーー!!」
「お姉ちゃん、喉が痛くなるから……」
「あんたが言えた立場かぁぁあーー!!」
……その隣。
ひたすら小さくなるしかないアリスの前で、インターバルを挟んだマリアはいまだ叫び続けていた。
実際に見たことはないが、至近距離で火山が噴火したらおそらくこんな感じなのではないかと思う。
居間に通されて10分間、怒られているアリスの方が怒っているマリアの声帯を心配してしまうほどの大音声が、カミュ家の中では轟き続けていた。
「……」
「……」
妻がやかましくて、すみません。
いえ、気持ちはわかりますし、アリスが悪いのは事実ですから。
でも、そろそろ止めた方がいいですよね。
そうしていただけると、助かります。
無言でそのような会話を交わしたユリアンと俺の手によって、再びマリアとアリスを引きはがす。
結局4人で居間に着席し、落ち着いて話をするまでに、そこからさらに15分の時間を費やすこととなった。
「どうも見苦じいどごろを……」
「いや、……氷入れますね」
「ありがどう」
「大丈夫、アリスちゃん?」
「私が悪いのはその通りだから……お、お義兄さん」
張りのあるアルトをわずか10分でデスボイスに変化させたマリアが用意した、サンティの注がれたカップ。
その4つの大きめの木製カップの中身を冷やし、さらに数個ずつのキューブアイスを出現させると、顔を赤くしたマリアは小さく頭を下げる。
その隣では、平和な笑顔を浮かべたユリアンが義理の妹となるアリスを気遣っていた。
……にしても、この状況で笑っていられるということは、マリアの爆発は割とよくあることなのだろうか?
テーブルの下でポーチから出していた命属性用の霊墨を、必要なさそうだ、とそのまま片づけながら、俺はそんな懸念に襲われる。
冷たいサンティをあおって喉を冷やすマリアを見ながら、俺は同じ男として、ユリアンに様々な感情を抱きつつあった。
「あ、あの……、まずは結婚おめでとうお姉ちゃん、お義兄さん」
「おめでとうございます」
「あ、ありがとう」
「ありがとうございます」
30分に渡るマリアとの激戦の中で一応の謝罪は終えていたアリスが、ようやくお祝いを切り出す。
続けて俺が、応じてカミュ夫妻が座ったまま頭を下げ、ようやく居間には落ち着いた空気が流れ始めていた。
「……何ごれ、干し肉?」
「うん、一応アーネル王国……と言うかカイラン大陸全体でも一番の高級品。
作っている量が少ないし販売もしていないから、ネクタへは出回っていないはず」
「あ、本当、美味しい!
ユリアンも食べなよ!」
「……うん、美味しいね、これ!」
その空気の中。
アリスが差し出した姉夫婦への結婚祝、大きな布包の中身は、その全てが飴色に輝く干し肉の束だった。
魔人並みのスピードで喉が回復しているマリアとユリアンがしゃぶっているのは、確かにカイラン大陸でも最高級の干し肉。
すなわち、我らがウォル産の一品だ。
この世界の冒険者の旅のお伴の定番にして、他大陸からネクタに持ち込まれる交易用食品の不動の第1位でもある干し肉だが、実際のところは肉の薄切りを塩漬けにして乾燥させたものに過ぎない。
当然ながらもはやそれは塩の味しかしない代物であり、肉の形をした塩化ナトリウム、人体に不可欠な塩分と最低限のタンパク質を補給するための、完全なる非常食と言って差し支えない代物だった。
その常識を打ち破ったのが、最近アーネル南部で話題のウォル産の干し肉である。
味にこだわる魔人と悪ノリした魔王、そして肉が大好きなその恋人が味だけを追求して採算度外視で完成させたそれには、塩の他に高価な砂糖、ラルクス産の麦酒とネクタ産の果実酒、サリガシア産の香辛料を4種類、さらには豆味噌まで使用している。
舌を刺すのではなく包み込むようなまろやかな塩味とフルーティーな甘み、そして凝縮された旨味。
市場価格で言えば肉の20~30倍近い金額の調味料を惜し気もなく使っているこの干し肉は現在、ウォルに宿泊しなければ食べられない幻の味として行商人や冒険者の間で絶大な人気を誇っていた。
アリスが家族へのお土産としてチョイスし、航海中の俺たちの荷物の実質7割を占めていたのが、この自家製の干し肉である。
ウォルの森林に巣食うノウサギを半壊滅に追い込んで作りあげたその味は、しかしカンナルコ家のマックスとアリア、そして目の前のカミュ家のユリアンとマリアの心をほぐすのにも、確かな効果を発揮したようだった。
……と言うよりも。
もしかして森人って皆、実は肉が好きなのではないだろうか……。
どさくさに紛れて自分も手を伸ばしているアリスの横顔を見ながら、俺は徐々に低くなっていく飴色の束を眺めていた。
翌日、アリスと俺のカミノザへの入区を認めるにあたって課される「証」の内容が、カンテンの区議会から通知された。
「明日『弐の鐘』から日没まで。
カンテン北西にある地下大洞窟の内部構造図の製作と棲息する全魔物の討伐を命ずる。
……だって」
「うっわ……」
「難しいんですか?」
ユリアンは仕事に出かけて不在のため、3人が座る居間でアリスが通知書を読み上げる。
その瞬間、マリアの顔には明確な嫌悪と失望の色が浮かんだ。
前にアリアから聞かされていた内容とは随分違うので俺がそう問うと、うんざり、あるいは恥じるような様子でマリアから説明がなされる。
「ううん、そういうことじゃなくて……。
最初から達成できっこない内容を充ててきた……ってことかな。
一応は地区内の洞窟なんだけど深くて広い上に魔物の巣窟になってるから、ずっと立入禁止になってたのよ。
それを2人だけで調べて片づけろだなんて……流石にね」
あのアリアに育てられ、そしてアリスという規格外の妹を持つ姉であるマリアは、やはり森人でありながら人間の俺に対して公平で友好的な態度をとってくれている。
ユリアンについても水の大精霊、そして義妹ということで俺とアリスには丁寧に接してくれていた。
「「……」」
「……どしたの、2人ともニマニマしちゃって?」
そのマリアが青い瞳に浮かべていたのが、同族である森人に対する了見の狭さを嫌い。
そしてそれを謝罪する表情だったことに、俺は、そしてアリスも自然と笑みを浮かべてしまう。
……それに。
「お姉ちゃんが怒ってくれたことは嬉しいけど、多分問題ない」
「……だな、昼までには終わらせよう」
「……あんたらねぇ」
その笑みをやや性格の悪いものに変換しながら嘯く俺とアリスが、この内容。
昨日訪問した区役所でさんざん冷たい対応をしてくれたカンテンの区議の老人どもが、おそらくは嫌らしい笑みを浮かべながら設定したのだろう「証」の内容に。
それほどの困難を感じていないのも、また事実だった。
「「……!」」
翌日の弐の鐘が鳴る中、地下大洞窟の入り口前で俺とアリスは、見届役である2名の初老のカンテン区議から沸騰した視線を向けられていた。
分厚い布製の長袖上下を着込んだ上から木製の胸当てと手甲をはめ、同じく補強を施されたブーツ。
予備を含む2本の杖とボウガンと矢筒、霊墨のボトルでパンパンに膨らんだポーチ、さらにその上から全身を覆う深緑のマントには、細かな霊字。
額には青白い光を放つ月光石、蓄光作用と蛍光作用を持つネクタ大陸特産の鉱石、をベルトで固定したフル装備。
視線の主である2人の区議、未踏の洞窟探検に必須の格好をした彼らはしかし、既に絞れるほどの汗を全身にかいていた。
「どういうつもりだ、貴様ら!」
「我らを侮辱しているのか!」
対して俺とアリスはそれぞれ黒と緑のコロモと、素足にアシダのままだ。
それぞれ必要最低限の小物だけを入れたポーチを下げ、アリスはもちろんステッキを帯に止めているが、実質手ぶらと言っても過言ではない。
例外と言えるのはアリスが抱えているA3サイズくらいの木の板と、そして数枚の紙だけか。
いずれにせよ、洞窟に入るに際してふさわしい格好ではなかった。
「ここからで全部納まるから、紙は1枚でいけるな。
とりあえず下書して、後から清書すればいいんじゃないか?」
「わかった」
そんな汗と唾を飛ばしてさらに体温を上げていく区議たちを無視して、俺とアリスは必要最低限の言葉だけを交わす。
近くの岩に腰かけ、膝に置いた板を下敷代わりに1枚の紙と、そして羽根ペンとインクを用意したアリスの足元に。
俺は【水覚】で知覚した地下大洞窟の形状を、空気の粒を含ませた半透明の氷で完璧に再現した、歪な迷路のような形のミニチュアをトン、と置いた。
「「……」」
絶句する区議たちを余所に、アリスはそのミニチュアを紙の上に地図として描き起こしていく。
全8階層、最大幅約1キロメートルを誇る大迷宮は確かに危険なのだろうが、別に俺たちは入って攻略するつもりはない。
地図を作って魔物を皆殺しにするだけならば、入口まで行けば全てが事足りてしまうからだ。
「熱湯流し込むから、そこどいた方がいいぞ?」
区議へと振り返った俺の頭上には1辺50メートル、10万トンをはるかに超える沸騰した立方体が緩やかに回転しながら浮かぶ。
唇をつり上げながら洞窟の入り口を指差した俺を見て、慌てて2人は俺たちの方へ走ってきた。
すれ違うように洞窟へと流れ込む、摂氏99度の透明な大蛇。
同時に、洞窟内の各所に直接発生させた熱湯は逃げ場のない地下の全てを煮沸する、熱死の波濤となった。
大小合わせて、1577の命。
その全てが、体組織を熱で破壊される様子を【水覚】で感知しながら。
腰を抜かして洞窟を見つめている区議の周りの空気の温度を、俺は少しだけ下げてやった。




