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「ふあぁ…」
昨日はよく眠れなかった。
深夜、緋音から
「明日、朝早く学校に来て。やりたいことがあるから」
という内容のメールがきた。
しかも見てくれ。
125通も来てやがる。
ボタン連打でもしたのか?
「……もう来てやがる。って校門開いてねぇじゃねぇか」
「あ、遅い!何分待ったと思ってるの!?」
「…予定集合時刻よりは10分早いんだけど」
「いいから素直に謝れ!」
「恐悦至極です!」
キャラ代わり早ぇよ。
こちとら寝起きで頭が回んねぇんだよ。
「で、何をするためにそんなに早く来させたんだよ」
「それは…じゃーん!『学校を占拠しちゃおう』大作戦!」
「…その熱意はどこか別の所に回せないのか」
「今現在、この学校の勢力は大きく分けて二つ!」
「五十嵐五十鈴派と海鼠腸緋音派の二つな」
「そう!だからその邪魔な五十嵐勢力を粉砕するためにあんたには協力してもらうから」
「あー、またそういうカンジの?」
「またって何よ。今度は今までとは規模が違うの。放送室を占領したりもするわ」
「……教育委員会に訴えられないようにな」
* *
「こら五十鈴!これから私と競争しなさい!」
「内容を教えて下さらないかしら?」
「勝負内容は簡単。学校中から下僕を何人集められるかを競うの!」
「…いいですわ。受けて立ちましょう」
……面倒くせ。
「拓馬、お前はどっちにつくんだ?」
「ん〜、五十鈴さんかな?緋音は小さい頃から見てるから、見飽きたっていうか…」
「そうか、いいなぁ。俺は強制的に緋音一派だよ」
「…大変そう。頑張ってね」
「ああ、お前もな。五十鈴さんはああみえてSだから」
「ええ!初耳だよ!」
「じゃぁな」
「ちょっと!変なこと言わないで!」
…疲れそうだな。
うしろで「Ah〜!Oh.my gat!」とか言ってるバカは放っておいて、何をするんだ?
「なぁ緋音。これから何をするんだ?」
「授業は全部サボる!作戦会議よ!」
…単位とれないと、進路は真っ暗だよ?
* *
あれから、作戦会議に参加するメンバーを集めて回ったのだが、10人も集まってしまった。
どう捌くのだろうか。
「じゃぁまずは具体的な活動内容から。アイデアは無い?」
「はい!」
「そこのデブ」
「とにかく派手な恰好をして全学年の教室前廊下を練り歩くのがいいと思います!」
「出ていけ」
…結局そうなるよな。
その後、同じような手順で連蓮の如く仕分けていった。
二十分後、
「二人になったわね…」
…予想通りだ。
でも決して嬉しくなんかないね。
理由?
最終的に俺が考えることになるからだよ。
そろそろ振られるはずだ。
「ねぇ…なんか案ない?」
ほら。
「勝負は放課後なんだろ?じゃぁ部活中の奴等に聞いていきゃいいじゃん」
「じゃぁもう、それでいいや…」
……多分飽きたな。
俺の気持ちも考えてくれよ…。