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高校からの帰り道に待ち伏せをする攻略対象の母親

部活をしていない僕は授業が終わればすぐ帰路につく。友人もほとんどが部活に加入しているのでどこかに遊びに行くこともない。



早く家に帰って、ゲームをしたり、スポーツ観戦をしたりと自分の時間を過ごす。これが思っていた以上に気に入っていたりする。ヒロインと好感度を増やすのは後でもできるし、僕の本命はまだ登場していない。




さすがに初対面のイベントをすっぽかすようなことはしないけど、好感度を態々上げるようなことはしなくていいのだ。






そんなことを考えながら高校の校門を出ようとした。



「蒼くん」


その声に僕は最悪な考えが思い浮かぶ。でも、そんなことないはずだと思って、視線を向けるとそこには友里の母親が立っていた。




「…どうされたんですか、紫莉ゆかりさん」


友里の母親こと田原紫莉ゆかり。黒髪ロングで本当によく娘の友里と似ている。大きく違うところはやはり胸ぐらい。


友里はそこまで大きくないが、紫莉さんはかなりの大きさだ。性格はとても温厚な方であるものの、たまに見せる肉食動物のような視線が怖い。




紫莉さんは少しずつ僕との距離を詰めて来る。



「蒼くん、奇遇ね」



「はい、そうですね」


これが奇遇なのか。どう考えても校門の前に佇んでいたし、友里に用事があるのであれば高校の職員室に行けば問題ないはず。




それなのにそういうことをせずに、ずっと校門の前に立っている。これを待ち伏せ以外のなんだというのだろうか。



「ちょっと友里に用があるのよ」



「それなら僕が呼んできますよ」


僕は踵を返して、校内に戻ろうとしたところで腕を掴まれた。



「どうしたんですか、紫莉さん」



「いえ、ちょっとお話をしましょうよ」



「…でも、友里に用があるのでは」



「それは別に急ぎの用じゃないから大丈夫よ」


いや、そのためにもあなたは来たんじゃないんですか。そう思ったものの、さすがに口に出すわけにいかなかった。



「蒼くんは今日、用事とかあるの?」



「ありますね」


ここで紫莉さんに「用事ない」なんて言ってしまったら、確実に誘われる。嘘でも用意がある体でいかないと。



「そうなのね。残念だわ」



「ごめんなさい」


ここはどうにか早く返してもらうようにしないと。



「でも、私は心配なの。蒼くんのご両親から「あなたのことをたまにでいいから様子を見てあげてください」と言われているのよ」



「はい、いつも気にかけて頂いてありがとうございます」


僕の両親は海外出張中。一年に一度帰って来るか、来ないかぐらいの頻度なのでほとんど両親とは会わない。




そして僕と友里は幼馴染なので、昔から付き合いはある。そうなれば親同士はもちろん付き合いがあるわけで、僕の母親は海外出張に向かう前に友里の母親に僕のことをたまにでいいのでチェックしてくれと頼んでいるのだ。




なぜか、紫莉さんは草むらになっているところを指差し出した。



「蒼くん、ちょっとあっちない?」



「…え…ここで」



「いいから早く行くわよ」



紫莉さんに引っ張られる形で僕は草むらに連れ込まれた。


「…引っ張らないでくださいよ」



「ごめんなさい。でも、これで少し大胆になっても大丈夫そうね」



「大胆?」



「うん。ここなら見えないだろうし」


そういって、紫莉さんは急に後ろから僕のことを抱きしめて来る。草がそれなりに生い茂っているものの、それでも見えないということはないぐらいだ。こんなところを高校の奴らに見られたら絶対にヤバい。



というか誰に見られても絶対にヤバいよな。



「離れてください。紫莉さんもこんなところで見られていたら、ヤバいと思いますよ」



「蒼くんの体を触っていると興奮してくる……」



「興奮しないでください。紫莉さんには家族がいることを思い出してください」



「はぁ……はぁ…いいにおい…」


僕の匂いを嗅ぎながら、紫莉さんはどんどん嫌な触り方をしてくる。屋外でこんな風に触れて来るとは思っていなかった。



もうちょっと隠す気があるものだと個人的には思っていたんだけど、そうでもなかったってことか。



「離れてくださいよ。こういうことは僕よりも旦那さんにしてあげた方がいいと思いますよ」



「夫にしても意味ないわ。あの人なんかより今の私は蒼くんがいいの。蒼くんの全てが欲しいの。だから、蒼くんは何も考えず、私に全てを委ねてくれればいいのよ」


そんなことをしたら確実にヤラれる。そしてその事実を写真や動画などの証拠を残されたら確実に僕は紫莉さんに逆らえなくなってしまう。






力で抜け出そうとしても紫莉さんの力は僕を上回っている。




僕だって高校2年だ。それなりに筋力もある方なのに、紫莉さんのホールドを解くことが全くできない。




さすがにこの状態を長引かせることは避けなければいけないので、ここは未来の自分にデメリットなことでも多少は許容しなければいけない。




「あとで紫莉さんと会う時間をしっかりと取る予定なので、今は離してくれませんか?」



「いいですよ」



「え、いいんですか?」



「ええ、蒼くんがしっかりと私との時間を作ってくれるんであれば、今は我慢するわ」



ここまで紫莉さんが物分かり良いとは思わなかった。もっと駄々をこねられると個人的には予想していた。



僕はまだ紫莉さんのことを理解できていなかったのかもしれない。





やっと紫莉さんは僕のことを解放してくれたのだった。





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