視線
この作品は、普段何気なく向けている視線。その捉え方は相手によって違ってくることを知って欲しいです。
私は、毎日必死に生きている。与えられた仕事を淡々とこなす。上からの指示に従う。でも、世の中には与えられた仕事をせず、挙句の果てには上司に逆らう輩がいる。傍から見ても、社会全体がおかしくなっているのが分かる。
今日も、身体全体を焼くような暑さの中、同僚と外に出る。アスファルトという地面に変わってから、移動できる距離がかなり短くなったように感じる。先に出ていた先輩が慌てて戻ってきた。
「逃げろ。この先に行くのは危険だ」と言葉だけを残して、一目散に会社に向かっていた。ただ、進行方向とは逆に向かっていたので、中々進まず立ち往生していた。
危険だと言われた理由は分からなかったが、上から言われた仕事を途中で投げ出すことはできないため、そのまま向かった。
狭い路地を抜けて、先輩が危険だと言っていた理由が分かった。聞こえるのは仲間の断末魔だった。
「たすけ」「嫌だ」「死にたくない」
アスファルトは、血で濡れて色が変わっていく。ふと見上げると、目が合った。この目だ。この目が嫌いなのだ。自分たちが弱肉強食の世界で頂点にいるような、いじめられている立場の人が悪いと主張しているような目。傍観者も同じだ。道端で死にかけている、虫を見るような目で見ている。
「あ。そっか。私は蟻だ」
また、アスファルトは色を変える。
こんな拙い文章を最後まで読んで頂き、ありがとうございます。初めて小説を書いてみて、改めて小説家の人たちが凄いと思いました。