ローマ法王もアレで異様に元気だった説
ペンバートン博士は、煙草をもみ消しながら資料を読み続けていた。
その手がふと止まった――見覚えのある名が目に飛び込んできたのだ。
「ローマ法王レオ13世、異常な元気を維持!」
「……ちょっと待て、それは何だ?」
博士の眉がピクリと動いた。
記事には、こう書かれていた。
>「レオ13世は驚異的な集中力と持久力で日々の職務をこなし続けた。だが、彼の唯一の食事はワインだった――もちろん、そのワインとは『ビン・マリアーニ』である!」
ペンバートンは思わず目を見開く。
「おいおいおいおい……法王が〇カ入りワインだけで動いてたのか!?
もう食事すら必要としてないじゃないか!!」
さらに驚いたのは、レオ13世がそのビン・マリアーニを公式に推薦していた**という事実だった。
「ビン・マリアーニは神に祝福された飲み物である!」
「神に祝福!? マジかよ!!!」
ペンバートンの脳内で、警鐘とファンファーレが同時に鳴り響く。
しかもその後、レオ13世の死後に発表された伝記には、こんな記述が残されていたという。
「レオ13世は、信じられないほど、ほんの少しの食事とワインしか口にしなかった。しかし、その瞳はまばゆくギラギラと輝き、神の啓示を宿すかのようであった。」
――いや、それ〇カインの作用だから!!!
「それは信仰心じゃなくて、〇カイン中毒だよ!」
ペンバートンは椅子から立ち上がった。震える手で額を押さえながら、つぶやく。
「……もうこれは確定だ。世界は〇カに支配されている……!!」
ビクトリア女王も飲んでいる。エジソンも、フロイトも、果ては法王まで。
そして今や、ペンバートン博士自身の心までもが――〇カの葉の魔力に染まりつつあった。
「よし……俺もこれを作る。
ただのコピー商品なんてごめんだ。俺は、ビン・マリアーニを超える“神に愛された飲み物”を作ってやる……!」
ついに、奇跡の飲み物開発計画は、信仰と中毒、科学と狂気の世界線を超えて――暴走を始めた。