強盗、はじめました。
『ヨワー!とりあえず、パーティできた!』
『違ちゃん!良かったね!』
ヨワは手を握って喜びを示してきた。
『て、てぇ、、てぇ、、、』
はあ、やらかいお手てだあ。
スベスベしとるしぃ。
ヨワ、いい匂いだわなあ。
奴隷の身なりだけど、清潔感は、、あるんやなあ。
『ちょっと!アンタいつまで違の手を握ってんのよ!?』
ヨミが割って入ってくる。
『え?ああ、、、違ちゃんのパーティの、、』
『ん?名前知らんの?』
『違。名前を知ってたら、怖いわよ。』
ケイがぬっと、現れる。
『ああ。そっか、いや、ヨワは私の名前知ってたから。あれ?でも、ヨミの名前は、知って・・・。』
『あ!違ちゃん!りんごのタルト作ったの!食べない!?』
『ヨワの、ご飯、、食べルゥ♪』
『・・・・。』
ケイはじろじろヨワを舐めまわすように見たあと、ため息をつく。
それを横目に、ヨワに出されたりんごのタルトを頬張る。
『アタシは、ヨミよ!北川ヨミ!』
『ああヨミさん!はじめまして。』
『アンタさ、違の世話してるらしいけど、あんま調子乗ってるとさ、切るから。』
『ヨミ!なんてこと言うの!』
ヨミのお尻をスパーンと叩く。
『あっ、ひーん!!!』
『・・・・。』
これもヨワに教わった。
北川ヨミは鎖骨とお尻が弱点。
『ご、ごめんなひゃい。。』
『いい、ヨミ。ヨワに手出したらただじゃおかないわよ?』
『ひゃ、ひゃーい・・・・。』
『全く仲睦まじいことで。』
ケイがポツリと呟くように話す。
『え、えーと?そちらの方は・・・。』
ヨワは困ったように笑いながら話す。
『ああ、私は、、ケイだ。巷ではネクロマンサーと呼ばれている。よろしく。』
『よ、よろしくお願いします。』
『ん?』
ヨワが少し俯いている。
『ヨワ、どこか具合悪いの?』
『あ、いや、大丈夫です。』
顔を横にぶんぶん振ったあと、ヨワはこちらを見る。
『えっと、違ちゃん。そしたら、リリアの呪いのミッションはやる?』
『うん、ぜひ。』
『リリアの呪いのミッション?』
『うん、闇ギルドに行く為の試験だってさ。』
『ああ、闇ギルドね!お金たくさんね!』
『所詮、地下世界は金がものを言う。換金率もだんだん悪くなっていると聞くからな。』
闇ギルドについての事はヨミもケイも知っていたようだ。
だったら説明不要。
しかも乗り気だ。
ヨワを見る。
『へへへ、ブイ!』
ピースサインをこっそりと送る。
ニコリとしながら。
はふっ!ああかわいい。
尊い。
尊死してまう!!
『じゃあリリアの呪いを隣町に持っていくんだけどね、まずリリアの呪いを手に入れるところからやらないといけないの。』
『へ?そーなの?』
『うん。』
『それはどこにあんの?』
『城下町がね、近くにあるんだけど、、そこに生物学研究所があるの。そこにあるわ。』
『ふーん、研究所ね。行けば貰えるの?』
『いや・・・リリアの呪いは、、まだ未承認の薬剤であろう?』
『あら、知ってらっしゃったのね。』
『それに、生物学研究所は地下世界の総帥直下の組織だ。』
『ええ!ロックハート総帥直下あ!ヤバくない
?』
ヨミが青ざめている。
『うん?うん?なんだか、よくわからないんだけど、、、』
私が3人の顔をキョロキョロ見ている。
ケイがまたため息をつく。
『つまりだ。総帥閣下の直下の組織に潜入し、研究中の薬剤を強奪する、ということだろ?』
『へ?』
『まあ、闇ギルド行くわけだしね。そのくらいの試験は当たり前か。』
『いったい、、、ヨワ?どういう、、、』
ヨワは口を開く。
『違ちゃんには、これから強盗さんになってもらいます。』
ヨワはニコリといつものように尊い笑顔を振りまいていた。