おや、おや君まで、死にたいのかい?
ゲームでは、よく人が死ぬ。
クリアする為の障害として、敵を配置しその障害が死ぬことで先に進むことができるからだ。
ゲームだから、いいのか。
ゲームのキャラクターにもし、感情があったり、大切な家族がいたとしたら?
もし、あなたと対立していてもやむに止まれない理由で対立しているとしたら?
そのことを知っても剣で首を刎ねることはできるのか?
私は部屋で震えていた。
このゲームパットがもし、殺戮兵器の遠隔操作をするコントローラーだとしたら。
私は握り続けられるだろうか?
『嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ!!!』
私はゲームパットを放り投げた。
『違、聞くんだ!君は悪くない!!これは殺人に、、、当たらない!』
仲間の声が聞こえる。
『そ、そういうことじゃ、、、ないわよ、、だってだって今まで、あああ!!今だって!!!』
そう、私は知ってしまった。
剣を突き立てた相手が、、本当に私が救いたかった人。
その人は私を死んだ魚のようは目で、
恨むように
呪うように
『な、なんで、、わ、、わたし、、よ。た、、がえ・・・。』
死んだ。
ゲームだとしたらよかった。
ただのゲームだったらよかった。
罪に問われるとかではない。
虫ケラを潰すように、、
『死ねえ!』と言いながら、
殺した後は道具を落としてないか、掠奪し
『経験値がたまった。』と嬉々としながら、
真実を知らなかったらよかったのに。
『うえっ!うぇぇぇっ!!!』
赤く染まった手を吐瀉物で見えなくしたかった。
もう戻れない。
人を殺した。
人を殺したという自覚がないまま。
それでも、ゲームパットを握り続けなければならない。
でなければ、今度は私が向こう側に行くことになるから。