098 決闘、ガルカザン・カザスタヌフ③
「おらぁぁぁ!!」
「まだまだぁぁぁ!!」
周囲に熱気を爆散させながら、カズキとガルカザン・カザスタヌフの攻防が続く。
手数で上回るカズキ。
一撃の重さで上回るカザスタヌフ。
お互いに一歩も引かず、攻撃の撃ち合いを長時間続けていた。
「さっきから、小賢しい真似しやがって!」
叫びながら、カザスタヌフが魂装防具――タワーシールドを振り回す。
カズキは魂装の義眼をも駆使しながら、ギリギリのところで避けていく。
同時にカウンターとして、盾の周囲へ歪曲させた魂装武器を侵入させ、攻撃を加えていた。
「効かねぇって言ってんだろっ!」
だが、カズキの手数重視の攻撃は、カザスタヌフにはほとんどダメージを与えられていなかった。
ただでさえ分厚く大きな筋肉の鎧を纏っているにも関わらず、彼もカズキのように全身に魂力を漲らせているため、ほとんどの攻撃を受け付けない。
カズキは忙しなく繰り返される攻防の隙間で、自身の攻撃の軽さを歯噛みした。
こうなったら、やはり魂装爆破拳しか――そう考えたとき。
「動きを止めるなよぉぉ!」
「っ!?」
巨大な盾の片面を地面に擦るように、大地を抉り取るがごとく目一杯振り抜くカザスタヌフ。
盾によって弾き出された砂利や石が、礫となってカズキの身体目がけて飛んでくる。
思わず、カズキは瞼を閉じる。
一瞬、“実像”の視界を潰された格好となる。
そこへ、全てを薙ぎ払うような盾の圧力が迫った。
「ぐあぁぁ!」
タワーシールドによる横薙ぎの攻撃を受けたカズキは、全身を打ちつけられ、吹っ飛ばされる。
盾は魂装防具であるため、魂力の塊そのものと言って良い。
ゆえに、カズキの魂力による全身防御があまり効果を成さず、ダメージが通ってしまうのだった。
「はぁ……はぁ……」
大きく飛んだ先でカズキは膝を着き、荒くなった呼吸を整える。
周囲が自身の起こした砂埃で視界が遮られる中、カズキは深呼吸して魂装手術を試みる。
しかし――
「させねぇよぉぉ!!」
カザスタヌフが叫ぶ。立ち昇る砂煙で、状況はわからない。
が。
「気づいてるさ!」
咄嗟に右の瞼を閉じ、カズキは魂装の義眼によって戦況を理解する。
カザスタヌフが、カズキ目がけて、大きな魂力の塊を飛ばしてきたことがわかった。
そう、またも魂装防具である盾を投げたのだ。
余裕を持って躱せる――そう考え、サイドにステップしたカズキだったが。
「まだまだ甘いな」
「しまっ――」
カズキの飛んだ方角から、カザスタヌフ本人が現れる。
瞼を上げ、姿を目視したカズキが反射で防御姿勢を取るが――致命的な遅れが、生じていた。
「もらったぜ!」
「がっ!?」
宙に浮いたカズキは身体の向きを変えることができず、カザスタヌフの拳をモロに受ける。
そしてそのまま押し戻され、高速で飛んでくる盾の射線上へと引きずり込まれる。
「俺のとっておきの一撃を喰らえ! 巨盾挟撃拳ォォ!!」
カズキの身体は、カザスタヌフの拳と盾で挟まれ――ひしゃげた。
「がはっ……」
肉体が歪んだような生々しい音を立てて、カズキはその場に――
頽れた。
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