信頼
これはSSランクモンスターが現れる数分前の話である。
トウヤ先生は空間魔法で森の中を細かく見ていた。
そしてこの前の女子生徒四人組を要注意のメンバーとして見ていた。
「あいつらまた。」
呆れるトウヤ先生、それもそうだ。これで二回目の妨害行為だ。しかも今回は武器を持ってる。
「あの武器は。」
◇◇◇
訓練が始まる前
「おい、マキ!」
たくさんの書類を持ちながら廊下を歩いていたマキ先生を呼び止めた。
いつもはクリームイエローの髪のロングヘアのストレートだが、今日は何故かポニーテールだ。
まあ、そんなことはトウヤ先生からしたら、どうでもいいことだ。
「どうしました?トウヤ先生、ちょっと怖い顔してますよ。
それと訓練がもうそろそろ始まるんじゃないんですか?」
トウヤ先生はマキ先生を睨みつける目付きをしていた。
それはマキ先生に怒っているからだ。
「お前の武器の部屋の鍵が開きっぱなしだったぞ。
あそこには貴重な武器や危ない武器が入ってるんだぞ
もし、盗まれたら大変だ。
盗まれる前に鍵を閉めてこい!」
こんだけ怒るのには理由がある。
マキ先生は鍵を閉め忘れていることがよくあるからだ。
これで何回目か分からないぐらいだ。
「あれぇ〜?おかしいな?
鍵はちゃんと閉めたはずなんですけどねぇ。」
言い訳をしながら目線をトウヤ先生に合わせないようにした。
「おい、目が泳いでいるぞ!言い訳しようとしたって無駄だぞ。もうそろそろ...学習しろ!」
トウヤ先生の怒声が廊下に響き渡った。
それに反応するかのように。
「は、はぃぃ!申し訳ございませんー!」
悲鳴のような返事が廊下に響き渡った。
頭を下げて謝ったため、手に持っていった書類が全部床に落ちてしまった。
「あぁー!書類がぁぁぁ!せっかくまとめたのにぃ!」
呆れるトウヤ先生、この光景は出会ってから何回目だろう?
トウヤ先生とマキ先生はこの英雄学園に来てから2ヶ月が立っている。仕事を効率よくするためにお互いを知ることが大切だと思い、なるべく一緒に仕事をするようにしていた。
だが、マキ先生のミスが多いため、トウヤ先生がそれをカバーすることが多い。
平常運転だ。
トウヤ先生がマキ先生の唯一認めているところは戦闘ぐらいだ。マキ先生は身体能力が高く、武器の扱いは学園の中でトップだ。
「ほら、俺も手伝ってやるから早く鍵を閉めてこいよ。」
優しくマキ先生に語りかけた。
「はい!」
なんだかんだ言って優しいと思ったマキ先生であった。
やっぱ少しは心配してくれてるのかぁ〜嬉しいな。
だが、そんな考えも一瞬で消え去った。
「次忘れたら、反省文を書かせるからな!」
トウヤ先生からのきつい警告。
それを聞いた、マキ先生は再び絶望した顔に戻った。
「はい、次から気をつけます。」
消えそうな声が廊下の広い空間に沈んでいった。
◇◇◇
「あの野郎、だからあれ程鍵を閉めろと言ったはずなのに。」
訓練が終わったら説教する相手が増えたトウヤ先生であったのだ。
「はぁ〜」
ため息をつくと同時にトウヤ先生は水魔法で作った水の弓矢を持つ。
レミ達と女子生徒四人組に向けて警告の矢を放った。
水の矢は上空に飛んだ瞬間。
(ブン!)
空を飛んでいたモンスターが矢をかき消した。
「なっ。」
トウヤ先生は驚いた。矢がかき消されたことにじゃない、禍々しいオーラとあまりの大きさにだ。
明らかにBランク以上のモンスターだ。
「なんだあいつ! 明らかにやばい!」
空間魔法でモンスターの位置を特定しようとした。
位置を特定することが出来た。
だが。
「なんて速さだ!
ってこいつレミ達のところに!」
モンスターはレミ達のところに降りた。
やばい、このままだと全滅だ!
早く助けに行きたいがあれを一人で生徒全員を庇いながら倒せる自信はトウヤ先生には無かった。
まずは助っ人を呼ぶのが先だろう。
トウヤ先生は学園に向かって全力で走った。
(待ってろお前ら!)
二歩踏み込んだ刹那に目の前に大量のモンスターが現れた。
「魔力的に明らかにAランクモンスターだな。」
この森にはBランク以上のモンスターは居ない。
それなのに居る。明らかにおかしい。
何が起きているのか全く理解が出来ない。
だが、そんなことはどうでもいい。
「どけぇ!お前ら。」
覇気がこもった声でAランクモンスター達を威嚇する。
トウヤ先生の右の手のひらに大量の魔力が集まり、凝縮されていく。
それをモンスター達に向けた。
「消えろ。」
魔力のエネルギー砲がAランクモンスター達に被弾した。
エネルギーの大爆発、トウヤ先生の視界に写ったのは紅蓮の炎とモンスター達の大量の死体だ。
森全体に轟音が響き渡った。
その轟音のおかげで強力な助っ人が来てくれた。
「ちょっとトウヤ先生何暴れてるんですか?
やる事が終わったから生徒達の訓練見に行こうと思ったのに、貴方は何をしてるのですか?!」
やって来た強力な助っ人の正体はマキ先生だった。
運がいいことに森の方に向かってくれていたのだ。
「マキ、緊急事態だ。
戦闘向けの教員を全員呼んでこい。」
きょとんとした顔するマキ先生、状況が全く理解出来てないようだ。
「Bランク以上のモンスター
いや、あれはもうSランク以上のモンスターで確定だな。
とりあえずBランク以上のモンスターが出た。
今すぐ生徒達を救出に...」
「きゃぁぁぁ!」
最後まで言い切る前に悲鳴が聞こえた。
「何?今の悲鳴!」
トウヤ先生は悲鳴が聞こえて約0.8秒後に空間魔法で森を状況を確認した。
そして女子生徒一人の腕が斬られるという最悪な光景を見てしまった。
「クソォォォォォォォ!」
咄嗟に出た後悔の叫び。間に合わなかったのだ。
生徒に被害が出るという最悪な状況になってしまった。
だが、悔やんでる暇などない。
今、優先することはこれ以上生徒に被害を出させないことだ。
「トウヤ先生ちょっとどうしたの?」
「生徒に被害が出た。
これ以上被害を出さないためにもお前は今すぐ他の教員を呼んでこい。」
少し尖った声でマキ先生にお願いした。
かなり焦っているのだ。
「分かりました!すぐに行ってきます。」
マキ先生は全力で森を駆け抜けた。
それと同時にトウヤ先生もモンスターが居るところに向かって全力で走った。
空間魔法でモンスターの位置は特定済みだ。
距離は八百四十六メートル、かなり距離がある。
だが、そんなことはどうでもいい!
走れ、止まるな、ただ、全力で走れ!
そう自分に言い聞かせていた時。
「なっ、どういうことだ。」
なんていう事だ。
さっきまで空間魔法で位置を把握していたのに急に位置が特定出来なくなったではないか。
急にモンスターと生徒達が自分の中で消えた。
この感じ、妨害されている。
このことから一つの考えが浮かび上がった。
結界か。
そう結界が貼られたことによってその場の状況だけが把握出来なくなったのである。
まさか、あのでかいモンスターは魔法型だとでも言うのか!
あのでかさと爪による攻撃から魔法より物理的な攻撃に特化していると自分の中で勝手に決めつけていた。
なんて厄介なモンスターなんだ。
俺が向かったところで勝てる保証は無さそうだ。
だが、生徒の盾になることなら出来る!
「待ってろ、お前ら。」
◇◇◇
「レミさんすごい...」
「あの女化け物かよ!」
驚いた表情でレミを見つめるユイ。
そして圧倒的な実力差を感じた女子生徒達。
レミとSSランクモンスターの戦い見てやっと気づいたのだ。
自分達は喧嘩を売る相手を間違えていたことに。
「はぁぁぁぁ!」
氷の剣を持ち疾風の如く走りながらSSランクモンスターの体をひたすら斬り続ける。
その姿はまさに剣姫である。
速すぎる。SSランクモンスターはレミのスピードについて来られない。
レミは結界の壁を蹴り、スピードをどんどん上げていく。
壁を蹴り、足のバネをちゃんと活かし、強力な攻撃を放っている。まさに疾風迅雷!
これは簡単に見えて簡単ではない。
大抵の人は壁を蹴ってバネを活かすところまでは出来る。
だが、そこから攻撃に繋げるのは至難の技である。
優れた運動神経と体捌きがないと出来ない芸当である。
「流石レミ、でも。」
ミラはさっきからレミの攻撃にずっと違和感を感じていた。
「あの化け物女、さっきから同じ攻撃しかしてないわ。」
レミの得意な技のほとんどが固有スキルによる氷魔法だ。
「この前の訓練みたいに森を凍らせる程の大魔法を使えばいいのに。」
だが、レミにはそんなことは出来ない。
なぜなら
「私達が居るから。」
ユイは小さな声で呟いた。
そして自分達がどれだけレミさんの足を引っ張り、苦しい思いをさせているのだろうかと。
あの技は強力な技だが、周りの人を巻き込み無差別に攻撃してしまうのだ。
レミの氷の固有スキルのように属性魔法系の固有スキルは本来なら攻撃範囲から火力まで自由自在に操ることが出来る。
だが、レミにはまだ出来ない。
理由は簡単だ。レミはまだ固有スキルを自分の物にしてない。
まだ、極めていないのだ。
完全に使えこなせない状態で自由に暴れてみろ。
このモンスターは倒せるかもしれないがここに居る人も全員お陀仏だ。
「私が使っている水の盾は防御は出来るけど、もちろん水で出来ているから水の温度が0度以下になれば凍る。
そしてレミの大魔法はこんな水の盾なんか一瞬で凍らせるでしょうね。」
「じゃあレミさんはやっぱり本気が出せていない、私達のせいで」
ユイは唇を強く噛み締めた。
こんな時に何も出来ない自分が悔しいと思いながら。
「それとこのままだとレミは負ける。」
ミラはレミが敗北することを断言した。
「何でよ!あの化け物女今、優勢じゃない。」
「あのさ、私のレミに対して化け物女言うのやめてくれない。
私のレミに対してこれ以上そんなことを言うなら貴方達をモンスターの方に放り投げるよ?」
黙り込む女子生徒達。
ミラはさっきからずっと怒っていたのだ。自分の親友がこんなにも悪く言われているのだから。
我慢の限界であったのだ。
「だけど、今はそんなことを一々言う余裕は無いわ。
とりあえずレミの動きをよく見なさい。」
言われるがままに女子生徒とユイはレミの動きを見た。
「さっきよりスピードが落ちている。」
レミは戦い始めてからずっと高速で動いていたのだ。
戦いが始まってからおよそ七分が立っている。
七分間全力で走りながら休まず攻撃を繰り返していたのだ。
いくら鍛えているからと言っても七分間も全力で動けば流石に疲れてしまう。
「レミだって無限に体力があるわけじゃないんだよ。
人間だから限界がある。
それだけじゃない、あのドラゴンみたいなモンスター段々レミの動きに慣れてきている。」
最初はレミのスピードについていけず防御すら出来ていないかったドラゴンのモンスターがレミの攻撃を完全に防御し始めている。
「はぁぁぁぁ!」
レミがドラゴンのモンスターに斬り掛かる。
その刹那に。
(ブンッ!)
ドラゴンが後ろから襲いかかってきたレミの方向を向き、左の大振りをくり出す。
「っつ!」
レミは咄嗟に氷の盾で大振りを防御した。
しかしあまりの威力に吹き飛ばされてしまった。
「グハッ!」
結界の壁に叩きつけられ、背中に衝撃が走った。
血反吐を吐くレミ。
かなりのダメージだ。
「レミさん!」
ユイは咄嗟に叫んだ。レミが勢いよく壁にぶつかったことに驚き、焦り始めた。
「ユイちゃんレミに回復魔法を!」
いつもより早口だ。ミラさんもかなり焦っている。
「分かりました。」
ユイは回復魔法で痛みを和らげた。
完全に回復とはいかないがレミは少し体が楽になった。
「ありがとう、ユイさん。」
再び立ち上がり、ドラゴンのモンスターの方に向かっていくレミさん。
その姿は美しく見えた。
だけど同時に心が痛くなった。
私達の為に一人で戦ってくれている。
いや、一人で戦わせてしまっているのだ。
とても辛いことなのに。
「このままだとレミさんが負けちゃう。」
言いたくなかったことだったがあまりにも辛い光景だった為つい口に出てしまった。
それに対してミラは反発した。
「レミは負けない。」
「えっ?」
ミラのその発言は全員を驚かせた。
それもそうだ、今にも負けそうなレミが勝つとでも言っているようなものだから。
「でもさっき負けるって、ミラちゃん自分で。」
さっきと言っていることが矛盾しているのだ。
少し柔らかい表情でユイに語りかけた。
「私はあの状況なら、負けると言ったのよ。」
「えっ?」
ユイはきょとんとした顔をする。
「レミには私が居る。私がレミを支える!」
そう言ってミラはドラゴンのモンスターの方に向かって疾風の如く走った。
ごめんね、レミ。やっぱ私、あなた以外を守るだけじゃ嫌だ。私は欲張りだから、戦う。あなたもみんなも守る為に!
「レミ!」
ミラはレミに聞こえる声で叫んだ。
それに反応し、後ろにいるミラの方を向いた。
「この前の訓練でやったあの氷魔法の準備をしといて!」
その一言にその場に居る全員が驚いた。
こいつ本気で言ってるのかと。
「でもミラあの技は。」
あの氷の大魔法は周りの人も無差別に攻撃してしまう。
だから使わないようにしていた。
なのにミラは使えと言う。
どうしてだ?
「私にいい作戦があるのよ!」
ミラはレミの方に顔を向けて、笑顔でウィンクをした。
まるで勝てる確信があるような顔だ。
ミラの発言に対してレミは安心した。
(あなたが居てよかった。いつも支えてくれてありがとう。)
レミは柔らかい笑みを浮かべた。
(よかった。可愛いレミに戻って。)
「ありがとう!ミラ!」
「どういたしまして!さて、私も反撃させてもらいますか!」
ミラはその場に立ち止まり水魔法を纏った斬撃を放った。
「くらぇ!水刃!」
水の斬撃がドラゴンのモンスターの目に直撃した。
「ギュアアア!」
ドラゴンのモンスターは叫び声を上げた。
「よし!効いている。もっと喰らわせてあげるわ。」
ミラは欠かさず連続で水刃を放った!
しかもドラゴンのモンスターの目だけを狙って打っている。ドラゴンのモンスターの視界を塞ぐのが目的だろう。
「流石ミラだね。」
「ミラさんすごい!」
ユイとレミはミラを褒め称えた。
「いやぁ〜それ程でも。
アハハ、さてこっちの魔法も準備出来たわね。」
そしてミラの切り札の魔法がとうとう完成した。
「レミ、こっちは準備OKよ!」
そう言ってミラはユイと女子生徒達の所に戻った。
「やっちゃえ!レミ!」
その言葉に答えるようにレミは構えた。
「喰らいなさい!フリーズ!」
その場の地面、大気、何もかもを凍らせるレミの最強の魔法が今、放たれた。
それと同時にミラは水の防御魔法でユイと女子生徒達を囲むようにした。
ドラゴンのモンスターは氷漬けになった。
「ミラ達、無事?」
少し心配した顔して必死に呼びかけた。
「ふ〜う、上手くいって良かったわ。」
「ミラ!」
ミラもユイも女子生徒四人組も全員無事だ。
レミのフルパワーの大魔法を防ぎきったのだ。
「でもミラあなたあれをどうやって防いだの?」
私はそれが不思議でたまらなかった。
森を全て凍らせたあの大魔法をどうやって防いだのかを。
「水は0℃にならないと凍らないのよ。
だからこの水が0℃にならなければいいだけの話でしょ。」
ユイは不思議そうにミラに尋ねた。
「つまりどういうことですか?」
「答えは簡単、レミの氷魔法を喰らっても凍らない水の盾にすればいいのよ。」
ユイはきょとんとした顔をした。
結局何をしたのか理解出来なかった。
「なるほど、あなた水の温度を上げたのね。」
女子生徒がそう答えると。
「正解!炎魔法と水魔法の合体技さ!水の温度を500℃ぐらいにしたかな。ほんと調節がめっちゃ難しかったわ。
それに火傷しちゃった。」
水の温度を最初から高音にしていたため、レミの大魔法の冷気にも耐えられたのだ。
「それにしてもミラ、よくあんな魔法を咄嗟に思いつき作れたよね。ほんとにすごいわ。」
「いやぁ〜それ程でも!ワッハッハー!」
声を高々と上げながら勝利の笑いを上げるミラ。
「ミラさん、今回復魔法かけますね。」
「ありがとうユイちゃん。」
ユイはミラに回復魔法をかけて手の火傷を治した。
「じゃあ皆さん今すぐトウヤ先生の元に戻りましょう。」
ユイはみんなを呼びかけと一緒に帰ろうとした。
「そうだね。早くその子の腕も何とかしてあげないといけないし。」
レミがそう言って戻ろうとした瞬間に一人の女子生徒が異変に気づいた。
「ねぇ、モンスターを倒したのになんで結界が解けてないの?」
「えっ?」
その場の全員が凍りついた。
結界が解けてない、それはつまりモンスターはまだ、死んでいないことを表しているのである。
(バキバキ!)
「えっ?」
氷がバキバキという音を立て揺れていた。
そして、パリンという氷が割れる音が結界の中で響いた。
なんていう事だ。凍っていたドラゴンが氷を破ったではないか!
「嘘。」
「そんな有り得ないわ。」
驚きが隠せない女子生徒達。
それもそうだ、レミの大魔法で骨の髄まで氷漬けにされていた。そしてもう一つ驚いたことがあった。
「ねぇ、何あれ?」
さっきまでのドラゴンとは雰囲気が違う。
そう思った瞬間。
「ギュアアア!」
ドラゴンの姿がみるみる変わっていく。
「何よ、あれ!」
悲鳴に近い声で叫ぶ女子生徒。
ドラゴンの全身が燃え上がっている。
炎を纏っている。
さっきまでのドラゴンとは比べ物にならない禍々しいオーラを放っている。
「クソ、さっきの戦いで疲れているというのに!」
ミラはさっきの戦いでかなりの集中力を使った。
疲れているのは当たり前だ。
勝ったと確信して、気持ちを軽くしたら、あんまり感じていなかった疲れが一気に湧き上がってきた。
「ギュアアア!!」
ドラゴンの口にエネルギーが集まり凝縮されていく。
「まさか、あれは」
あの技はドラゴンがよく使う破壊光線だ。
「なんていう魔力なの!」
こいつは普通のドラゴンとは違う。
何しろこいつはSSランクモンスターなのだがら。
そんなドラゴンの破壊光線など、想像も付かないほどの威力であろう。
「みんなしゃがんで!」
レミが咄嗟に叫んだ。
放たれたSSランクモンスターのドラゴンの破壊光線は結界に直撃し、バァンという轟音が響いた。
結界を貫き外で大爆発が起きた。
その衝撃によって結界が割れた。
「なんて凄まじい威力なの!」
「でも今の破壊光線のおかげで結界が壊れたわ。」
運がいいことにこれで逃げられる。
「レミ、逃げるわよ!」
「えぇ!」
その瞬間
「嘘!」
「なんでまた。」
再び結界が貼られた。
だが、運がいいことに結界の外に逃げられた。
ただ、一人を除いて
「レミさん!」
「レミ!」
そう結界の中にドラゴンと一緒に閉じ込められたのはレミだ。
「早く助けないと!」
「でもどうやって!」
ミラとユイは焦り出す。
親友の一人がSSランクモンスターという危険なモンスターと一緒に閉じ込められているのだから。
「私なら大丈夫!
それよりも早くトウヤ先生と合流して、その女子リーダーを何とかしてちょうだい!」
レミは一人でドラゴンと戦うつもりだ。
勝ち目はほぼ無いはずなのに。
「待っててね、レミ!
すぐに助けを呼んでくるから、それまだ耐えきってね。」
ミラは本当なら今すぐレミを助けたいはずだ。
だが、結界を壊す力など
どこにもない。
だから冷静に考えた結果逃げるという判断になったのだ。
「ありがとう!ミラ。」
感謝の気持ちを貰うと同時にミラ達は全力で走った。
(お願いだから、死なないでね!レミ。)
「さて、決着をつけましょう。」
「ギュアアア!!」
今、レミVSドラゴンの第二ラウンドが始まろうとしていた。
皆さんこんにちは鬼龍院天音です。
今回の話はレミとミラの共闘でした。
互いに信頼し合っていたからこそ出来た技でしたね。
次回はレミとSSランクモンスターのドラゴンとの第二ラウンドです。
是非お楽しみにしていてください。