実践訓練(首席の実力)
さて、適当にポイント稼ぐか。
一応ある程度の成績は出したいと思っている。
この訓練はいかに相手より早くモンスターを見つけ、早く倒すことが重要だろう。
でもこれ正直運ゲーじゃないか?
モンスター達もこの森の中を動き回るから運が悪ければ出会わずに終わるかもしれないな。
と思っていたが...前言撤回、この森どんだけモンスター居るのぉ〜! いや、待て待て。いくらなんでも多すぎだろ!
そこら中にいるじゃねぇか!これはポイント0のやつはいないな...でもやはり運ゲーだ。
モンスターはいっぱいいるけど、ランクがバラバラだ。
まあ、見つけ次第倒せばいいって感じだな。
というかさっきからこっちにモンスター達が向かってきてんだけど! とりあえずまとめて倒そう...
俺が広範囲に攻撃をしようとしたその瞬間、俺の後ろからすごい勢いで走って来た男がいた。風のように駆け抜け、俺のことを狙っていたモンスター達を素手で全員殴り殺した。
一瞬の出来事だった。 五秒ぐらいだろう。
この五秒間の間でざっと二十体ぐらい、居たモンスターを全部倒した。
素手で殴っただけでモンスターを倒した。
とんでもない奴だ。一体誰だ?
「ったく、どいつもこいつも弱いモンスターばっかでつまらねぇな!」
誰かと思いきやガラード君じゃないか。
というかやべぇな、かなりのスピードで走ってたし、素手でモンスターを殴り殺した。
いくらCとDランクぐらいのモンスターだとしても
結構な大きさだったぞ。それをあの一瞬で、しかも殴っただけで倒した。
おそらく身体強化魔法だろう。
身体強化魔法でパワーとスピードを上げたのだろう。
というかめっちゃ荒い攻撃だったな、本当に暴君だな。
「全く面白くねぇ、こんなことでレミと勝負したって意味がねぇ。俺は残り適当に倒してこの森から出ることにしとくぜ。」
どうやらもうこの訓練には興味がないらしい。
「おい、お前!」
「はは、はい。」
いや、喋り方こっわ!
「お前、この訓練終わったらあのダラダラした先生に俺は先に帰ったと言っとけ、わかったな!」
人にものを頼む時はもっと優しく言って欲しいんだけどなぁ〜
まあ、これも強者だから出来ることなんだろうな。
「わかったよ。」
そしてガラードはスタートした場所の方へ戻って行った。
◇◇◇
「おい、カイト
お前、今どれくらい倒した?」
「Cランク八体、Bランク七体かな」
「ハァッ!
お前、なんでそんなにBランクモンスター倒してんだ?」
ロイドは驚いた。
始まったばかりなのに何故こんなに差があるのだろうと思いながら、モンスターを倒していた。
「いや〜ラッキーなことによスタートしてから左の方に行ったらたくさんモンスターがいたんだよなぁ〜」
「くそぉ〜俺はまだ、Bランクモンスターは三体しか倒してないのに!」
この二人は始まってから結構いいペースでモンスターを倒していた。
こう見えても彼らの戦闘力はかなり高い。
「というかあんまりモンスター見かけないけど何でだ?」
ここら辺はもうモンスターが少なくなっている。
それもそうだ、なぜならここはさっきまでジンがいたからだ。
◇◇◇
「結構倒したな。」
ジンは指に魔力を込め、それを弾丸の形にして銃弾のように飛ばし、モンスターの頭を貫いて倒していた。
それはまさに拳銃のようだ。
ジンの父親は英雄学園の卒業生であり、今は戦士として戦っている。ジンのお父さんは今までの卒業生の中でも一番の銃の使い手だった。
ジンは父親から銃の使い方を徹底的に教えて貰っていため、かなりの銃の使い手だ。
魔力のこもったエネルギー弾、通称魔力弾は拳銃よりも威力が強く、拳銃よりも使い勝手がいい。
それもそうだ、拳銃は玉が無くなれば使えなくなるが、
魔力弾の攻撃は魔力と指さえあれば出来る!
ジンのお気に入りの技である。
「この予備の拳銃は使う必要は無さそうだな。」
「あっ、ジン見っけ!」
カイトとロイドがジンと合流した。
「うわぁ〜お前、これ全部一人でやったのか、
えげつないなぁ〜。」
見た限りでは百体近くのモンスター達の死体がそこら中に転がっている。
「流石、ジン!
相変わらずお前の魔弾はすごいな!」
ジンはかなり魔力が多いタイプの人間だ。
だからジンは魔力弾をたくさん打つことが出来る。
「お前らも割と倒しているようだな。」
「割とって何だよ!」
「俺らはこう見えても一応少しは出来るんだからなぁ。」
「そんなことは昔から知ってる。」
カイトとロイドとジンは昔から仲良くしていた。
よくジンのお父さんが三人に訓練してあげたり、飯を作っていたりしていた。
朝から夜までずっと遊んだり、ジンの家にお泊まり会などはよくしていた。
そしてカイトとロイドは毎回遊ぶ度にやらかしていた。
それをカバーするのがジンだ。
今と何も変わらない。
それは三人の絆もだ。
この三人は兄弟のようなものである。
「さて、時間はまだ、いっぱいあるし、もっと倒すぞ!」
そう思っているロイドだが、この後、一瞬で残り時間が無くなることはまだ、知らなかった。
◇◇◇
よし、俺もそこそこ倒したぞ。
このモンスター達はそこまで強くはないから倒すことは簡単だ。
だが、ちょっと倒すだけでは意味がない。他の生徒は多分かなりのスピードで倒している。
さっきからモンスターの気配がどんどん減っている。
残りは17分ぐらいか...
時間を気にしていると、鳥型のモンスターが後ろから襲ってきた。
かなり大きさだ!魔力の流れ的にBランクだ!
5ポイント貰いっと!
「ライトニング!」
そう思った刹那に稲妻がモンスターを倒した。
今の魔法は雷魔法と光魔法の合体攻撃か。
一体誰が使ったのだ?
しかもさりげなく俺の獲物を横取りしやがった。
許さん!
「やぁ〜アーク」
なんだ陽キャか。
「こんにちはローズベルト君」
こいつ人の獲物を勝手に横取りした上に何も無かったかのように話してきやがった。
まあ、別に一位を狙ってるわけじゃないからいいけど!
でも五ポイントは欲しかった。
「今のは雷魔法と光魔法の合体魔法だよね。
難しい魔法なのにすごい!」
勝手な偏見だけど金髪の人ってなんか雷とか光魔法得意そうだよな。
「まあ、僕は光魔法を一番得意としているからね。
このくらいは簡単に出来るさ。でも他の魔法は普通かな。」
だとしてもあのライトニングという技
結構な威力だった。光のような速さで稲妻が走る感じだった。
あれは回避もかなり難しい上にかなりの火力だ。
なんともすごい魔法だ。
「さて、残り時間も少ないし、ラストスパート頑張るぞ!
それじゃあアーク君またね。」
「おう。」
俺は別れを告げてお互い反対の方向に向かおうとした。
その刹那。
強力な魔力反応!こっちに来る。
この感じ氷魔法か!ってこれはやばい!
「ローズベルト飛べ!」
俺は咄嗟に叫んだ。
本能的に上に逃げた方がいいと思った。
ローズベルトはアークの言葉に反応し咄嗟に上空に飛んだ。
そしてアークもローズベルトと同じタイミングで上空へ回避した。
「なっ、」
「なんだこれ!」
俺とローズベルトは地面から三メートルぐらいの高さまで飛んだ。
そして俺たちは上空から周りの景色を見た。
周りの光景を見て唖然とした。
まるで別世界を見ているかのようだった。
さっきまで自分達が立っていた地面、大気が凍りつき、体が震えるぐらいの冷たさの白霧がこの森を覆った。
地面は平らな氷になっていた。
上空に逃げたのは正解だった。
「危なかったね。」
「あぁ、回避していなかったら間違いなく俺達も氷漬けだった。」
本当にギリギリだった。後、0.7秒遅かったら俺とローズベルトは氷漬けになっていただろう。
「それにしてもこの莫大な魔力は何なんだ?」
とりあえず見て分かるのは当たり前だがこれは氷魔法だと言うことだ。
「こんな広範囲に攻撃をすることが出来る魔法使いがいるとは。」
「いや、これはただの氷魔法じゃないかもしれない。」
そうこれは。
「どういうことだい?」
「おそらくこれは固有スキルによる氷魔法だ!」
固有スキルとは
その人だけが持つ特別な力である。
例えば今の氷魔法は普通の魔法では絶対に不可能なレベルの魔法だった。
だがこれを可能にするのが、固有スキルである。
固有スキルの大抵が魔力を使わない。
だから今みたいに有り得ない程の広範囲攻撃が出来る。
普通ならこの広範囲攻撃をするためにはかなりの魔力を使う必要がある。
まあ、これは固有スキルを完全に物にしてる場合だ。
さらに言うなら、魔法を構築するのにはかなりの時間がかかる。
この範囲は15分では構築出来ないだろう。
このことからこれは固有スキルによる魔法だということが分かる。
多分、いや間違いなくこれは氷の固有スキルだろう。
そして一番気になるのがこの固有スキルを誰が持っているかだ。
「固有スキルだって。
まだ、学生なのに持っている人がいるのか。
すごいなぁ。」
こいつ、呑気だな!
固有スキルは生まれた時から持っている人もいれば、人生の中で手に入れる人もいる。
大抵が二十歳〜三十歳ぐらいで手に入れる人が多い。
「ローズベルト君戻るよ。」
「戻るってどこに?」
「トウヤ先生が居る森の外だよ。
訓練はもう終わりだよ。」
「えっどうして?」
モンスターは今の氷魔法で全滅した。
もうモンスターの気配が感じられない。
そして、スタートした位置に戻ろうとした瞬間、バァンという音が聞こえた。
今のは拳銃の音だ。
おそらくトウヤ先生だろう。
「今の音は?」
この合図は絶対に訓練終了の合図だろうな。
モンスターが居ないんだ。
これ以上やる意味はない。
「訓練終了!お前ら全員戻ってこいー!」
◇◇◇
これは訓練が始まってから十分後の話である。
「はぁぁぁ!」
美しいホワイトシルバー色の髪を靡かせて、声をあげ、氷の剣でモンスター達をすごい勢いで斬り倒していた者がいた。
彼女の名はレミ
綺麗なホワイトシルバー色の髪に透き通るような美しい水色の目した女の子である。
彼女は氷魔法を使い、モンスターを氷漬けにしたり、氷の矢を何本も作り一斉に放ったりして、ものすごいペースでモンスター達を倒していった。
その光景を見ていた、女子生徒四人組がいた。
「ねぇーこのままじゃ、私達の獲物が全部あいつに取られちゃうよ。」
「そうだね。」
レミがものすごいスピードでモンスターを倒しているため、
この四人はモンスターを倒せていなかった。
「よし、あいつの邪魔をしましょ!」
「でも先生は妨害禁止って言ってたよ。」
「別にバレなければいいのよ!
それにあの先生、訓練開始と同時に読書を始めてたし、多分私達の訓練なんかにひとつも興味がないんでしょう。」
「そうだね、じゃあやっちゃうか。」
女子生徒四人組は笑みを浮かべ作戦を考え始めた。
「炎魔法の応用魔法、爆発魔法を使いましょう!」
「そして魔法陣そこら中に設置して、よし。
これで完成だ。」
女子生徒四人組は地面に大量の魔法陣を設置した。
魔法陣の上に立ったら、爆発する魔法陣だ。
「さて、どうなるかな?
楽しみだわ。」
レミは止まらない。
走ることを止めず、氷の剣を振り、駆け抜ける!
Bランクモンスターも一瞬で倒していく。
普通ならBランクモンスターを倒すのに速い人で2分ぐらいだ。
レミはもう速いという領域を超えている。
そして女子生徒四人組が仕掛けた魔法陣のところまで来た。
レミは罠が貼ってあるところに居るモンスターに斬りかかろうとした。
その瞬間、違和感を感じ咄嗟に後ろに下がった。
「これは?」
レミは魔法陣が仕掛けてあることに気づいた。
そしてレミを囲むようにして配置している女子生徒達にも。
「フリーズ。」
ピシッ
レミは魔法陣を反応しないようにするために地面を凍らせた。
そして魔法陣がある地面を切り抜き
「フンっ!」
呆れたような声を出し、レミは切り抜いた地面を人の気配が感じる方に向かって投げた。
それが木に直撃し、凍っていた地面、魔法陣の付いた地面に衝撃が走り、爆発した。
「きゃあ!」
木は倒れたが、女子生徒に怪我は無かった。
「ちょっとあんた何するのよ!」
女子生徒は怒った。
だがその怒りを抑え込むようにして、レミは反発した。
「何をするもあなた達が先に始めたことでしょ?」
冷酷な眼差しを向け、威圧した。
「なんで分かったのよ。」
「それはこんな四人で私を囲うようにしていれば不自然に思うのは当たり前じゃなくて?」
レミは女子生徒を追い詰める。
それに反発し、女子生徒はレミに手を出そうとする。
「バレたなら仕方ないわ。
このまま、あなたがモンスターを倒しまくったら私達の分が無くなるからあなたをここで退場させるね。」
隠れていた残りの三人の女子生徒達も出てきた。
四人か...
「はぁぁぁ!」
「くらいなさぃ!」
「やぁぁー」
「死ねぇー!」
女子生徒達がレミに襲いかかる!
だが攻撃くらう前にレミは女子生徒を捕まえた。
「はぁ...」
レミは呆れた顔をしてため息をついた。
「何よこれ!」
「これは氷のつる?」
レミは氷のつるで四人の女子生徒を捕まえた。
そして氷のつるを複雑に絡めた。
「何なのこれ!
解けないし、冷たい!」
「しばらくそこで大人しくしてなさい。この訓練が終わるまでこの氷のつるでね。」
レミは女子生徒四人組にそう告げて、立ち去ろうとした。
「ちょっと待って!このままじゃ、冷たさで凍え死んじゃう!」
「ごめん、謝るから許して!」
レミは再び呆れた顔をして女子生徒四人を見つめ、氷のつるを解いた。
「次、私の邪魔をすれば容赦しないわ!」
氷風を纏いながら冷酷な目付きで彼女らを見つめ、威圧し、氷魔法で彼女らを囲うように地面を凍らせた。
四人の内二人は恐怖で唖然としていた。
だが、残りの二人はまだ、諦めていなかった。
レミが再びその場を立ち去ろうとした刹那。
「舐めるなよ!クソ女ぁー!」
一人の女子生徒がロープを使い、レミの体を縛り、
そこに追い討ちをかけるようにもう一人がレミの背後に炎魔法で攻撃をしようとした。
「死ねぇ!」
「ふっ。」
女子生徒一人が笑みを浮かべた。勝ちを確信したのだろう。
炎がレミを襲う。だが、そんな炎も無意味だ。
「言ったはずよ、次は容赦しないと、」
ピシッ。
そう告げた刹那。
地面、大気、全てが凍りついた。
草木やそこら辺に居たモンスター達も氷漬けになった。
この森全てが氷づいた。
そしてこの氷の固有スキルによる広範囲攻撃は生徒達にも被害がいった。
何人かの生徒は氷漬けになってしまった。
こんにちは鬼龍院天音です。
戦闘シーンの表現って難しいですね。