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僕たちの英雄伝説  作者: 鬼龍院 天音
1年生編 第二章
29/40

復活したドラゴン

土曜日と日曜日は学園が休みである。

この休みを利用してだいたいの生徒が授業と訓練の疲れを取る。

だが、中には休日にも学園で訓練をする者がいる。

その為、学園は毎日空いているのだ。


「「ゔぇっくしょん!」」


カイトとロイドは全く同じタイミングでくしゃみをした。

口抑えず唾が飛び散った。


「おい、バカ二人汚いぞ!」


ジンは二人の汚い唾を避けるように距離を取った。


「今、アークが俺の悪口を言った。」


「奇遇だな、カイト...ついでに女と一緒にいる気がした。」


「勘違いだろ。 でも、お前らの勘はよく当たるからな。

もしかしたら本当にそうかもしれないな。」


「休日明けにアークをしばきまわすか。」


「協力するぜ、カイト。」


カイトとロイドは手を組んでアークをしばき殺すことを誓った。


「アークも大変だな。」


ローズベルトはアークを少し可哀想だと思った。


「ローズベルト、お前はアークがどこに行ったのか知らないのか?」


ジンはローズベルトにアークの居る場所を訊いた。


「いや、僕も知らないんだ...朝起きてアークとキラの部屋に行ったんだけど二人共居なかったんだよ。」


「そうか。」


(朝早くからあの二人は何をしに行ったんだ?

アークは明日予定があると言っていたがそんな朝からするような大変なことなのか?)


「おーい、ちょっと急ごうぜ。早く行かねぇと先に待っているガラードがブチギレるぞ。」


カイトは三人にそう言って廊下を走り出した。


「カイト、ちょっと待て。」


ロイドはカイトに止まるように言った。


カイトは両足で踏みとどまった。


「ジン、気づいてるか。」


ローズベルトはジンに問いかけた。


「あ〜気づいてる。 変な魔力だな...肌がピリピリする。」


「この感じどこからだ?」


ローズベルトとジンとロイドの三人は変な魔力を感じ取った。


「これ、実験室から感じるな。」


カイトはそう言った。


「とりあえず、実験室に行ってるか。」


ロイドはそう言って実験室に向かおうとした。


「ガラードはどうする?」


カイトは待っているガラードのことについて訊いた。


「あいつもこの変な魔力に気づいてるはずだ。先に行こう。

ちょっと嫌な予感がする。」


「奇遇だね、ジン。 僕もそう思うよ。」


ローズベルトとジンは少し嫌な予感を感じ取っていた。


そして、その嫌な予感が的中するとは誰も思っていなかった。


◇◇◇


実験室に着いた四人は改めて感じた。 異様な魔力に。


「こりゃあ、やべぇな。」


「分かりやすいほどに異様な魔力だな。」


「こん中に一体何があるというんだ?」


「とりあえず入るぞ。」


そう言ってジンは扉を開けた。


四人の視界には大量の本と実験室に貼られた巨大な魔法陣が映った。


「なんだ、このデカい魔法陣は!」


四人は驚いた。 それもそうだ、こんなにもデカい魔法陣が張られていたら普通は驚く。


「発動した後があるな。」


ジンは魔法陣が張られている床に手を当てながらそう言った。


「これ、なんの魔法陣なんだろうね?」


ローズベルトはまじまじと魔法陣を見つめながら、首を傾げた。


「おい、ジンこれ読めるか?」


カイトは大量に積まれた本から一冊の本を取り出し、本の中身を読んでいた。


「貸してみろ。」


カイトは本を軽く投げ、ジンにパスした。


「おい、一応、誰かの本だから大切に扱えよ。」


「いや、でもこの本少し破れてるし、かなりボロボロだから良くないか?」


「いや、良くないだろ。まあ、読んでみるわ。」


ジンはペラペラと本をめくり読んだ。


「よく分からない言語が書いてあるが一応読める言葉の方が多いな。説明とかは全部俺たちが使っている言葉と同じだな。そして、これが魔法陣の錬成の仕方をまとめた本だと言うことが分かった。

読めない言語は多分魔法陣を創る為の文字だと思う。」


「なるほど...それで魔法陣の本だとなんで分かったんだ?」


カイトがジンに問いかけた。


「これを見ろ。」


ジンはカイトだけでなく全員を呼び本を見せた。


「この文字を見てみろ。この文字、床に張られている魔法陣にも書かれている。」


ジンは魔法陣に指をさした。

ジンが指したところには本と全く同じ形の文字的な奴が書かれていた。


「ほんとだ、じゃあ、これは魔法陣の創り方をまとめた本か。 研究結果と言ったところか。」


「この説明を読んだ限りではこの魔法陣は転移用らしい。」


転移魔法陣。

発動した後。


「おい、発動したということは。」


「俺もカイトと同じことを思ってるぜ。」


「誰かが飛ばされた。」


「なんだろうな、アークが関わっていそうだな。

朝から居ないのもおかしい。」


今、分かることはこの実験室で何か大変なことがあったということだ。


「ガラードも呼んで話した方がいいんじゃねぇか?」


(ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ)


カイトはガラードにも話す事を提案した。

妥当な判断だな。


「カイトの言う通りガラードにも話した方がいいだろうな。」


(ガシャガシャガシャガシャ)


「で、ロイド。お前はさっきから何をしてるんだ?」


ジンはどうせ、また変なことをしてるんだろうと思いながらロイドに訊いた。


「なんか、扉があったから気になって開けようとしてるだけだぜ。」


「あまり、何でも触るなよ。 もしかしたら罠があるかもしれないのだから。」


「まさか、そんなテンプレがある訳...」


ロイドがそう言った瞬間、鍵が閉まっていたはずの扉が開いた。


「おっ開いた! 入ってみよう。」


ロイドは別の部屋に入ろうとした。


「ちょっと待ってロイド。」


入ろうとしたロイドの手を掴んで止めるローズベルト。


「どうしたローズベルト?」


「いや、さっきまで閉まってたのに急に開くのは怪しいよ。

絶対罠だから入るのやめよ。」


「ローズベルトの言う通りだ。やめておけ、ロイド!」


「いや、ここは入ろうぜ、ロイド。」


「「え?」」


ローズベルトとジンの驚いた声が重なった。


「なんか、面白そうだし行こうぜ。」


カイトは怪しげな部屋に向かって行こうとした。

その瞬間...


「おい、こら待て。」


ジンはカイトの首根っこを掴んだ。


「アホかテメェらは?」


「ジン、お前、ど...こ掴んでだよ。」


少し苦しそうにするカイト。


「まあ、落ち着けジン。」


「お前らが落ち着けよ。」


「返す言葉もありません...だがな!」


ロイドは強く地面を踏み込み大きな声で言った。


「男には譲れない物があるんだよ!」


「もっと違う場面で使う言葉だろそれ。」


ジンはロイドに容赦ないツッコミをした。


「一体さっきまでのシリアスモードはどこにいったんだろ?」


ローズベルトは苦笑いをした。


「言わせてもらうぜジン。こんな怪しげな部屋には間違えなく罠がある。だが、それでも男なら入ってみたいもんだろ!

好奇心があるだろ。」


「ねぇよ。」


「いや、容赦ないな。」


カイトは思わず鋭いツッコミをしてしまった。自分が首根っこを掴まれていることすら忘れて。


「てことで入ってみよ。」


「おい、寄せやめろ!」


ジンは咄嗟に手を伸ばした。その瞬間、カイトはジンの手を振りほどいて怪しげな部屋に向かって走っていった。


「お先に!」


ロイドとカイトは怪しげな部屋に一歩を入った。

その瞬間。


「消えた。」


ローズベルトは驚いた声を出した。それもそうだ、二人が部屋に入った瞬間、一瞬で消えてしまったのだから。


「だから、あれ程行ったのに...仕方ない、俺らも追うぞ。」


「そうだね、あの二人だけだと心配だからね。」


ジンとロイドも怪しげな部屋に足を踏み入れた。

その瞬間、二人も消えた。


◇◇◇


「なんだ、ここ。」


「なんか、変な匂いがするな。」


ロイドとカイトの視界には様々な色水が入った巨大なカプセルが映っていた。

そして、そのカプセルの中には。


「おい、このカプセルの中にモンスターが居るぞ。」


「あぁ、しかもデカい。」


二人は少しの間、カプセルの中に入ったモンスター達を見ていた。 そして、見ている時に。


「おいバカ二人、無事か?」


ジンとローズベルトもやって来た。


「おっ来たか。」


「ていうか結局来たんだな。」


「お前ら、二人だけに行かせるとろくな事がないからな。

それよりもこの部屋はなんだ。」


ジンはカイトとロイドに訊いた。


「俺達もよくわかってないんだよなぁ。

今、来たばっかだし。」


「ちょっと、三人ともこれを見て!」


慌てた声で全員を呼びかけるローズベルト。


「どうしたローズベルト...」


「おい、これって。」


「なんで二匹も。」


四人は一つだけ明らかにケタ違いの大きさのカプセルを見た。 そして、その中身のモンスターに驚愕した。


「こいつは、アークが戦ったドラゴンじゃねぇか。」


「しかも、二匹も居るぞ。」


「とりあえず、一度戻って職員室に行こ...」


ローズベルトが職員室に行こうと提案しようとした瞬間、二つのカプセルにパキパキという音を立てた。


「おいおい、冗談だろ。」


「これは不味いな。」


「やるしかないみたいだな。」


カイトとジンとロイドは戦闘態勢に入った。


「これ、戦うしかないみたいだね。」


ローズベルトも戦闘態勢に入った。

そして、カプセルが割れた。


「「ギュァァァァァァァァァァァァァァァ!」」


二匹のドラゴンは目覚めた。

そして、その雄叫びと同時に周りのカプセルも割れ、モンスター達が目覚めた。


「雑魚は僕に任せて...三人はドラゴンを!」


「分かった!」


「ジン援護を頼む。」


「言われなくてもそのつもりだ。」


ドラゴンと四人の生徒の戦いが始まった。


◇◇◇


「あいつら、遅えな! 遅刻だぞ! しかも、別の部屋に入って四人で集まってやがる。来たら、思いっきりぶっ飛ばしてやる!」


ガラードはいつまで待たせるのだと思い、機嫌が悪くなっていた。 だが、そんなことはどうでも良くなった。


「あいつらの魔力が消えた。」


ガラードは四人の魔力が感じられなくなり不思議に思った。


「なんか、面白いことをしてそうだな...俺もそっちに行ってみるか!」


ガラードは訓練所を出て実験室に向かった。

お久しぶりです。天音です。

いや、体調崩しまくりで中々書く時間がありませんでした。

やっと最新話投稿出来ました。

次の話は土曜日までに出せるよう頑張ります。

それではまた。

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