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僕たちの英雄伝説  作者: 鬼龍院 天音
1年生編 第二章
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最強の生物

本当なら、このクソ野郎を斬り殺したいところだが、捕らえて組織の情報を聞き出す必要がある。


「良いものが見れたよ、本当に素晴らしい。

殺せという命令が無かったら実験体として欲しかった。」


「お前は人を何だと思っているんだ?」


覇気のこもった圧をかけるような声でアークは言った。

だが、ラースはそれに怯むこともなく堂々と言った。


「人をどう思ってるか、考えたことも無かったな。

まあ、実験材料としか思ってないな。やはり人間は面白くない。どれだけ、解体していたぶっても得られる成果はない。

まあ、強いていい所を挙げるなら気持ちの良い叫びをしてくれることかな。レミ君の泣き叫ぶ顔とか見たいと思わないか。あぁ、速くレミ君を実験に使いたい。泣き叫ぶ顔を見たい。君もそう思わないか?アーク君。」


「お前、つまらないな。」


「やはり、理解することは出来ないか。」


「あぁ、理解出来ないし、理解したくもないな。

それとお前、レミの泣き叫ぶ顔を見たいと言ったな...」


ラースは不思議そうな顔をした。


「俺は友達を泣かせる奴を許さない。」


「ふふっ、アッハハハハハ!」


ラースは高々と大きな笑い声を上げた。


「究極の愛の告白だな。ますます、レミ君を壊したくなったよ! やっぱ君は最終的に殺せればいい。

君にはレミ君の体と心が犯され、壊れていくの見てもらいたい。 そうと決まればレミ君を早く、捕らえようか!」


狂気に満ちた笑顔でラースは語り切った。


こいつ、本当にイカれてやがる。

レミを実験体として使うのをやめて、レミを壊すつもりだ。


「てめぇみたいな薄汚れたイカれ野郎にレミを渡す訳には行かねぇな。 レミが来る前にここで倒す!」


「ふふっ私はレミ君の顔は結構好みなんだよ。

一目見た時から骨の髄まで犯し尽くしたいと思っていた。」


「気持ち悪いな...ロイドやカイトとタメ張れるぐらいだな。」


おっと、つい口が滑ってしまった。


「気持ち悪い? 何を言うのかね、これは純粋な恋心さ。」


何言ってんだこいつ。


「これは私と君とのレミ君を賭けた戦いさ。」


なんだろう、こいつキャラ崩壊しているのか?

それともこれが本性なのか?

とりあえずイカれていることだけは分かる。


「さて、軽い雑談はここまでだ...やれ。」


ラースがそう言った直後、俺の後ろに倒れていたモンスター二匹が背後から襲いかかってきた。


「おいおい、何でちゃんと再生されてんだよ。」


なんていうことだ、さっき真っ二つにしたはずの虎と熊のモンスターが完全に再生して生き返っているではないか。


「私のお気に入りのモンスターは成長するのさ。 君が戦ったドラゴンのようにね。」


「そうかよ、ならこれ以上成長する前に粉々にする!」


アークは両手に魔力を凝縮し始めた。

その刹那。


「ガォォォォォォ!」


虎のモンスターが一瞬でアークの背後を取り、攻撃した。


「シールド!」


アークは咄嗟に攻撃を防ぐバリアを展開した。


さっきよりも速い。 ラースの言う通り成長してやがる。


「さて、二体を同時に相手して一人で勝てるかな?」


「いいえ、三人よ。」


俺の後ろの方角から聞き覚えのある少女の声が聞こえた。


「飛んで、アーク!」


俺は少女の声を訊いて、上空に飛んだ。


「フリーズ!」


少女がそう言った刹那、地面、大気、そして虎と熊のモンスターが凍った。


「今よ、アーク、キラ!」


「僕は虎の方をやる。 アークはそのデカい熊をぶっ倒せ!」


キラは俺にそう言って虎のモンスターの前に立った。


「粉々になれ、爆炎!」


キラは炎を凝縮させ、凝縮した炎を一気に爆発させた。

そして、凍った状態の虎のモンスターは粉々になった。


キラが虎を倒している間に俺も魔力を溜め終えた。


「ぶっ飛べ!」


俺は熊の大型モンスターに魔力のエネルギー砲を放った。

そして、凍った状態の熊の大型モンスターは粉々になった。


「これで終わりよ、ラース。」


レミは氷の剣をラースに突き立てる。

だが、それを無視して粉々になったモンスターの氷の破片を手に取った。


何をする気だ?


ラースは炎魔法で氷を溶かした。

そして、バラバラになった虎と熊の部位が僅かに動いた。


「実験は成功だ!」


ラースは昂った声で言った。


「あんな状態になってもまだ、再生しようとしているのか。」


「あれじゃあ、ドラゴンと同じレベルの再生能力だわ。」


「でも、再生には時間がかかりそうだぞ。 微かに動いているだけで再生はまだ、してない。」


今ならやれる。 俺はそう思い、剣の柄を握った。

その瞬間、ラースは注射器を取り出した。


「あいつ、何をする気なの?」


「さぁ、目覚めなさい。」


ラースは虎と熊のモンスターの部位に注射針を刺した。

そして、部位を地面に投げ捨てた。

その瞬間、ぐちゃぐちゃという気持ちの悪い音と一緒に熊と虎のモンスターの部位が激しく動き出した。


「やばい、再生するぞ。」


「その前に氷漬けにする!」


レミは大魔法を放とうとする。 その刹那...


「邪魔をしないでくれ、レミ君。」


ラースは風属性の斬撃を放った。

レミは大魔法を放つのをやめて、氷の盾で防いだ。


「私は魔力も少ないし、魔法も得意ではない。

無駄な魔力を使わせないでくれ。」


ラースがそう言った瞬間。


「ガォォォォォォ!」


「ヴーガァァァァ!」


二匹のモンスターは復活した。


「また、やり合うのかよ!」


「次こそ、跡形もなく消す。」


アークは鞘から剣を抜き、構えた。


「キラ君、この二匹を真眼で見てくれないか?」


ラースはキラに真眼で虎型のモンスターと熊型のモンスターを見るように言った。

おそらく、魔力の大きさを見て欲しいのだろう。


「なぜお前なんかの命令を訊かないといけないのだ?」


「別に良いではないか。

どうせ、君達が私を捕らえればどうでも良くなる話なのだから。」


「フッ、確かにそうだな...なら、サービスで教えてやろう。

虎の方が魔力21200 熊の方が魔力40200

お前がこれを知ったところで何になるんだ?

お前は戦えないのだろ?」


「ありがとう。」


ラースは不気味な笑みを浮かべた。


「これから、実験の最終段階に入る。」


「実験の最終段階?」


「今から、私は能力を使い、最強になる!」


能力を使う? まさか!


「二つ目の固有スキル!」


「正解だよ、レミ君。 私は今からこの二体を体に取り込み、合体する。」


「一つ訊かせろ。」


俺は今までずっと気になっていたことを訊くことにした。


「何かねアーク君?」


「普通、固有スキルは一人に一つだ。 なのに何故、魔力が少ないお前が二つも持っている。」


「特別に教えてあげるよ。

固有スキルは一定の魔力量を手に入れると発現しやすくなるんだ。だいたい、3000〜4000ぐらいかな。

君達も知っている通り魔力は血液と同じように体に流れる。」


そういえば、この前の授業の時にマキ先生が魔力は血液と同じように体の中を巡ると言ってたな。


「そして、体の中のどこかで流れている時に固有スキルは出来る。固有スキルは体の中を周り、最終的に心臓に定着する。つまり、固有スキルが発現していない者はまだ、固有スキルが体の中で彷徨い続けているのさ。」


固有スキルはそんな仕組みで出来ていたのか。

こいつ、誰も知らない固有スキルの発現の流れを研究で見つけたのか。


「それとレミ君、心当たりはないか? 固有スキルが発現した時、心臓に違和感を。」


ラースがレミに問いかける。 そして、レミは何か思い出したような顔をした。


「えぇ、あったわ。 心臓に何か注がれていくような感じがしたわ。」


「それは君の心臓に器が出来たのさ。

そしてそこに固有スキルの元となるエネルギーを注ぎ込むことで一つの固有スキルが生まれる。」


「それで私の言いたいことは固有スキルは心臓に一つしか定着しないことだ。 それ以上は体が耐えきれないからだ。

だが、例外はある。

それは魔力量が多い者、または器の大きい者。

つまり、固有スキルを複数持つことが出来る程の体であること。 そして、心臓が複数ある者だ!」


ラースの最後の一言を訊いて、三人は寒気を感じた。

そして、嫌な予想が頭を過ぎった。


「こいつ、まさか!」


「そのまさかさ!」


「心臓を複数持っているわね!」


「正解だよ!」


想像するだけで吐き気がしそうだ。


「私は一人の人間から心臓を奪い取りそれを自分の体に取り込んだ。」


「でも、どうやって。」


レミは不思議に思った。 それもそうだ、人間が心臓を二つも体に取り込むのはどう考えても不可能だ。


「私の一番最初のスキルはこのモンスターを取り込むスキルだ。だから、私は体に大量のモンスターを取り込み、体を改造した。私の体はもう人間と言うには構造が違いすぎる。

そうすることで心臓を体の中にもう一つ取り込むことが出来たのさ。」


なんて野郎だ。

自分の体を改造することで不可能を可能にしやがった。


「さて、雑談はここまでだ。この物語の最終章といこう。」


ラースはそう言うと同時に二体のモンスターの体に触れた。

その瞬間、二体のモンスターは丸い黄色と黒色の果実のような物に変化した。

そして、ラースはそれをむしゃりむしゃりと大きな咀嚼音を出しながら食べた。


「グッ、うぉぉぉぉぉぉぉ!」


ラースの叫び声は段々猛獣の雄叫びとなっていった。

そして、160センチぐらいだった身長が段々と大きくなり、やがて4メートル以上の大きさになり、人間の姿とはかけ離れた、ぐちゃぐちゃでおぞましい姿へと変化した。


「さて、戦おうか!」

こんにちは天音です。

次回はある4人が活躍します。

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