英雄学園 Aクラス
俺は春が嫌いだ。
春には桜が咲きそれを見るためにたくさんの人が集まる。要するに俺は人混みが嫌いなのだ。というか人と関わるのが苦手なのだ。
そして今年の春は過去一番嫌いな春だ。
それは...
「あーあなたも私と同じ新入生なのね。」
「本当だ。私と同じ制服だ。」
「新入生同士仲良くしましょう。」
「もちろん!」
約七メートル離れた先から二人の女性の声が聞こえた。
そう、今日はこの英雄学園の入学式なのである。
英雄学園それは16歳になると必ず行かなければならない英雄育成学園である。
200年前、突然世界に神が現れた。
神は『人類を浄化する』と言い人類を皆殺しにした。
誰もが諦めた時、後に英雄と呼ばれる者たちが立ち上がった。勝てるはずもない神に挑んだ英雄達は神から溢れる魔力に触れ、魔力が体内に生まれた。
人類はこの魔力を使い神と戦争をした。
そして人類は神を倒した。だが、神は最後にこう告げた。
『我は復活する。』
神は復活するかもしれないと人類は考えた。だから神を倒すための英雄を作り出すために英雄育成学園(英雄学園)を作り出した。
そして16歳となった子供は英雄になるため、復活するかもしれない神を殺すために英雄学園に2年間通わないといけないのだ。
まあ、行かないといけないと言われているが中には英雄学園に行かない者もいる。
なぜなら、戦えるほど強くないから、魔力が通常の人より少ないから等という理由がある。
そういう者達は医療を学んだり補給部隊になって戦っている人達を支えている。
他にも料理人、衣服関係の仕事などが特に多い。
衣服と言っても戦闘用の服を作るぐらいだけどな。
でも、今ではいろんな服が作られている。
今日から英雄学園に通うことになったアークは憂鬱そうに歩いていた。
「とりあえず入るか。」
学園内に入ろうと一歩を踏み出した瞬間。
「君、新入生かい?」
誰かが俺に話しかけてきた。
「あっ、はい」
いきなり話しかけられたせいかちゃんと喋れなかった。
どんだけコミュ障なんだよ俺!
「そうか。僕も今日から英雄学園に入学するんだよ。これからよろしくね。」
そう言って、笑顔で手を差し伸ばして来た。
俺は彼の顔を見て、握手をした。
「こちらこそよろしく。」
俺は彼の顔みてあることを思った。
いや、こいつイケメンすぎないか?
なんだよこいつ、めっちゃ爽やかな笑顔なんですけど。
絶対モテるタイプの人間だこいつ。
「そういえばまだ、名前を言っていなかったね。僕の名前はローズベルト、君は?」
「俺はアーク」
「アーク君か、いい名前だね。」
「あっあっありがとう。ローズベルトさんもいい名前だよ。」
ダメだ急に褒められたせいでまともに喋れなかった。
くそ、このイケメンが!
「じゃあ学園の中に入ろうか。」
「そうだな。」
俺とローズベルトは学園の中に入った。
学園の中に入ると一人の先生が待っていた。
「入学おめでとうございます。こちらにある紙を見て自分の教室に向かってください。」
クラスはAとBの二クラスだったはず、俺はどっちだ?
「僕はAクラスだ。」
どうやらローズベルトはAクラスのようだ。
「俺はあ、あった。俺もAクラスだ。」
俺はAクラスだった。どうやらこのイケメンと同じクラスのようだ。
「まさか同じクラスだとは思わなかったよ。二年間よろしく。」
ローズベルトは笑顔で手を振った。
たく、笑顔が眩しすぎるぜ。こいつ光魔法でも使ってんのか?
「おう、よろしく。」
この会話二度目のような気がするが気にしないことにしよう。
クラスの中に入った。どうやら俺らが最後のようだ。
それにしてもなんとも賑やかなクラスだ。
みんな誰かと必ず話している。スゴすぎる。俺みたいなコミュ障には不可能なことだ。
「さて、僕もみんなと話し合おうかな。」
まじかよ、ローズベルト!お前自分から話に行けるの?
あまりの陽キャっぷり俺はびっくりした。
というか話し合うって何を話すことあるんだ?
「みんな僕はローズベルト、みんなよろしくね。」
なんだこいつ最強キャラか?
「おう、よろしくな。」
一人の男子生徒が返事をした。
「何あの人超イケメン。」
「そうだよね、後でお食事に誘いましょ。」
やはりそうだよな。みんなもこいつのことをイケメンだと思うよな。
早速モテてやがる。
「そうだみんな自己紹介をしょう。入学式までまだ時間があるし。」
「賛成。」
スゴすぎる。
ローズベルトのやつ一気に注目を自分に向けさせて、自分の空間を作り出した。
多分あいつはリーダーに向いているだろうな。
「よし、まずは僕から!僕はローズベルト、みんなと二年間仲良くしたいです。目標は英雄になっていろんな人を助けることです。よろしくお願いします。」
ローズベルト、シャンパンゴールド色の髪をした高身長の爽やかイケメン、最後の言葉を言うと同時に爽やかな決め顔をした。
完璧な自己紹介だ。後、何だあの爽やかな笑顔。
俺がやったら悪魔みたいな顔になるぞ。
「よろしく」
クラスのほとんどがそう言った。
「次は私。
私はユイよろしくね。好きな食べ物はお母さんが作ってくれるカレーライスです。」
ユイ、チェリーピンク色の髪をしている。身長は他の人に比べるとかなり小さく、華奢な体をしている。
16歳とは思えない姿だ。
おっと、今見ちゃいけないところを見てしまった。
元気な子だ。あの子もクラスを引っ張っていきそうだな。
「なぁ、あのユイって子めっちゃ可愛いくないか?」
「それな。付き合いたいな。」
「お前じゃ無理だよ。」
「何だとぉてめぇ!」
「おーいそこの三人、次は君たちが自己紹介してくれないか?」
ローズベルトがユイさんのことについて話していた三人に声をかけた。
「わかったぜ!俺はカイト!好きなタイプは可愛い子だ。可愛い子は俺に告りに来てな。」
カイト、エメラルドグリーン色の髪した、元気な男だ。
カイトはドヤ顔で可愛い子に対して彼女募集中アピールをした。
もしかしてこいつはバカなのかもしれない。
「お前はバカか?そんな言い方じゃ女の子は近寄ってこないぜ。俺はロイド!可愛い女の子は俺と付き合ってください!」
ロイドはオレンジ色の髪をしたカイトと似たよな性格をしている男だ。
いや、ほとんど同じことを言っていないか?
違いを挙げるなら、カイトという人は相手から告白されることを望んでいて、ロイドという人は自分から告白していることぐらいだ。
「お前も俺とほとんど同じことを言ってるじゃないか。」
「はぁ〜お前ら二人ともバカだよ!」
呆れた目でカイトとロイドの方を見つめ、辛辣な言葉を言った。
「なんだと!」
カイトとロイドが同時に叫んだ。
「まあ、俺も一応自己紹介をしとくか、俺はジンよろしくお願いします。」
ジン、ダークブルー色の髪したクールな雰囲気を漂らせてる男だ。身長はローズベルトと同じ高身長だ。
礼儀正しい人だな。それに冷静だ、こんな状況でも自分を貫き通している。多分冷静に物事を考えて行動しているんだろうな。
こうして自己紹介は順調に進んで行った。
「残りは4人だな、じゃあ次は君!」
ローズベルトはシアンブルー色の髪をした男に手を向けた。
「僕はキラ、よろしくね。」
なんだこの男、めっちゃイケメンだ。ローズベルトといい勝負してやがる。
「ねぇ、あの人もイケメンじゃない。」
「だよね!あの人も後でお食事に誘いましょ。」
お前達はどんだけ食事に誘うんだよ。
「じゃあ次はアーク君」
ついに俺が指名された。とりあえず慎重に自己紹介をしよう。
「俺はアーク、二年間よろしくお願いします。」
普通の声の大きさで普通な自己紹介をした。とりあえず失敗せずに言えただけマシだ。
少し安心したアークは座りながら自分のブラック色の髪を指に絡めて、次の人の自己紹介を聞く体勢に入った。
「よろしく、アーク君。」
お前今日だけで俺に三回はよろしく言ってるぞ。どんだけ挨拶してくるんだよ。いや、嬉しいけど。
「次は君」
次に指名したのはルビーのように真っ赤な髪した男だ。というかあの赤髪の男の人めっちゃ怖い顔してるんだけど。
「俺はガラード!この英雄学園で頂点に立つ男だ!俺はここでナンバーワンになって最強の英雄になる!」
ガラード、ルビー色の髪した男である。
ジンやローズベルトと同じ百八十センチメートルぐらいの身長であり、細いように見えて、たくましい体をしている男だ。
とても荒々しく力強い声だった。
後でこいつ暴君ていうあだ名が付きそうだな。
「ナンバーワンか、いいね!よし、ラストは君。」
最後に指名したのは銀髪少女だ。
少女は椅子から立ち上がった。
その時クラスのみんなが驚いた。なんて美しい人なんだと、綺麗で輝いたホワイトシルバーの髪に透き通るような美しい水色の目をした彼女にクラスのほとんどの人が心を奪われた。
なんて美しい人なんだと、
「私はレミ。先に言っときます。私は本気で英雄になりたいと思っています。だからあなた達と馴れ合うつもりはありません!」
レミは強めの口調でそう言った。
なんかガラードと同じで怖そうな人だ。
「私はこの学園でトップになります。絶対誰にも負けません!」
強気に満ちた宣言とすごいオーラだ。
さっきまで賑やかだったクラスも一瞬で凍りついた。
まさに氷の女王だな。
「上等だ。そのタイマン受けてやるぜ!かかってこいクソ女。」
ガラードが強い口調でレミに反発した。
まるで凶暴な虎のようだ。
この二人はライバルになりそうだな。
「まあ、みんな仲良くね。じゃあ自己紹介も終わったし、入学式に行こうか。」
クラスのみんなが静まり返った。
そして入学式をするために体育館に向かうのであった。
こんにちは鬼龍院天音です。
今回のお話はAクラスのキャラ紹介でした。