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僕たちの英雄伝説  作者: 鬼龍院 天音
1年生編 第二章
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学園内捜索

「痛てぇ、ったく昨日は酷い目にあったぜ。」


昨日の恐怖の大富豪でアークはカイトとロイドにボコボコにされた。

その傷がまだ痛むようだ。


あの二人、次、俺の部屋に来たら用意したトラップで酷い目にあわせてやる。


「おはようアーク。」


「おはようローズベルト。」


俺に挨拶をしてきたのはいつも通りローズベルトだ。

いつもこいつと一番最初に会うな。

ストーカーされてるのか?


「頬が腫れてるね。」


「ローズベルト、何で昨日は止めてくれなかったんだよ。」


「あーそれはね、ジン君が面白いから止めないでと言ったから止めなかったんだよ。」


「あのクソ野郎ぉぉぉぉぉぉぉ!」


何が最高だ!

何がこれからもずっと友達だ!

あの野郎も絶対に許さん!


アークはイツメン三人に復讐することを決意して教室に入った。


「おはよう、アーク。」


「おはよう、カイト。

君、どの面下げて挨拶してるのかな?」


俺はカイトはいつも通り元気な声で明るく挨拶をしてきたカイトに苛立った。


「アーク、昨日は面白かったぞ。

お前がボコられてるの。」


「コノヤロウ、いつか絶対ぶっ飛ばす。」


「朝から元気だな君たちは。」


そう言って俺達の元に三人の男子生徒がやって来た。


「おはよう、フィル、タルトール、キルト。」


「おっす、カイト隊長。」


「カイト、おはよう。」


「カイト殿、おはよう。」


初めて見る顔だ。

いや、クラスには元からいたと思うけど俺が見ていなかっただけか。

それとタルトールって人めっちゃデカイな。

筋肉もすごいし、身長も190はあるぞ。


「カイト、その人達は?」


「紹介しよう。

こいつらは男の同盟メンバーの隊員達だ。」


「男の同盟?

まさか、あれか!

女湯を覗きに行った時のメンバーか!」


「正解だよ、アーク君。」


カイトは博士口調で言った。


「俺はキルト。 よろしくアーク。」


そう言ってあいさつしてきたのはキルトという体格は俺と同じぐらいの人だった。


「よろしく。」


「僕はフィル。よろしくねアーク君。」


次に笑顔であいさつをしてきたのはフィルという身長が150センチの少し小さい子だった。


「よろしく。」


「君があのSSランクモンスターと互角に渡り合ったアークさん?」


「え?」


フィルはアークの手を掴み、目を輝かせながら言った。


「今、学園内でずっと噂になってるんですよ。

ピンチだったレミさんを助けた謎の少年アーク。

彼の戦士ランクは不明、大事な入学前のランクテストに現れなかった謎多き人物で分かることはSSランクモンスターと互角に渡り合う程強いということぐらい。

僕はこれを聞いた時ほんとにすごい人だと思いました。

僕は強い男になりたいと思い、この英雄学園に入学しました。

だから、あなたみたいな強い人に憧れてます。

どうかお友達になってくれませんか。」


「そうなんだ...ていうかそんな噂流れてたの?」


この子、男の子相手でもめっちゃ積極的だな。


「知らなかったのかアーク?

お前は今じゃ、学園内で一番有名だぞ。」


「ちょっと待てジン。 聞いていないぞ! そんなこと!」


ジンは俺の耳元で囁くように言った。


「安心しろアーク。

龍剣のことはバレていない。

あの戦いを見ていた者は俺達とレミさんとトウヤ先生だけだから。」


俺はジンの発言に驚いた。

そのまま大声で喋りそうになったがなんとか堪えてジンの耳元で囁いた。


「お前、龍剣のこと知ってたのか。」


「あぁ、俺だけじゃない。

あの三人も薄々気づいている。

アークの使っていた剣が何か特別の物だと。」


まじかよ。

あの三人も気づいているのか。


「安心しろ龍剣のことは誰にも言わないしあの三人にも誰にも言わないように言っといた。」


「それはありがたい。

龍剣の存在がバレれば大事になる。」


「あぁ、言われなくても分かる。」


ジンに助けられた。

やっぱこいつは最高だ。

ジンの気遣いに免じて昨日のことは許してやろう。


「それであの友達になって貰えますか?」


「あ、僕で良ければ。」


そして、キタァァァァァァァァァァ!

友達が増えたァァァァ!

俺の時代がキタァァァ!


アーク内面クッソ喜んでた。

アークの中は今、大量のSSランクモンスター暴れている感じだ。


「アーク殿、私とも仲良くして貰えますか?」


「はい。」


こうしてアークは三人と仲良くなった。


◇◇◇


今日もいつも通り授業と地獄の訓練をした。

この魔法と体力のトレーニングはいつまで続くのだろうか。

正直かなり辛い。

訓練が終わり俺は教室に向かった。

いつもなら訓練が終わった後はすぐに寮に戻るが今日は学園内を調べる約束がある。


「もう来てたり...」


教室には約束相手の少女が居た。

ホワイトシルバー色の髪は夕日の光に照らされ、美しく光っていた。

窓の外の夕日の光を眺めている少女の姿は美しく、見とれてしまうほどだった。

少女は俺が来たことに気付き振り返った。


「来たわね、アーク。」


「結構待ったか?」


「そんなに待ってないよ。

さて、学園内を調べましょう。」


俺らは学園内を調べ始めた。


「アークはもう全ての教室を見たの?」


「いや、まだだ。

実験室や図書室、後は理事長室だな。

この三つはまだ、確認してない。」


理事長室はほぼ諦めている。

理事長は不在だし学園の教員から許可をもらわないといけないからな。

というか三週間は経っているのに理事長はまだ帰ってこないのか?


「理事長室は理事長が不在だから入ることは不可能だね。

だから、それ以外の実験室と図書室に行きましょう。」


レミさんはそう言って俺の手を引っ張って実験室に向かった。


レミさん?!


何故、手を握った?

別に握る必要が無かったよね。

やばい、ちょっとドキドキする。

それにしてもレミさんの手、柔らかい。

訓練の時も剣をあんなに使っているのに。

どんな手入れをしてるんだ?


俺は色々考えながら実験室に向かった。


「鍵は開いているな。」


「入りましょう。」


アークとレミは実験室に入った。


中は思ったよりも広いな。

この大量の本はなんだ?


アークは山積みになっている本の一番上の本を手に取りページを開いた。


これは魔法式の本。

研究本と言ったところか。


「アークこれ見て。」


手を振ってこっちに来てと合図をするレミ。

俺はレミさんがいるところまで向かった。


「これは...魔法陣?」


「ここで何をしてるのかね?」


俺の右隣に知らない人物の顔があった。

俺は咄嗟に左側に飛び構えた。

レミさんも驚き右側に飛んで構えた。


「そんなに警戒しないでくれ。」


気付かなかった。

足音もしなかったし匂いも感じ取れなかった。

俺の嗅覚と聴覚でも気付けなかったなんて。

ただ者じゃない。


「何者だ。」


俺は少し震えた声で訊いた。


「私はラース。

一応この学園の教員なんだけどな。」


教員だと。

こんな奴いた記憶がないぞ。

俺は学園の教員を全員確認したはずだ。


「まあ、私はずっとこの実験室にこもっていたからね。

今年、入って来た生徒はまだ知らないか。

それでここには何しに来たのかね?」


俺は構えるのをやめた。


敵意は無いようだ。


「すいません、実験室がどんな場所か知っときたくて。」


俺が言うと同時にレミさんも構えるのをやめた。


「そうだったのか。

すまない、驚かせてしまったね。」


「いえ、こちらこそ勝手に入って申し訳ありませんでした。」


「いや、鍵を閉めていなかった私が悪い気にしないでくれ。」


ラース先生はそう言って魔法陣の近くに行き魔法陣の構築を再び始めた。


「その魔法陣は何ですか?」


レミが魔法陣のことについて訊いた。


「これは実験の一つさ。

悪いが実験の邪魔になるので出て行ってもらえないかい?」


「わかりました。」


アークとレミは実験室から出ていった。


「あの先生、実験以外、興味が無さそうだったわ。」


「あぁ、俺らなんて眼中に無かった。

あの先生のことについては俺がマキ先生に聞いておくよ。」


「わかった。」


おそらくあの本はラース先生の物だ。

実験結果とかをまとめた本とかか?

まあ、そんなことよりも俺とレミさんの両方がラース先生が近づいていたことに気付いてなかったことだ。

足音も匂いもしてなかった。

だが、現れた瞬間、ラース先生からは匂いがした。

そして魔法陣に近づく時も足音がした。

このことからラース先生の使った魔法は...


「アーク?」


「あっはい。」


「どうしたの?」


「いや、考え事をしていた。」


「何を考えていたの?」


あくまで予想だがレミさんにも言っておくか。


「ラース先生の魔法いや、スキルについてだ。」


「分かったの?」


「あれはおそらく気配を隠す類のスキルか瞬間移動系のスキルだ。」


「まあ、急に現れたからそう思うのが必然よね。

もし、アークの仮説が正しいとしたらラース先生は何でまるで背後から襲うようなことをしたの?」


「それは分からない。

ただ、怪しいとは思った。

これから要注意人物として見ていくつもりだ。」


「分かったわ。

それじゃあ、図書室に行きましょう。」


レミさんはそう言って再び俺の手を掴み引っ張った。


何だろう、学園内の捜索なのにデートしている気分なんだが。


アークはラース先生のことがあまりにも衝撃的すぎてレミさんに手を掴まれても動揺しなくなった。


「レミさん、何で手を掴むの?」


俺は何となくで訊いてしまった。


彼女は一体何を考えているのだ?


「それは秘密よ。」


彼女は一瞬笑顔を向けた。


何だよそれ。

めっちゃ気になるじゃないか。


「あのアーク。」


レミさんは俺の名前を呼ぶと同時に俺の手を離し歩みを止めた。


「今更なんだけど、私のことはレミと呼んで欲しい。」


「呼び捨てですか?」


「私はあなたのことを信頼している、だから...」


彼女は頬を少し赤らめながら言った。


「私と二人きりの時はレミと呼んで欲しい。」


恥ずかしそうな声で彼女は言った。


「いいんですか?」


「いいよ。

というか前にも言ったけど敬語は使わないで。

私はあなたともっと気軽にその...仲良く話したいの。」


もじもじしながらレミは俺にそう言った。


「レミさんに敬語を使わないというのはちょっと難しいですね。」


俺は苦笑いをしながら言った。


「分かったよ、レミ。」


「ふふ、それでいいのよ。」


「笑うところあったか?」


俺もレミに釣られて笑った。


「行きましょうアーク。」


レミは再びアークの手を掴み、図書室に向かって走った。


「おう!」


お互いに少し笑みを浮かべながら図書室に向かった。

分からないけど何故かその時は気持ちが楽で楽しかった。

お久しぶりです。

明日からどんどん投稿していきます。


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