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一風変わった異世界召喚シリーズ

最強の職業は最果ての村人A

作者: BrainOfKeios

「あぶない!!」


少女が信号無視で突っ込んできたトラックにはねられようとした時

少年は飛び出し少女を突き飛ばした。


そして……


少女の身代わりとなり跳ね飛ばされた。

突き飛ばされた時少女は転倒し少し怪我をしたようだが

それだけで命には問題はない。

少年は少女が無事なところを見ると言った。

「よかった……」


少女が少年に駆け寄ってくる。

少女はクラスメイトで学園のアイドルと言われており、

実は今日彼女に告白するつもりだった。

ただ彼は自分でももう助からないことを理解していた。

下半身が別の場所に見える。

さすがの現代医療でも胴体がひきちぎれたら助からない。

周りがよく見えなくなっていく。

「今日の給食のカレー食べた…」


少年は死んだ。


少女は泣き叫び、少年の亡骸を抱きしめて叫んだ。

「誰か助けて!!」


引きちぎれた体からこぼれ落ちるものを必死の形相で

かき集め戻そうとし、少女は血まみれになっていた。


「今日、彼に告白しようと思っていたのになんで?なんで私のために彼が!!」




そして舞台は変わる。


何もない真っ白い空間だった。

そこには、彼と男性の姿があった。


「ここは一体?」

少年は言った。


「ここは生と死の狭間だよ、加藤少年」

男は言った。


「生と死の狭間?」


「そう君は自分が死んだのを理解しているかい」


「ええ、流石に胴体が引きちぎれたら人間死にますよね。」


「君は少女を助けるために死んだが、その少女は実は私の娘でね。」


「え?斎藤さんが?」


「そう、彼女は私の娘で、神の力を持たない人間の生活を体験するために下界に降りていたんだ。」


「…」


「なので彼女はあの世界で死んでもこちらに帰ってくるのだが、

その際死の苦痛を味わい傷ついてしまうのは間違いない。

だから父として娘を助けてくれたことに感謝する。ありがとう。」


「いえ、斎藤さんを助けられたのならそれでいいんです。それで僕はこれから一体?」


「死んでも次がある我々と違って、本来なら魂を洗浄し、転生するところなのだが

娘の恩人に対してそれでは申し訳ない。」


「生き返れるのですか?」


「流石にもう少し軽傷であれば、運が良かったですむが、胴体が引きちぎれた人間が生き返る

のを見たら君はどう思うかい?」


「それは流石に無理ですよね……」


「ただ違う世界なら問題がない。」


「違う世界?異世界への転生ですか?」


「そうだ、魔法のある世界で、胴体が引きちぎれて死にかけていても魔法で助かる可能性がある世界だ

そこでなら君が生き返っても世界の理に歪みは発生しない。」


「なるほど……」


「君はその世界への転生を望むかい?」


「一つだけお願いがあります。」


「なんだい?」


「残された家族に伝言をしたいのですが可能でしょうか?」


「遺書を生前書いていたとしてこっそり残すことなら可能だ。ただ転生についてやここのことについてなど

矛盾が出るようなものは困るよ。」


「わかりました。それでいつ書けば…」


「それは専用の便箋を渡すから、転生後に書きなさい。描き終わったらそれを君の机の中に

忍ばせておくよ、さあ、さすがにそろそろ限界が近い」


白い空間のあちこちに小さなヒビが入っているのが見える。


「え?」


「無理をしてここにとどめていたが限界だ。転生にあたりギフトを与えるのでこの中から好きなものを

選びなさい。」


「ギフト?」


「その世界では、全てのものがギフト、天職を持っている。時間がない、さあこの中から選びなさい」


少年の前にひかる板が現れそこには、いくつかの職業が表示されている。

「えっと、英雄、勇者、大賢者、聖者、大将軍…村人A?」


「え?最果ての村人Aが入っているのかい?」


「ええ、入っています。他の職業は、厄介ごとがついてきそうなので、一番無難なこれを選びますね。」


「いやそれはまずい…ってダメだ転生処理が始まってしまう。」


「いろいろありがとうございました。」


「いやちょっと待って!!それ以外を選ぶんだ!!」


少年は転生し、その場から消えた。


「これはまずい、まさかあの職業を選ばれるとは…」


少年がいなくなったことで負荷が減ったのか白い空間に入ったヒビが少しづつ修復していく

そしてヒビが無くなろうとした時、パリーンという音とともに空間の一部が裂け、少女が現れた。


「お父さん、加藤さんはどこ?」


「え?お前はまだ下界にいるんじゃ?」


「そんなことどうでもいいから加藤さんはどこ?転生するなら後を追おうと思って死んでみたんだけど

転生処理が始まらないからこっちに来たんだけど」


「いやそんな死ぬほど苦しいというか死ぬ思いをしてまで、いくら神だって死んだら痛いのに…」


「そんなことどうだっていいの!!彼はどこ?」


「彼なら、そのまま死なすのもかわいそうだから、例の世界に送って生き返らせたよ。」


「例の世界って言ったらすぐ死ぬ可能性があるじゃない!!」


「いやちゃんとギフト贈ったから…というか…」


「一体何のギフトを贈ったの?」


「いや絶対選択肢に出るはずがなかったんだけど村人A」


「村人A!?  なら絶対大丈夫だわね。」


「ああ、パワーバランスが壊れるけどね…」


「とりあえずお父さん私もそこに転生させてね。」


「いや…せっかく帰って来たんだし、2万年くらいはゆっくり…」


「お父さんも一度死んでみたい?」


「…」


「早くしないと変な女に彼が捕まったらどうするの?いやどうしてくれるの」


「ちょ…ちょっとまって」


そしてそのころ異世界では、その世界を滅ぼそうとする魔王を倒すべく

勇者召喚が行われようとしていた。


少女は言った。

「大司教、パーフェクトヒールの準備はいいですか?」


「はいモーラ姫、すでにいつでも発動可能です。」


少女はその国の第二姫であった。


「それでは召喚の儀を始めます。」


その世界では、勇者召喚という上位世界から勇者を呼び寄せる儀式が存在していた。

ただ他の世界と違うのは、元の世界では確実に死ぬであろう人間を死ぬ直前に呼び寄せ

治療するという比較的穏便な召喚となっていた。


その部屋の床に刻まれた魔法陣が光だし、目も開けられなくなっていく。


「今です。大司教!!」


その瞬間少年は、体が引きちぎれた状態で魔法陣の上に現れた。


「完全回復魔法パーフェクトヒール!!」

大司教が叫んだ瞬間、少年のちぎれた下半身が接合され

傷が全て癒えていく。


「大司教、彼の命は大丈夫ですか?」


「はい、モーラ姫、ギリギリでしたがなんとかなりました、もう数刻もしたら目覚めると思います。」


「それでは彼を着替えさせて客室にご案内して」


後ろに控えていたメイドが言う。

「はい、姫様」



そして数時間後、彼は目覚めた。


「知らない天井だってこれは定番すぎるかってなんかすごく豪華な場所にいるんですが

おれ村人Aのはずなんだけど…」


そこは王宮の客室だった。

そばに使えていたメイドが声をかけてくる。


「勇者様目を覚まされましたか?」


「え?勇者?俺は違うと思うんですが」


「もしよろしければ、我が国の王に謁見していただきたいのですがいかがでしょうか?

もし食事や湯浴みを先にと言うことであれば、そちらを先にで大丈夫です。」


「もしかして王様が待っているのですか?」


「はいお目覚めになるのをお待ちしておりました。」


「待たせているなら、お腹は空いてないし、妙にさっぱりしているので、このままでもいけますが

すいません、こんな格好でお会いしてもいいのでしょうか?」


「すぐにお会いしていただけるのですね。はいお召し物はすぐに、みなさんよろしくお願いします。」


メイドが声をかけると部屋の外から複数のメイドが衣服を持って入ってきた。


「それでは失礼します。」


「ちょっと待って……」


メイドたちに周りを囲まれ、彼は半強制的に服を着せられてしまう。


「もう、お婿にいけない……」


「すごい筋肉」

「傷ひとつないすべすべのまるで赤ちゃんのようなお肌」

「すごく髪が綺麗」

「てもツヤツヤで爪も綺麗」


誰が何を言ったのかは言うまでもない。


「お召し替えが終わりましたので、よろしければついてきてもらえますか?」


「は、はい、ただ私なんて凡人は役に立たないと思いますが…」


「それはわかりませんよ……、それではこちらに……」


少年は、メイドに連れられ、謁見の間にやってきた。

玉座の前に来ると、メイドは頭を下げ膝をついた。


「国王陛下ご入場!!」


王が謁見の間に入って来て、玉座に座った。

周りにいたもののうち兵士以外が頭を下げ膝をつけていた。

少年も真似ようとしていたが王が言った。


「勇者よ、あなたはこの国のものではない、大切な客人だ。頭を下げる必要はない。」


「え?」


「よくわからず、混乱していると思うが聞いてほしい。」


「はい。」


「我が国は、現在世界を滅ぼそうとする魔王に侵略を受けている。

と急に言っても勇者様からいえば、侵略戦争の道具として呼ばれたのではないかなど

懸念点もあろう。」


「は、はぁ?」


「あとで前線に行って見てもらえればわかると思うが、魔王の軍隊は、決して我々の存在を許していない。

その証拠に、彼らに征服された都市は全て廃墟と化し誰も生き延びていない。

つまり侵略戦争ではなく、これは人類の生存戦争なのだ」


「えっと王様、ひとつ聞いてもいいですか?」


「勇者よ何かね?」


「魔王との対話は成り立たないのですか?」


「それは我が国でも当初考えたが、無駄だった。人あらざる形をし、何も言葉らしきものは出てこない。」


「それは、もともとこの世界にいたのですか?」


「いやそれは空から降ってきた。」


「え?」


「最初は小さい個体ばかりで退治するのもなんとかなったが、半年前隣の大陸にやってきた

直径200ミル(m)の魔王はどうにもならなかった。」


「すいません、魔王は複数いるのですか?」


「ああ、そこがまだだったな。魔王と言うのは、伝承に出てくる魔物の名前でそのぐらい強いと言う意味で

現在わかっているだけでも数万以上と数え切れないほどいる。」


「それを倒すために私を呼んだのですか?」


「ああ、無理によんで申し訳ない、ただ上位世界では魔法がなく、一定以上の怪我をすれば

死ぬと聞いており、おそらく勇者も死の直前だったと思うが違うか?」


「いえ、そのとおりで、そのままでは死すべき運命でした。」


「このような止むを得ない場合のみそのようなものを呼び寄せ、命を助ける代わりに

なんらかの形で助けてもらっている。呼ばれたものは、戦う力がなくても

何かしら役に立つ能力を持っているのでな…」


「ところで王様、なぜ私の名前を聞かないのですか?普通このような場合聞くと思うのですが?」


「それは、この世界では、名前は神聖なもので、それがわかれば呪術でくくりつけることができるからだ。」


「え?」


「そちも奴隷になどされたくなかろう。」


「ええ、まあ」


「なので、絶対にこの世界のことを説明し終わるまで名前のを聞くことを全てのものに禁じている。」


「なるほど……勇者の権利は手厚く守られているのですね。」


「ああ、この説明もしたわけだし、名前とは別で呼び名を決め教えてくれるかな?」


「それでは、カトーとお呼びください。」


「わかった、勇者カトーよ、それでそなたの天職は何なのか教えてもらえるかな?」


「それが…」


「天職はステータスボードと呼べば、目の前に出てくる。よければ見せていただけますかな?」


「いいのですが、多分がっかりすると覆いますよ。ステータスボード」


そこには、天職 最果ての村人Aと言う記述とフレーバーテキスト、そしてスキルと各種能力表示があった。


「え?」

王様や周りの人間が騒然とした!!


「がっかりですよね…」


「村人A……残念だが、いやこれは……」


「村人Aなんてもので申し訳ない。」


「そうではない、勇者カトーはステータスとフレーバーテキストをみてないのか?」


「フレーバーテキストですか?説明ですよね、確かに見てませんが、えっと」


職業:最果ての村人A

ラスボスである魔王を超え、裏ボスである大魔王をも超える

邪神を束ね、多次元世界を支配する大邪神がいた迷宮横の村の住人。

その迷宮では邪神ですら雑魚であり、最弱の村人でも大魔王程度なら

らワンパンで倒せ、邪神とも素手で渡り合えるほどの能力を持つ。


HP 10の 26乗

MP 10の26乗

筋力   10の24乗

知力   10の24乗

精神   10の24乗

器用さ 10の24乗

攻撃力 10の25乗


光魔法 Lv Max

格闘術 Lv Max


スキル

「ここは最果ての村」

この言葉を放つと、そこに最果ての村が住人ごと

移動してくる。最果ての村は、非戦闘地域で、

その村の住人以外は戦闘行為ができない空間となる。


補足 最果ての村の住人の中で村人Aは最弱の住人であり、

大邪神をワンパンで滅ぼした全次元世界で最強の勇者も

引退後そこの住人として住んでいる。



「え?ちょっとこれは……王様、この世界の平均的なステータスって?」


「騎士隊長よお前のステータスを見せてやってくれ」

「はい王よ」


騎士隊長がステータスを表示して見せてくれる。


職業:聖騎士


HP 10000

MP 1200

筋力   5000

知力   2000

精神   2000

器用さ 1800

攻撃力 7000


光魔法 Lv 32

片手剣 Lv 120


「え?ちょっとおかしくないですか?」


「ああ、お前のステータスはおかしい。だがこれほど頼もしいものはない。

ああ、神よ、ありがとうございます。」


王や、周りのものは涙を流し喜んでいる。


「平穏無事な人生を送ろうと選んだ村人Aなのになぜ…」


そしてその時玉座の間に光が差し込んできた。


王の横に控えていた大司教が言った。


「これは、とても神聖な光、もしかして神が……」


光が差し込んだ先は、勇者の前で、そこにより強い光る何かが現れる。

そしてさらに大きく光ったと思うと、そこには一人の女神の姿があった。


「来ちゃった。」


「え?」


そこには斎藤さんの姿があった。


「もう逃がさないから。」

斎藤さんは勇者カトーに抱きついていった。

勇者は逃げ出した。しかし女神からは逃げられない


その後、最果ての村の住人の手によって魔王(宇宙怪獣)はその世界(その銀河系)から

サクッと駆除されいなくなった。


「ダーリン、死んでもずっと一緒だからね。」

彼は一生……いや永遠に捕まってしまった。


なお補足すると、一番勇者にとって厳しかったのは、モーラ姫と斎藤さん、

その後知り合った女性陣による正妻戦争だった。

局地戦やってるところに星系間戦争レベルの兵器持ち込んだらそんなものですよね。

文字通り桁が違う。

ところで書いてて自分でも疑問だったんですが、そんな奴らが攻め込む

ダンジョンの壁の材質って一体……

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