十三話『染み付いた意識』
大変お待たせいたしましたm(*_ _)m
短いです
精霊術の授業後教師にこっぴどく怒られたフェアリはウィリアムと共に廊下を歩いていた。二人の間に会話は無い。フェアリがふと視線を上げると数年前に見たことのある男がいた。
「おやおや、ウィリアム皇太子殿下ではないですか」
どこか偉そうな態度をする男はフェアリなど見向きもせずにウィリアムに話しかける。ここまでくればわかるだろうか?この男はフィルマリアの貴族子息なのだ。
「これはこれは…■■■■■殿。数日ぶりですね。どうですかこの国での生活は」
「悪くはありませんねぇ〜獣人などの下賎なものが居なければもっとですがね?」
たとえ人種が違おうとも大切な国民に対して散々な言いようにウィリアムは手をきつく握りしめているが怒鳴ったりはしなかった。手をあげれば国同士の問題になるからだ。
フェアリは影を薄くしていたがやっと男の視線がフェアリに向き見下す様な、嘲るような表情を見せた。
「それで、そちらの少年は?」
「精霊術師のノアだ。今は俺の従者として来ている」
「そうなのですね」
二人が話している間もフェアリは口を挟まなかった。それは男の、フィルマリア貴族の性格を嫌という程に知っているからである。
「ノア、と言ったかな?どうして口を開かないんだい?」
「…私は殿下や貴方様のように高貴な身ではございませんので」
「ふっ、それもそうか」
フェアリの答えに満足したのか男は去っていった。来た時と同様に我が物顔で。
「はぁ…あの男はフィルマリアからの留学生だ。あんな言動ばかりだが公爵子息ということもあって…な」
ウィリアムは顔を顰めながらもそう言った。ウィリアムに対して丁寧な言葉を使っていようと男の目はウィリアムを見下していた。それでさえウィリアムをイラつかせるのに、目で表情で言葉で見下され貶されたノア。ウィリアムはノアを心配しているのだ。
「すまない。気分を悪くさせるかもしれない」
「いえ、気にしませんよ」
フェアリはそう言って言葉を続けようとし、一度躊躇いを見せたあとこう言った。
「なれてますから」
蔑まれて生きてきたフェアリにとってこんなことなど普通だった。
染み付いた意識は簡単には消せないのだ。
たとえフェアリ自身が過去を振り切ろうとしているとしても、過去は彼女に絡みついて離さない。どれだけ変わろうとしても、染み付いた意識は簡単には離れてくれない。
それを実感したフェアリは自嘲の笑みを零し、悲しげに目を伏せた__
行き詰まってます(´・ω・`)




