???の話
短い
私は普通の学生だった。
家族が居て、友達が居て、恋人が居て…幸せな日々だった。
私は死んだ。
とり方によっては殺されたとも言える。
私は巻き込まれたのだから。
その、事故の被害者である彼女に。
隠しきれない悪意を持って巻き込まれた。
何も無い白い世界で、私と彼女は神に出会った
私は死ぬはずのなかった存在で神も戸惑っていたようだ。
神は彼女に転生をもちかけた。
彼女は喜び、神に多くを願った。
何を願ったのかは知らない。
『そなたは、どうする』
神に問われた。
ちょうどもう一人、魂のない存在があるのだと言う。
だから私は願った。
『私』としての記憶をなくすこと。
幸せな生活を保障すること。
私がそう願ったからあの子は生まれた。
私の魂があの子という存在を作り出した。
始めは理不尽だったかもしれない。
それでもあの子は幸せになれるはずだ。
あの子の愛はきっとまだ不完全で未完成。
歪で間違っているように見えるかもしれない。
見返りを求める愛が間違い?
我が為の愛は間違い?
いいえ。
どんな形であれ愛は愛。
間違いかどうかを決める必要はないのだ。
世界に存在する人の数だけ形があるのだから。
だからこれは私の、私だけの考え。
彼女の誰かを犠牲にする愛は愛ではない。
彼女の作り物と現実を重ねる愛は愛じゃない。
たとえ、もう神が彼女のことを見限っていても。
たとえ、彼女が願ったことが叶えられていないとしても。
彼女は永遠に気がつくことは無いだろう_




