2.command,
/悲しい話です。 クラスメイトの凪葉凛さんですが、急な理由で転校をしました。 あと...しばらくの間図書室は立ち入り禁止です。 理由ですか? あぁ、エアコンのメンテナンス...です。/
いつになく元気のない担任がそう言い終えると、教室はざわついていた。特にヒエラルキー上位の女子たちが深刻そうな表情でいた。
「やばいよ。隣のクラスの山川茉奈もいなくなったんでしょ?」
「そうよ。それに図書室ね 血だらけだから警察も来てるんだって」
彼女らはこれが数日前にSNS上で話題となった「2098事件」じゃないか って騒いでいた。もちろんそれが証拠がある事実かどうかはわからない。だが、噂になっているということは広めた人物がいてもおかしくない。
「なぁ、女子。根も葉もないこと言ってるんじゃねぇ」
「嘘じゃないもんっ。杏はしっかりみたもん! 血だらけで運び出された凪葉ちゃんを!!!!」
それを言った瞬間教室を出ていこうとした担任が泣き崩れた。嗚咽交じりで...
「いやぁぁ もう やだ みたくない みたくない あか 赤いの いやだぁぁ」
それから異変に気付いた隣のクラスの担任によって、うちのクラスの担任は職員室へと連れられ早退した。
静まる教室。時計の秒針が動く音が響いている。そんなクラスメイト達の中で僕だけがいつもと変わらずにいた。
「(君たちはそれでいい。彼女が大けがでもしたと思っていればいい 実験は続けないとな)」
***
目が覚めると、コンクリートの壁に囲まれた薄暗い部屋だった。金属の窓がない扉だけがあり窓はない。今時珍しい蛍光灯が青白く私を照らしていた。
部屋は、正方形で4メートル幅で扉の反対側にベッドが置かれていてそこに私は寝ていたようだ。
特に、拘束された様子もなく自由に動き回れる。恐る恐る扉に手をかけると鍵がかかっていた。
「鍵...」
目が覚めてから2時間?くらい経ったと思う。ぼんやりとしているとドアがノックともに開いた。
「やぁ、凪葉さん。気分はどうかな」
入ってきたのはクラスメイトの葉波みなと君だった。
「葉波君?が私をここに?」
「違うよ。僕は君の様子を見に来ただけだよ。 そして、状況を説明するために」
そういうと、葉波君は封をされた大きい紙袋を私に手渡して「着替えが終わったら外に出てね。待ってる」と言って出ていった。
紙袋には、「(軍事)女性用防護服キット」と書かれていた。
中に入っていた服を着た。 黒で統一されたその服は、動きやすいズボンとぴっちりとしたインナーに羽織る感じのジャンパーだ。 腕の部分には、「EBA」と書かれている。重たい扉を開けて外に出るとそこはもろ地下と言った風景が広がっていた。
「よかった似合ってる」
葉波君も着替えたらしく私と同じ格好をしていた。 それにしても、コスプレみたいな恰好をさせて何をするつもりなんだと今更ながら思った。
「何をしたいの?」
「まぁ、外の様子を見てから話そう」
葉波君についていきエレベーターに乗った。表示は、見慣れないアナログタの計器がいくつもあるだけで見慣れたエレベーターではない。
「ちょっと待ってね」
葉波君は、そういうとUPと書かれたボタンを押しながら計器を確認していた。
「この計器って...」
電力が止まっているから自家発電で動かしているんだよ。と教えてくれるとゆっくりと上昇するエレベーター。
「ついたよ」
10分ほど乗車して降りると目の前にガラス張りの夜景が見えていた。だが、そこは確かに見覚えのある千葉副都心だが何かがおかしかった。