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西軍を勝たせたくてあの人になった件について  作者: 藤ノ木猿吉
第一次関ケ原の戦い編
8/12

ようやく女性の正体が分かった件について

お久しぶりです。最新話です。

 関ヶ原から伊賀の里に移動した俺と俺を助けた女性、忍に狙われた俺、俺を助けてくれた大柄の男、その正体は村上武吉。


「この男があの、某ゲームで水軍を選択した時に苦戦するやつなのか」

 俺が前を歩く武吉の巨大な背中を見ていると。

「どうした秋」

 武吉は俺の視線に気づいたのかこちらを見てきた。

「いや、なんでもないです、あの、ちなみにどこに向かっているのですか?」

「すまない、まだ言ってなかったな、伊賀を抜ければもうすぐそこだ」

 俺の乗っている馬の前に座っている女性が後ろ振り返ってそう言った。

「すぐそこではないと思うぞ、景姉さん、それともう少し急いだ方がいいんじゃないか」

 武吉は笑いながらそう言った。

「武吉、私はお前が疲れてると思って、こうしてのろのろと」

 女性は若干不機嫌になりながらそう言い、武吉の横に並走した。

「なら急ぐか」

 武吉は突然走り出した、ひょっとして馬より早いのではないだろうか。

「そうだな、お前たちも私についてこい、全速力だ」

 女性は振り返りながら、後ろをついてきている足軽たちにそう言い、馬を走らせた。

「いきなり、速度出さないでくださいよ」

 俺は必死に女性の腰に掴まった。

 

 暫く馬を走らせると遠くの方に雲がかかってよく見えないが、でかい城のようなものが見えてきた。その間、武吉は一切失速させることなく俺たちの隣を走っている。この男凄いな。

「やっと見えて来たな、標的だ、間違えた俺たちの目的地だ」

「武吉、そのミスはあのお方の前ではするなよ、小早川家が潰される」

「分かってる、分かってる、小早川家が潰されたら、俺たちが困るからな」

 女性はまた機嫌が悪そうにそう言ったが、武吉は正反対に笑っている。

「いや、小早川家が潰されたらお前たち、村上水軍も潰されるぞ」

 村上水軍が潰されると聞いた武吉は露骨に驚いていた。

「景姉さん、小早川家が潰されたらどうして俺たちも潰されるんだ」

「当然だろ、お前たち村上水軍は小早川家専属の水軍だ、あのお方に頼んで小早川家の傘下にさせてならったことを忘れたのか」

 歴史が変わったこの世界では村上水軍は毛利のものじゃなくて小早川のもの、つまり俺のものってことか。

「村上水軍って、毛利、直属のものじゃないんですか」

 あ、言葉にしていた。でも、大丈夫、誤魔化しは得意だ。

「秋、毛利家の話は……」

「秀秋、その家の話はするなと言ったはずだぞ」

 女性は俺の方を見ながら、強くそう言った。目が少し赤くなっている気がする。

「すみませんでした」

 俺は女性に強く言われるのが苦手だ。それとそんな目で言われたら考えてしまう、誰か身近な人を毛利軍に殺されたのかな。

「こちらこそすまない、つい熱くな……」

 女性は声を詰まらせそう言うと、下を向いた。

「秋、景姉さん、もう着くぞ、気を引き締めろ」

 武吉は今までと違う真面目な声でそう言い、着崩れた服を整えた。女性を泣かせてしまった、でも、俺はどうしたらいいのか分からない。


「分かっている、武吉、先に行ってくれ」

 女性は、涙声でそう言った。

「景姉さん、俺たちはさっきお前が言ったように、小早川家傘下の村上水軍だ。お前がいくら当主の座を秋に譲ったとしても、お前は俺たちの主人だ、村上水軍はお前が進まないなら進まない、お前を置いていくことはない、その因縁に決着をつけるその日も村上水軍はお前と共にある」

 武吉は空を見上げながらそう言い、下を向いている女性の頭をでかい右手で持ちながら上に上げた。


「武吉、すまない、この因縁を思い出すとどうしても、私は弱くなってしまう」

 顔を上に上げられた女性の目はもう泣いていなかった。ん? 小早川家の当主ってなんだ。


「……ッ」

 女性と武吉は固まって、お互いを見つめていた。なんで見つめ合っているんだ。ついでに馬も固まっている。

「よく戻ったな、隆景」

 隆景? 誰のことだ。それとこの猿に似ている爺さんは誰だ。

「殿、こんなところで何をされているのですか、危ないですよ」

「そうですよ、殿下、城から近いとは言え、何があるか」

 馬からすごい勢いで降りた女性と武吉は爺さんの前に膝をついた。

「大丈夫じゃよ、隆景、村上殿、ここは城から近い、何かあればすぐに対応できる」

 爺さんは不気味に笑いながらそう言った。

「あの、さっきから隆景って呼んでいるのは誰のことですか」

 あ、また言葉にしていた。

「秀秋」

「秋」

 女性と武吉は同時に俺を睨んできた。怖い。

「ふはははははは」

 爺さんは突然笑い出した。これも怖い。

「小早川殿は面白いことを言いおる、非常に面白い冗談じゃ、のう? 隆景」

 爺さんはそう言いながら、膝をついている女性を立たせ、自分の元に抱き寄せた。

「久しぶりに殿に会って秀秋も嬉しいのでしょう、殿下を楽しませようとしているのです、お気になさらないでください」

 そう言っている女性の顔は引きつってい……。

「え? あなたが小早川隆景なんですか」

 あ、また言葉にしていた。


久しぶりの最新話は、いかがだったでしょうか?


評価、コメントお待ちしております。


ブックマークもぜひぜひお願いします。


と、いうわけで、更新再開です!


次回「ついに憧れの人に対面できた件について」


お楽しみに。


Twitterにしてます、よろしければ見てください、と言ってもあまりツイートしないです。

@FujiN_7moky

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