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西軍を勝たせたくてあの人になった件について  作者: 藤ノ木猿吉
第一次関ケ原の戦い編
10/12

城門から嫌なやつが出てきた件について

第一次関ヶ原の戦い編、この話を含めてあと3話です。

 俺を関ヶ原の戦いで助けた女性が小早川隆景だと知ったのも束の間、謎の爺さんが天下人、豊臣秀吉だと知ることになる。秀吉様から滲み出る覇気に押し潰されそうになる。そんな中、武吉は俺が偽物の小早川秀秋だと気づき始めていた。


「ひゃぁ……ここが豊臣秀吉の城、大阪城、いや大坂城か、ちかっぱ凄かぁ……」

 俺は憧れの大坂城を見て、感激のあまり福岡県生まれではないが、福岡弁が出てしまった。と、言ってもまだ閉まっている城門の前だが。でも分かる、この城は正真正銘、秀吉様の城だ、城が覇気を纏っている。

「たまには我が城に歩いて帰るというのも良いものじゃな」

 秀吉様はボソッと微かに笑いながらそう呟いた。

「殿、あまり外を出歩きますと臣下が心配しますのでお辞めくださいませ」

 隆景さんは小声で嫌味のようにそう言った。

「そうですよ、殿下」

 武吉も隆景さんに合わせてそう言った。


 ギイイイイ。

 城門の前でそんな事を言っていると門が時代劇で良く聞いた鈍い音を立てながら開いた。

「秀吉様! 心配しましたよ、まったく」

 開いた門から隆景さんと同じ猿の絵が身体の部分にでかでか描かれた着物を着たおそらく俺と同い年ぐらいの男が呆れた顔で出てきた。

「すまないのぉ、秀家」

 秀吉様も呆れた顔でそう言った。秀家ってことはあの五大老の宇喜多秀家か……にしても若いな。

「……ッ、隆景様!」

 秀家は秀吉様の隣に居る隆景さんを見るや否や、片膝を地面につき、跪いた。

「秀家、久しぶりだな、元気だったか」

 隆景さんは自分の前に片膝をつく秀家を見慣れているようでそう言った。

「秀家、立場上はお前の方が上なんだから、景姉さんの前に膝をつくのをやめたらどうだ」

 武吉はそんな秀家を軽蔑しているようだった。

「武吉、貴様如きがこの俺をお前呼びとは頭が高いぞ、控えろ、まったく」

 秀家はゆっくりと立ち上がり、武吉の方を睨みながら右腰に差している刀の柄に手をかけた。

「……ったく、冗談も通じないのかよ、このボンボン大名は……とは言っても殿下の前だからな」

 ブツブツと文句を言いながらも武吉は片膝を地面についた。そんな武吉を満足そうに秀家は見下した。

「何をしている秀なんたら、貴様も膝をつけ、まったく」

 秀家は目線を武吉から俺に変えていた、その目は明らかなに俺に敵対心を感じる。

「あ、すみません、すぐ膝をつきます」

 俺は言われるがままに片膝を地面に。

「秀秋! まさか俺の前で、隆景の前で、豊臣家当主の前で、小早川家当主がそのボンボン大名の前に膝をつこうってわけじゃないだろうな!」

 片膝を地面につこうとした瞬間、武吉は大声で声を荒らげた。

「村上、お前は黙っていろ、これは大名同士の問題だ……まったく」

 秀家はまた刀の柄に手をかけた。

「いや、それは違うな、ボンボン、俺たち小早川家の問題だ」

 武吉はゆっくりと立ち上がり、秀家が手をかけている刀の柄に自分の右手を乗せた。

「無礼だぞ、貴様如きが俺の手に自らの手を被せるなど、まったく」

 秀家は自分の手の上に被さっている武吉の手を睨みながらそう言い、刀を引き抜こうとした。

「おっと、刀は抜かせないぞ、どうしても抜きたいなら俺の手を切り落としてからにするんだな。とは言っても、そのためにはその刀を抜かねえといけねえけどな」

 武吉は大声で嫌味のように笑いながらそう言った。

「武力が使えないなら、俺は自分の地位を、権力を使わせてもらう、豊臣四天王、宇喜多家当主、宇喜多秀家として命じよう、小早川家とその臣下、村上水軍は今、このときをもって……」

「待て、秀家、私情でそれも身勝手に小早川家を潰すことは見過ごせない」

 秀家が小早川家お取り潰しを宣言する寸前に神妙な顔で黙って話を聞いていた隆景さんが言葉を発した。

「隆景様、お言葉ですが……大名ではない貴方は黙っていてください、まったく」

 秀家はそう言いながら、隆景さんを力強く睨みつけた。

「秀家さん、やめてください、今ここで立場は関係ない、それに隆景さんは小早川家の先代の当主ですよ、先代の当主にそのような言い方は聞き捨てならない」

「何を言っているんだ? 秀なんたら、お前、小早川家現当主なのに知らないのか? 隆景様が当主を退いた理由を、退かなければならなかった理由を、まったく」

 隆景さんが当主を退かなければならなかった理由? 秀吉様の側室になったからとかじゃないのか。

「知らないのであれば、俺が親切丁寧に分かりやすく教えてやるよ、まったく」

 親切丁寧って……俺っていうか、小早川秀秋ってどれだけ馬鹿だと思われているんだろうか……。

 ふと、隆景さんに目を向けると身体を僅かに震わしていた、武吉はそんな隆景さんを見て、今にも秀家に殴りかかりそうだった。

「秀家、その話は関係ないぞ、それと何の意味もない話はそこまでにするのじゃ」

 秀吉様はこれまでの話を聞いていたのか、いないのか、眠たそうな目をしている。ずっと立っていて疲れたのかもしれない、申し訳ない。

「しかし、秀吉様、この者たちは俺に無礼なこと言ったのですよ」

 秀家は今までの余裕はどこに行ったのか、動揺を隠しきれていなかった。

「だからどうしたのじゃ? お前に小早川家が無礼をしたからと言って、この家を潰す理由にはならないぞ、思い上がるのも甚だしいのぅ、はははは」

 秀吉様は目を一切笑わさずに声だけを笑わして、言葉を続ける。

「あんまり、思い上がりすぎると、宇喜多家をワシ直々に潰すぞ」

 そう言うと秀吉様は門を通り、城内へ歩き始めた。

「申し訳ございません、それだけは、それだけはお許しください」

 その言葉を聞いた秀家は凄まじいスピードで頭を地面に擦りつけた。しかし、秀吉様は、地面に頭を擦りつける秀家を見ていないし、それどころか秀家の言葉を聞いてすらいないだろう。

 



最後までお読み頂きありがとうございます。

前話の後書きに書いた「上田の家臣が現れた件について」は次回書かせて頂きます。


評価、コメントを心よりお待ちしております。


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ブックマーク、評価、コメント、とても励みになります。


次回「上田の家臣が現れた件について」


お楽しみに。




Twitterにしてます、よろしければ見てください、と言ってもまだあまりツイートしてないです。


これからツイートをしていく予定です。


@FujiN_7moky

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