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この殺伐とした世界に平和はない

4


あの神が俺を転生させた理由は気まぐれだったが、俺にとっては幸運だった。

約束通り転生し、村人になったのは以前話したよな?


朝起きては畑を耕し、昼になれば魔物を狩り、夜になれば死なないために修練を積まなければいけない。

最初は転生したことからきた興奮や、前世のブラックな環境から解放された喜びで田舎でスローライフを送っているようなそんな気持ちだった。

だが、あの限界集落は、俺以外の子供はいねぇし女もねぇ。

最初は村のババアが使う魔法に興奮したものだが、使える種類は2、3個程度。

見飽きてしまったし、そもそも俺には使えんし。

田舎過ぎて商人も来ない、領主の兵が微収しにくるわけでもない。

村にある本も少ない。

職業的に魔法とか使えない。

教会もない。

料理も地味で飽きる。

転生者だけど、役立ちそうな知識とかない。



この世界が魔物とか言う超怪異的存在に脅かされ、人間は職業という呪われたシステムの下に生きているせいか、前世で言われていたファンタジー世界よりもダークで澱んでいる。

村人たちは時にして盗賊に変貌し、周辺の村と戦争を行い、奪った男は労働力へ女は逃げられないように手足を奪われ、ぼろぼろになるまで使われ、子供は食べ物を与えられずひたすら雑用をこなすことになる。

当然、ほとんどが死んでいき死体は他のゴミとともに穴に埋められ捨てられる。

俺の村も3年に一度くらいの周期で戦争を行い、毎回勝利していた。

平和な世界、いや平和で腑抜けた国で育って悲惨な面を見ず死んだ前世を持つ俺は最初はこんなの間違っていると、やめさせようと思っていた。


だが、奪わなければ死ぬ。


それがこの世界の法則だ。


そうわかってからは自分のために、奪われるような弱いものにならないように死にものぐるいで修練をし技術を習得した。


勝ち続けた無敗記録の神話もそう長くは続かず14度目の冬、周辺の村でも特に仲が悪かった珠眼の村とうちの村である血呪の村で大規模な世界が行われた。

相手側の珠眼の村は珠眼の人種のみで集まった村で珠色の眼の人が世界で最も優れているとか前世の隣国を思い出させるようなことを主張しており、それに対してうちの血呪の村の由来は、職業によって制限を受けず誰でも使える独自の魔法、血呪術というものを使う人種で集まっていたからだ。

血呪術は、血を使った結構おぞましい魔法で、黒魔術とか邪神教徒とか言った方がわかりやすい。

もしくは吸血鬼。


血呪術は村に受け継がれる特殊な刺青を彫ることで発動可能で俺も使うことができる。

上であげていた奪った村人の使い方はウチには該当せず、いつも儀式の材料として潰されていたし、人間由来の材料をよく使うので捨てられることはなかった。


村のババアが言っていたが

『人間、余すところがない』


だとよ。クジラか!


つまらないツッコミはさておき、戦争の発端はなんだったか。

うちの村長は向こうが畑を荒らしたとかなんとかと説明していたが、俺は見たぞ。

村長が地下で珠色の眼をした女を抱いていたのを。


戦争になると知った時俺は確信した。

あ、村長が原因だろ。と

ばったり出会えば殺し合いが始まるような仲が悪い人種がうちの村で暮らせるわけがないし、そもそも女は外に出ないというのがほとんどの村のルールであるから、どうせロクでもない方法で拉致したんだと思う。


三人称という神の目線で見てたわけじゃねえからわからないが、戦いは泥沼だった。

職業というシステムで強化された人間の持つ不思議なエネルギーを取り込み更なる強化が可能な血呪の村と、個人によって様々な能力を持つ珠眼を持ち、人数もこちらの3倍はいる珠眼の村。

当時、戦士職を第四段階まで解放し、守護騎士という職業になっていた俺は例の血呪術により6人ほどの力を取り込んでいた。

守護騎士は盾を持つことで防御力が凄まじく上昇し、移動速度が落ちるがスタミナ回復と身体回復という効果、スキルみたいなのが発動する。

動く要塞的な存在で、超強い職業だが囲まれて仕舞えば死ぬ。

防御力向上というのはなかなか謎な効果で、敵意有無関係なく自分に害がありそうな攻撃に対して防御力が向上し身を守るというもので、肌が鉄のように硬くなるとか、血管が浮き出るほどムキムキになるなんてことはない。


第四職ですらそんな人外職だが、うちには4職が30、五職が8、六職が2いた。

俺の親?第二職止まりだ。


戦争では前世の陣なんて全く役立たない。

前列に戦士職、2列目に魔法職または狩人系、3列目に回復職、4列目にまた戦士職

技術者は待機だ。

戦士♤、魔法♡、狩人♧、回復♢で表すと


♤ ♤

♡ ♡


とか、

♤ ♤

♧♡♧

こんな感じの隊の組み方だ。

前列が盾役になり、魔法、狩職が遠距離攻撃、回復が盾役と敵の攻撃により負傷した魔法と狩職を癒す。

後ろにいる戦士は相手に回り込まれた際に命がけで壁になったり、前列に何かあった時の予備だ。


ちなみに囲まれた際は

♡ ♡

♤♢♤

とか

♧♡

♤♢♤

に組めと子供の頃から散々聞かされたし、訓練も受けたおかげで戦時でも出来た。

俺も眼が斬られたり、敵の魔法で焼かれたりしたがその度に回復職と職業の効果により一瞬で元に戻り、狼狽える敵を叩き潰した。


結局、どちらかが白旗をあげるとこなく、気づいたら俺一人しかいなかったみたいな状況で、勝ったのか負けたのかよくわからない戦になった。


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