その3
■ミドルフェイズ
GM:では皆さんは警戒しつつ森に分け入りました。このあたりはまだ木もまばらで、充分に明るいです。
蒼子:はーい。
GM:しかし、しばらく進むと周囲の茂みから「ガサガサガサ」という音がしたかと思うと植物型のモンスターが飛び出してきます。他の茂みにも何かが潜んでいるようですね。ブリーフィングに入ってください。
ロシナンテ:あ、そうだ蒼子。〈灰の指輪〉貸しとこう。《装備の変更》と《受け渡し》。
蒼子:じゃあ、お借りした〈灰の指輪〉を《装備の変更》をして、その魔力で《ハートビートヒーリング》をロシナンテさんに。[再生:14]です。で《装備の変更》。指輪をはずして、《受け渡し》でロシナンテさんに渡します。
ロシナンテ:じゃあ、受け取って《装備の変更》で装備します。
GM:うわ、そういうことですか。狡猾ですね。(註1)
目映:《禊の障壁》で、ロシナンテさんに[障壁:24]。さらに《スウェア・バイ・ソード》で対象を同じくロシナンテさんに。
ロシナンテ:ちょっとしたお姫様気分だな。あとは偵察か。
蒼子:基本動作の《敵情を探る》しかできないか。ファンブルはしないでね。
ロシナンテ:ほいほい。じゃあ、行ってくるわ。よいしょっと(コロコロ)ファンブル。
一同:(爆笑)
蒼子:それだけは駄目えええ!(笑)
ロシナンテ:ダメと言われても出たもんは仕方ない。因果力で振りなおす。(淡々)9か。失敗だな。【因果力】0。
目映:これってファンブルして敵にばれたらどうなるの?
GM:迷ったら全員のヘイトに+3とされているので、それを採用したいと思います。
目映:それは怖いねえ。…失敗。
結局「妖怪1たりない」が暗躍し、誰一人偵察に成功しないまま戦闘開始となる。
蒼子:さすが〈回復職〉……(笑)
GMではエネミー配置。A4に2体、D2に1体、H5に1体。PCの初期配置はD5もしくはE5です。
PC達はしばし迷うものの全員E5に配置。
蒼子:これはいわゆるアスターテ会戦ですね。(註2)
目映:なにそれ?
ロシナンテ:とりあえずH5の敵からか。
GM:では、敵の名称とランク、タグ、行動力を公開。〈人喰い草〉、ランク1、[植物][自然][モブ]、行動力3です。
蒼子:相手の方が早いんだ。しかも4連続?普通に包囲されるよキルヒアイスー!?
目映:これ、最初の洗礼として有名なんだよねー。
GMでは、行動力順にセットアップを解決しましょう。〈人喰い草〉ABCDはいずれもセットアップに行動を宣言しません。
蒼子:こちらはロシナンテさんとあたしが2で同値…《エネミー識別》するね。全部同名なら一体わかればいいはず。ガンバルゾー!(註3)
GM:では難易度は8です。
蒼子:(コロコロ)あー、だめだ、5。「メインとレベルがかけ離れすぎてるから思い出せない!」
GM:ではわかりません。
目映:ロシナンテさんは《インヴォークリアクト》するよね?
ロシナンテ:いや、しない。ちょっと攻撃を散らさないと4発はきびしそうだ。
目映:え、でも…。
ロシナンテ:他の奴に一発行ってくれたら《リアクティブヒール》で調整する。という訳で俺も《エネミー識別》しよう。(コロコロ)9だな。
GM:では、こちらのデータを。
目映:んー、あおちゃんに《禊の障壁》。[障壁:24]。《御霊の守護》の効果でヘイトは上がりません。
素直にセットアップでヘイトをあげて敵の攻撃対象を固定するというオーソドックス戦術を取らなかったロシナンテ。その選択が吉と出るか凶と出るか。全員ヘイトアンダー状態で戦端が開かれる。
GM:では行動値3の処理を。AはA4からD4に《ダッシュ》して(コロコロ)、ロシナンテさんに《蔓の鞭》で攻撃。
ロシナンテ:ヘイトアンダーで+2があるとはいえ目標値12は…(コロコロ)ダメか。
GM:ダメージは2d+25物理ですね。35点です。
ロシナンテ:物理防御が14点、「矢弾き」による[軽減(至近以外からの攻撃):10]、で11点[障壁]が削れた。ヘイトアンダーだからヘイトダメージはない。
続くBもD4に踏み込んでロシナンテに攻撃。[障壁]を削る。
ロシナンテ:残り4。
蒼子:他が散ってくれれば…。
続くCも《ラン》でD4に踏み込んで……
目映:うわー、《剣の神呪》取っておけばよかったって思わすのやめてー。
GM:(コロコロ)おや、対象は蒼子さんですね。マイナーアクションも消費するのでダメージが通れば[硬直]つきです。
蒼子:ここであたしかー。
ロシナンテ:ちょうどいいといえばちょうどいいな。
蒼子:そうと言えばそうなんだけど(コロコロ)、オッケー回避!
GM:ではDですね。《ラン》でG5に踏み込んで、マイナーも使って攻撃します。対象は(コロコロ)もう一回蒼子さん。
蒼子:またあたしかー(怒)
ロシナンテ:まあ、[硬直]入っても大して困らんだろ。
目映:ロシナンテさん冷たい。
蒼子:まず回避 (コロコロ)ダメだったー(泣)
GM:ではダメージは33点物理です。
蒼子:よしぴったり止まったー!物理防御9点と[障壁:24]で丁度!
GM:これで死の一手目は乗り越えましたね。次は行動力2のロシナンテさんと蒼子さんですね。
蒼子:次のラウンド《インヴォークリアクト》するよね?じゃあ、《ラン》でE7に移動。マイナーは特になし。G5の〈人喰い草〉Dに《ディスミサル》。命中値は10で抵抗して。
GM:では〈人喰い草〉Dは倒れます。
蒼子:よし!では、ヘイト1です。
ロシナンテ:《ラン》でD4へ移動。マイナーは無し。メジャーで〈人喰い草〉Aへ《ホーリーシールド》。ヘイト1上昇。命中は11で回避を。
GM:命中です。ダメージを。
ロシナンテ:11点貫通。
GM:計算が楽ですねー。次は行動力1の目映さんで。
目映:《ラン》でE4。マイナーは同じくやることなし。《白蛇の凶払い》でAを攻撃。命中は2d+4で(コロコロ)10。
GM:命中です。
目映:ダメージは21点物理。[障壁:15]がわたしに。ヘイト2です。
GM:でけぇ!?〈人喰い草〉Aが倒れました。
蒼子:おー。さすが《ウェポンマスタリー》2ランク持ち。
GM:クリンナップ処理は何もありませんね。では次のラウンドです。
最初の試練と名高い第一ラウンドを〈回復職〉のみのパーティーで乗り切った一行。この時点でヘイトは蒼子:1、ロシナンテ:1、目映:2である。
続く第2ラウンドはセットアップにロシナンテが《インヴォークリアクト》でヘイトを2上昇させる。蒼子はヘイトの上がる《ハートビートヒーリング》を避け、《異常探知》をしてフィールドの危険を確認。目映は《禊の障壁》でロシナンテに[障壁]を貼りなおした。
GM:では〈人喰い草〉BCの行動ですね。Bはヘイトトップのロシナンテさんに攻撃をします。ムーブで《這いずる根》を使ってB4へ退避。マイナーも使って《蔓の鞭》です。
ロシナンテ:回避は失敗。ダメージを。
GM:〈人喰い草〉Bのヘイト倍率は2ですので、まずヘイトダメージ6点が確定。さらに34点物理です。
ロシナンテ:[障壁]が残り8か。《リアクティブヒール》を空撃ち。(註4)
GM:あれ?ヘイトトップ時の《リアクティブヒール》はヘイトがあがらないのでは?
ロシナンテ:「上昇を0にしてもよい」、だ。0にはしない。
GM:お、おお。確かに。ではヘイト3維持で。では続いてCの攻撃です。同じように《這いずる根》で移動してB4へ。マイナーも使ってロシナンテさんへ。
ロシナンテ:回避失敗。
GM:では30点とヘイトダメージ6点です。
ロシナンテ:これは通ると[硬直]が辛いな。近接できなくなる。
目映:じゃあわたしは[硬直]あっても平気だから《かばう》ね。《スウェア・バイ・ソード》の効果で1距離まで。行動済みにもなりません。ヘイト入れて16点も通っちゃった。
ロシナンテ:《リアクティブヒール》。《インヴォークリアクト》が効いてるから、【魔力】追加。マスタリー込みで18点回復。
目映:ありがとー。
GM:ぬ、クレバーな。
蒼子:D7に移動して、マイナーで《カムフラージュリーフ》してヘイト0。それからCへ《ディスミサル》。ヘイト1。ああ、低い。9。
GM:9でも通りますねー。〈人喰い草〉Cも倒れました。
ロシナンテ:B4へ移動。マイナーはない。《ホーリーシールド》で11。ヘイト4。
GM:命中しました。ダメージを。
ロシナンテ:低いな。6点貫通。
目映:じゃあ、わたしかな。
蒼子:止め刺しちゃってください。
目映:[硬直]してるからムーブがなくて、マイナーで解除。メジャーで《基本武器攻撃》で10。
GM:当たります。
目映:ダメージは17点物理。
GM:わずかに生き残りましたが……ここで投了にしましょう。もう勝ち目がない。
というわけで結果だけを見ればPC達の余裕の勝利である。喜びを分かち合う一行。抜群のヘイトコントロールが勝因と言えよう。
蒼子:「なーんだ。余裕じゃないですか、バランス完璧ですよ(笑)」
目映:「やったね!」
ロシナンテ:「なんとかなったな」
そのままドロップアイテムの処理をして意気揚々と森を進む。
GM:「ギギギ…ッ」と耳障りな断末魔をあげて最後の〈人喰い草〉は動かなくなりました。〈小牙竜鬼〉以外にもこの森にはモンスターが潜んでいるようです。
蒼子:まあどこにでも[自然]のモンスターはいるでしょ。
GM:レンは無事でしょうか。〈大地人〉の彼女にとってこの森はいささか過酷な環境かもしれません。
ロシナンテ:俺たちにも厳しかったんじゃねえか?
目映:大丈夫だよ、なんせ回復三人もいるんだから(笑)
蒼子:そのとおり。我々なら大丈夫ですよ(笑)でも、レンさんは早めに探しに行きましょう。
註1.『狡猾ですね。』 プレイヤーへの最大の褒め言葉の一つ。今回は《受け渡し》と《装備の変更》の複数回使用可能の特性を利用して〈灰の指輪〉を使いまわし、効果を最大化している二人の狡猾さを褒めている。狼の勇猛さだけではなく、狐の狡猾さも兼ね備えてこその〈冒険者〉なのだ。
註2.『これはいわゆるアスターテ会戦ですね。』 宇宙歴796年/帝国歴487年2月ごろにイゼルローン回廊同盟側入口の近傍に位置するアスターテ星域において帝国軍と同盟軍の間で起きた艦隊戦闘。同盟軍が帝国軍の2倍の艦隊で三方向からの包囲を図るものの、帝国軍はこれを集結前に各個撃破。ダゴン星域会戦の雪辱を果たす。ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーはこの戦いにおいて初めて互いに艦隊指揮官として相対した。『銀河英雄伝説』
註3.『ガンバルゾー!』 ザイバツ・ニンジャの発する、聞く者を震え上がらせる禍々しいチャント。そのあまりにも暗黒ブラック企業めいたアトモスフィアから、ヘッズの間では半強制的なガンバリを強いられる時に使われる。
註4.『空撃ち』 対象を0体として特技を使うことの通称。効果を得られずヘイトだけ上昇するが、こういったヘイト管理が重要となる局面では重要なテクニック。