ぶれない里2
カインはイライラしていた。
今日もジジイがいる。
日本は今、ナンが溢れている。
きっと、国民が泣いている。
俺は勇者だ。
行かなければ。そしてバイトをして、たくさん恋をしたり、なんやかんやしたりするんだ!
カインは、拳を握りしめた。
そんな折、日本が大変だの言っている場合では無く、地球そのものが危機に瀕していた。
小惑星が地球直撃コースを駆けている。
様々な国が対策を講じようと躍起になっているが、3日後には北半球の3分の1は崩壊、もう1つ、月が出来るほどの衝撃があるだろうというものだ。
なぜ、世界はこれほどまでの脅威に気づかなかったのか、それは今はまだわからない。
そんなニュースが発表されたその数分後。
皆が精神の崩壊を始めた、その時。
歪みの前の老人は、カーッと痰をため、プッと上に吐き、小指を立て、淡い光を出し、痰に青白い光を纏わせた。
痰は上空に消え、脅威のメテオを蒸発させた。
カインはそれを見ていた。
老人「勇者歴、80年...…ため息でも、あんなもの、かき消せるわい」
今日も、平和だ。
まぁまた、日本だけ、大変なままみたいだけど、なんかもういいかな、と思うカイン。
しかし、彼はひらめいた。
「...…里から出られるかもしれない」
カインは、なんやかんやしたいだけ。