とりあえずでてきたものの
経歴や家系、誰もが自由に、また縛られ生きるこの現代。
それとはまた別の世界の、現代。
恐れや闇を砕く使命を負うその系譜、かつては、その時代ごとに、光の者、救世主、聖騎士、様々な呼ばれ方をした血の一族、勇の血族。勇者の一族である。
いつか襲い来るやもしれぬ、その闇に対抗すべき一族。
しかし、今は……平和。
あぁ。平和すぎる。
そんな日々。仕方なく腕を磨き、武芸を学び、魔法を操り、真の勇者になるべく、使い道も無いのに仕方なく生きている一族。
剣道ではなく、魔物を斬る刃。
弓道ではなく、魔物を貫く光。
拳法ではなく、魔物を砕く拳。
そのどれもが、世に出したら恥ずかしい、里からおりたみんなは、そう思っている。
しかし、突然、闇は現れた。瞬く間に空は暗く、太陽は一時ながら黒に染まった。
勇者の里では、みなが空を見上げていた。
勇者A「なぁ、今の見たか!」
勇者B「うん、私も見た!」
勇者C「俺達の、俺達の時に来たぁぁぁぁぁ!」
走り出した3人の若者。
勇者Aの祖父「ん?まて、あれは……」
仕方なく、日々研鑽していた彼ら3人は魔王に立ち向かう決心をするように見せかけ、走り出す。時代はよもや金がものを言う、通貨は円。里から出て、日銭を稼ぐところから始まる、勇者たちの、物語。
勇者たち「金環日食よありがとう」