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宝くじ当たりました!!  作者: ありあ翼
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区切りのいいところまで仕事を終え、お昼休みまでの15分ちょっとをどう時間を使うか考えていた。

この時間にトイレはNG。コピーもなければ確認書類もない。次の仕事は手を付けたら30分はかかる。どうしたものかと遠い目をしたそのときだった。


「そういえば、宝くじ確認した?あたしはダメだったよー」

隣の席の金子さんが話しかけてきた。

「あの宝くじですか?

そういえば、ここに入れっぱなしになってます」

デスクの引き出しを指でつつきながら言うと、彼女は可愛い顔をさらに可愛く彩る笑みを乗せた。

それを見た男性社員たちがわらわらと会話に入り、私は蚊帳の外になった。

金子さんは可愛いし気遣いのできる優しい人だ。今は彼氏もいないらしく、モテるのも頷ける。一人うんうん頷いていたら、わたしにも会話が回ってきたらしい。

「3ヶ月も引き出しに入れっぱなしなの?ダメダメ、もらったその日に行かないと」

「せめて次の日だよ。当たってるかもしれないじゃん」

「でも結果出てから配るから、当たってたら幹事の懐に入ってそう」

「確かに!」

笑いが生まれる優しい空間に、課内全員の視線が集まり、残りの時間はみんなで談笑になった。



わたしが勤めている会社は新年会を仕事始めの日に行い、どんなに忙しくても残業せず、毎年同じ会場で交流を図る。

ゲームは毎回ビンゴで、商品が毎回宝くじだ。30枚~1枚と数に差はあるけれど、必ずみんながもらえるようになっている。内容に代り映えはないが、年末の大きな金額が当たるかもしれないものだけに楽しみにしている人もいる。

社長曰く、ボランティア活動の一環らしい。宝くじの収益金は公共事業などに使われるらしいのだ。

それと、一番の狙いは、新年会後も交流が持てるような話のネタになる商品であることと、会社の経費で落とせるものであることのようだ。




「で、大野さんがまだデスクの肥やしにしているらしいので、これはいかん!と思って」

「あたし、300円当たってたよ。1枚しかもらってないのに」

「確率いいね、今年いいことあるんじゃない?」

「今年から厄年なんです~」

「お祓い行った?」

などなど、盛り上がった会話のおかげで15分はあっという間に経ってしまっていた。わたしはほとんど頷くだけだったけれど。


帰り際にも、「宝くじ持ったかぁ?」「当たったら報告よろしく」など言葉をかけられ、笑いながら挨拶をしてアパートの最寄り駅に到着した。帰りにスーパーに寄らないとカップラーメンすらないな…と思いながら歩いていたら、あの宝くじ売り場を発見して、冒頭に戻る。



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