エピローグ
アリスの魔法で『鏡の国』から戻った一行は、元の世界でラプンツェルや人魚姫ルーツィアと再会し、無事を喜んだ。
ルーツィアも、ルクレティアに付き添うシンデレラの姿を見た途端、これまで張りつめていた緊張の糸と心配がほぐれて涙ぐみ、そんな彼女に微笑んだシンデレラは、感謝と温かい言葉をかけた。
そして、ラプンツェルは、今回の戦いでは、自分には使えない特殊な魔法を扱えるアリスの功績が大きいことを認め、アリスも、この世界を守ったのは、ラプンツェル率いるピラカミオンの武器製造技術や、騎士たちの実力が大きかったと、素直に褒め、讃えた。
無事を祝うため、アリスがお茶会を企画した。
そこで、リーゼロッテが、自分の弓使いが上達したことを語っていた。
嬉しそうに話す彼女の横で、アリスが付け加えた。
鏡の国では、こちらの世界とは反対になることもあり、常に外すリーゼロッテの弓も、だから威力を増したのだろう、などという解説に、リーゼロッテが非常にがっかりした場面もあった。
いばらの塔は、呪いをかけたマウゼリンクス家が滅ぶとともに、消滅していた。
いばらに覆われていた古都ハイルリーベの呪いも解けたが、いなくなった人々は戻らなかった。
聖女ルクレティアは、マウゼリンクス夫人の邪悪な念で、黒く呪われた輝晶石を、意識の中に取り込み、元は七色に輝くパールのような巨大輝晶石が秘める、強大な力によって、世界中に呪いを放つのを、少しでも防ぐため、ルクレティアが封じ続けていたという。
その間、外見上は眠っているように見えたのだった。
ルクレティア救出により、保守派と改革派の垣根はなくなった。
2000年近く続く聖女による独裁を終わらせ、真に力あるものが民を率いるべきだと主張してきた白雪姫アンネローゼに、ルクレティアも賛成し、二人は、国王にウルフを推薦した。
彼のこれまでの業績と人柄で、各都市の姫たちに異論はなかった。
特に、リーゼロッテが大賛成であった。
「元の姿に戻るか、姫を助けるか」の選択で、姫を助ける方を選んだウルフーー元ハイルリーベ王子は、人間の姿に戻れなくとも、姫たちや民からも慕われる王となった。
リーゼロッテは、たびたび遊びに来ていた。
ウルフも、彼女を自分の恩人だと、いつも口にしていた。
彼は今は、充分に幸せであり、野獣の姿も嫌ではなく、どちらかというと気に入っていた。
「呪いに打ち克つとは、そういう意味だ」
ハシバミ色のたてがみをなびかせ、青く澄んだ瞳で、彼は、隣にいるアンネローゼに、笑ってみせた。
話の前半はゲームのイメージです。
ちょっと登場人物多いけど、ゲームの雰囲気に浸ってもらって……と思いまして。
後半はゲームからは外れた内容にしました。
参考童話:『美女と野獣』、『鏡の国のアリス』、『くるみ割り人形とねずみの王様』