エピローグ
……暑い。
太陽の照りつける砂漠とも、サウナで蒸されているような暑さとも違う。まるで自分自身が炎となって熱を発しているかのような気持ちの悪い暑さが体を襲う。
「……ハァッ、ハァッ!」
昔、雪山で遭難した人の話を聞いた時の事を思い出した。寒さを感じなくなり、あまつさえ暑いと感じたら危険なんだそうだ。
(あの時は嘘だ、と思ってたけど。)
本当に暑く感じるものなんだな、とぼんやりとした頭で考える。
もう一歩も歩けない。先ほどまで見えていた村かなにかの灯りも、吹雪で見えなくなっている。
(上下の感覚もわかんなくなってきたなぁ…あぁ。俺、ここで死ぬのか…)
もう足も腕もどこにあるのか分からないほどに体の感覚が消えているのに、燃えるような暑さは衰えない。
それなら、どうせ死ぬなら。最後は楽に逝きたいなぁ。
おもむろに着ていたスキーウェアを脱ぐ。シャツも、パンツも脱いで全裸で雪に伏せる。
腕がまともに機能したのが最後の幸運だったかな、と。
そんな事を考えながら、俺の意識は山の白に呑まれて行った…。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
小説を投稿するのは初めてなので、誤字脱字などの不手際がありましたら教えてもらえると幸いです。