1-08 万南無高校VS雲葛高校 04『鎖』
ほぼ全裸の老人に組みかかりベロベロと舐めまくる犬。少しハードなスキンシップが続く中、遠巻きの試合中継カメラがそこへとたどり着く
「犬馬はスカウトとか良く来る?」
珍海は足元の草をむしる
『う~ん、あんまりこないかなぁ…?』
『そういうの、おじいちゃんに任せてあるから』
犬馬は遠くのほうをみながら答えた。実は犬馬は、自分の「犬を散歩させる能力」にあまり自信がなかった。
「そっか」
珍海は高校卒業と同時にプロアプリ坊主のチームへと入団するつもりで居た。一方、犬馬のほうはというと、いまいちはっきりしない。
「実は会長が…」
「………」
「(あれ…?なんだっけ?)」
「いや、やっぱり、いいや」
珍海はそこまで言いかけて、少し考えてから急に苦笑いを浮かべて言い直した
『…』
『何も心配することないよ』
『全部私がなんとかしてあげる』
前髪が少しばかり目線に掛かり、半ば独り言のような言葉が消えていく
「おおげさな」
「大学って言ったって、せいぜい3,4年だろ」
『そうなんだけどね』
『…私も、能力ちょっと変えてみようかなぁ』
遠い目をして、どこに当てるとも知れぬ独り言のような言葉を発した
能力の決定は、1枚のプリントから始まる。
高校に入り、アプリ坊主部に入ると、顧問の先生からプリントを手渡されそこに自分の希望する能力を書き込む。第1志望から第3志望まで
を書き込み提出する。
後日、顧問の先生と能力者とその親の、三者面談により、能力が決定されるのだ。
『うちの子はこの能力でいいでしょうか?』
「いえいえ、お宅のお子さんならもっと上を目指せますよ!」
「○○君は今、シンプルSプランですよね?」
『はい。あれもこれもとオプションをつけていると、キリがなさそうで…』
「ただ、そのプランですと、無料通話分を使いきりますと割高です」
「なので、私はゴージャスGプランをオススメします」
と、いったやりとりが行なわれるのである。
犬馬は数ある候補の中から何にしようか迷った末に、第1志望に自分の最も得意とする「犬の散歩」を記入した。
これは、自分の得意分野を伸ばそうとする選択であり、欠点を補う取得では無い。
『納豆がおいしく食べられますように』
欠点といえば、納豆が苦手であったので、彼女は第2志望に「納豆の克服」を記入した
納豆に豊富に含まれるタンパク質はもちろん体にも良いし、慣れてしまえばあの独特の風味がとてもおいしく感じられる。だが、犬馬はどうしてもその味が好きになれなかった
『あのねばねばがなぁ~』
犬馬は遠くを見ながら納豆をかき混ぜるそぶりを空中に描いた
「うん…?」
珍海はとりあえず返事をしたものの、なんの事かさっぱり解らず、乙女の 七夕チックな願いは織姫と彦星が
{無理でぇ~す!}
と空中に蜃気楼の如く浮かぶ有様
『うっ…う”っ…』
犬馬はよだれを垂らし、身もだえ始めた。右手で空中をかき混ぜる。
『ぐるぐる…ねばねば…』
納豆をかきまぜるそぶりが加速して行く
『オゥ~ネバネバ!』
『ハァ~♪ネバノンノ♪』
白目をむいた犬馬は、興奮し、空中のあちこちを箸でかき混ぜるそぶりをみせた
「け…犬馬…?」
「落ち着いて!!」
隣に座っていた珍海はあわてて犬馬を静止したが、興奮している犬馬は聴くそぶりを見せない
『納豆ねばねば…!』
『う”―っ!!う”ーっ!!!』
犬馬は倒れこみながらも、少しでも遠くをかき混ぜようと、手を伸ばし、虚空をひたすら泳いだ。足はM字開脚している。
「犬馬っ!!」
珍海はとりあえず事態を収拾すべく、犬馬の両手足を縛る事にした。着ている法衣を脱ぐと、両手足を縛った。
『ん”っ!!ん”っーー!』
M字開脚は治まったものの、全身を伸ばし、びったんびったんと、まるで地上に水揚げされた魚のように地面を跳ねる犬馬。
だが、そんな状態になりながらも、腕をぴんと伸ばし、納豆をかきまぜるそぶりは止む事は無かった。
「第二志望か…」
珍海はカバンから端末を取り出して確認したが、この一連の動作は犬馬の第二志望の能力であったらしい。わずかばかりにポイントが
入っていた。
「…」
ちらり、と犬馬のほうを見たほぼ全裸の珍海は、犬馬の衣服を少しずらし、股間のレバーを犬馬の口にあてがった。ここで高速充電をし、
試合を有利に運ぶ為である。犬馬の肌を露出させたのは、オーラを少しでも犬馬に与える為だ
『ねばねば、う”―っ!!』
『ぐむっ…!ん”―ん”むっっ!!』
口を閉じて抵抗した犬馬だったが、珍海は口の両端を指で圧迫し、開いた隙にTENGOを無理やりねじ込んだ
『がぼっ!』
『ん”っ。ん”っっつ!!』
犬馬の頭を手で固定し、一気に高速で腰を動かす珍海。
『んぼっ!んぼっ』
犬馬のほほの中を前後に角度を変えながら荒々しく行き来するTENGO
『んぼっ!ぶはっっ!!』
のどの奥のほうまでTENGOでふさがれ、まともに呼吸ができない犬馬は、涙と鼻水を流し、かなり苦しいようだ。早めにオーラを溜めねば、本人が
持たない…だが、
「うっ…」
「出すっ、オーラ出すっ!」
珍海もプロからスカウトが来るほどの逸材である。すぐに放出準備が整う
「出すぞっ」
「犬馬っ、中で出すぞっ」
打ち付けた腰を顔の前で止めて右手で頭を固定すると、犬馬の口の中にどばどばとオーラを放出した。
「アプリ坊ぅーーー主」
珍海が咆哮と共に青色のオーラを発生させる。運の悪いことにまたしても、あまり強くないオーラの色だ
『んぶっ。げほっ…』
むせて少し吐き出してしまった犬馬だったが、なんとか無事に吸収できたようだ
『ん”ん”っ……!」
すかさず珍海は、かばんの中から変身前に履いていたブリーフを取り出し、犬馬の口を覆うようにあてがった
『む~~っ!む~~っ!!』
『む”っっ……!』
ほどなくして犬馬は白目をむいて気絶した。これは犬馬が意識白濁の内に、舌を噛まないようにとの珍海の心遣いである。
衣服を乱し、気絶している犬馬だったが、愛犬はまだそこらを散歩している。
「さすがは犬馬」
珍海は、手元の端末で順調にポイントが入っているのを確認すると、さらに状況を改善すべく、次の行動に移る
まず、倒れている犬馬の足元に座り、そのまま足首を掴むと、両腕でふとももがぴったりと重なるようにひとつに抱え込み、そのスキマに
自分のTENGOをはさみこんだ。
「うっ…うっ!うっ!」
そのまま、犬馬のふとももの間のTENGOを腰と一緒に前後に動かし、オーラを溜めていく。
「いいぞっ…!」
「はぁ…はぁ」
精神を昂ぶらせていく珍海
・
・
・
―― ふいに視界が遠のいてゆく。
まるで睡眠直前のように現実との境が無くなり、かわりにいつ、どこのものともつかない光景が珍海の目に、いや、脳に直接流れ込んでくる
最初は小学校の教室であった。
よくみると、男子は全員、頭にヘッドギアのようなものを装着している。配線が顔の皮膚に食い込みながらも、ただただ無表情で黒板を見つ
め、授業に集中していた。女子のほうは、「わいわい、キャッキャ」と、さながら学級崩壊のように飛び回っていたが、先生は女子に怯え、
注意するそぶりすら見せなかった。
「????」
珍海はその光景の意味がわからず、かといって、自分が何者であるかも知れず、ただただ疑問に思った。
次は駅のホームであった。
状況を見るに、男性が転落しただか飛び降りただかで、その周囲は半円状の黒山の人だかりになっていた。
その、人の群れの中心は、遠慮がちに少し空いており、そこにぽつん、と独り泣き崩れている若い男性がいた。
「あれ…?この人どこかで…?」
珍海は、意識朦朧としながらも、この男性が見覚えのある顔だということに気が付いた。だが、誰だったかまでは思い出せない
「前に…」