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アプリ坊主  作者: 蚊取TENGO
第四章
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4-14 向川高校VS灯之台高校 2『秘境!都川の上流にイワナを見た!』

千葉市若葉区 都川水の里公園。普段は人っ子一人居無い場所も、アプリ坊主の試合ともなれば話は別だ。

大勢のマスコミや応援の観客らで賑わい、臨時の出店や仮設トイレ等も設置され、地元の紹介CMも流れる官民一体型お祭り騒ぎのイベントにおいては常日頃の閑古鳥など巣ごと逃げ去るというものである。


試合開始のゴングより1時間程前、その会場の程なく上流に、前準備に勤しむ二人の姿があった




「急にすまねぇな、恩師(おんじ)


鼻の下を照れくさそうにさする 三平(さんぺい)


『・・ドボドボドボ』


恩師と呼ばれている老人がイワナを放流する。


『なぁに、いいってことよ!』


都川源流付近は川幅が狭く、水深もそれほど深くは無い。


「おお、泳いでる泳いでる!」

「こりゃ、大漁間違いなしだっぺ!!」


小躍りして喜ぶ三平。この川に元々イワナは居無い。多少のインチキ・・もとい、多少の演出無くしては試合は盛り上がらないのだ。


「ああ~イワナ・・・美しい。」

「この頭部分の丸みをおびた独特のフォルム・・」

「最高だっぺ」


ハァハァと興奮しだす


『うむ、うむ』


愛弟子の喜ぶ様を観て 恩師(おんじ)の顔もほころぶ。





向川高校はアプリ坊主部に対して予算的にも育成的にもかなり消極的で、顧問の先生は5つの部活を掛け持ちしているうえに、本日は近所のパチンコ屋が新装開店という事でそちらのほうに並ばれているご様子。

三平の実家の近くを日頃徘徊している恩師の協力無くしては、今回の不正・・いや、演出も叶わなかったであろう。


「ハァハァ・・」

『うっうっ!』


興奮しながら川を覗き込む二人。と、そこに


{こりゃあああ!!!}


怒号と共に、どこかで見た覚えのある老人が姿を現した。


{おまえさん方は一体全体、何をしでかしておるのぢゃ!?}

{自然を何ぢゃと思っておる!!}


地振(じぶ)り坊主(地降りとも書く)の 宮崎法如(みやざき ほうにょ)であった


「何を、って試合の準備だっぺ」


マジキチ三平が鼻をほじりながら答えた


{馬鹿もにょぁ!・・}

{馬鹿者が!!}

{それが生態系を壊す物だと何故わからぬか!!}


一渇する宮崎


『何だじじい。噛んだからって言い直すな!』

『言われなくても』

『ちゃんと試合後には回収する予定ぢゃ』


恩師(おんじ)が冷静に受け答えする


{誰がじじいだ!}

{噛んでなんかおらんわい!}

{貴様がじじいぢゃろうが!!}


顔を真っ赤にする宮崎


『いや、おまえのほうがじじいだ!!』


{おまえが!}


『いやおまえが・・』


{噛んでねぇぢゃろ!}


『いいや、噛んだ』


堂々巡りに業を煮やし


{うるせえ!バルス!!}

{プシューー!!}


後ろポッケに隠し持っていた虫除けスプレーを発射する宮崎


『ぐあっ!?』

『目が・・目がぁ~!』


噴霧が目に入りたじろぐ恩師。と、そこに


{じぶりっ!!}


宮崎のドロップキックが炸裂し


『ドボーーン!!』


{大自然の・・おしおきよ!(可愛いポーズ)}


老人の一人が水しぶきを上げて都川に転落


恩師(おんじ)っ!!」


二人のやりとりを暖かく見守っていたマジキチ三平も


「おまえコノヤロウ!!」

「オラが相手だ!!」


流石に師匠が川にはめられては慌てずにはいられなかった


『げ、げぼっ・・!』


浅瀬から這い上がり、その場にへたり込む恩師


「恩師・・見ていてくんろ・・!」


空を見上げて涙する三平。


『(いや、生きているよ)』


生きている恩師


{勝てるかな?若造。}

{ワシは強いぞ?}


長らく実戦から遠ざかり、なにやら (たぎ)る物があったのであろうか。調子に乗って挑発する宮崎



「アプリぼぅぅぅず!!」


釣竿型TENGOを装着する三平


{ほう、TENGOを抜いたな?}

{ならば貴様にも・・}


どこかに隠し持っていた(?)TENGOを


{覚悟があろうな!!}


装着する


「で・・・でかい・・」

「それに、太い・・」


思わず絶句する三平。宮崎のTENGOはクリスマスツリーのような外観をしていて、彼自身を覆い隠すような巨大さであった


「一体どこから出したんだ・・?」

「(攻め込む隙が全く無い・・)」


横からまじまじと見つめる。


{ふふふ・・}

{恐れおののくが良い}


宮崎は装着したTENGOをドシンドシンと動かしてみせた。攻め込みようの無い城。さながら動く城。


「ぐっ・・」

MEN(めん)ー!」


あまりのサイズの違いように、焦りを隠せず切り込むと


{ぬんっ!!}


それを軽々と受け流す宮崎。彼の防御行動一撃一撃が、


「・・はうっ!!」

「はうるっ!!」


いちいちと三平のTENGOに重くのしかかる


{甘い甘い!甘すぎる!!}

{そんな事ではワシには勝てんぞ!!}

{物のついでに受けてみよ・・!我が奥義っ!}


やる気満々のご様子


{痴女(でりへる)宅急便(いんざほおむ)っっっ!!!}


ゴォゴォと空気を切り裂き、暴走列車さながらに突進する宮崎。




準決勝第二試合当日に思わぬ戦いに巻き込まれた向川高校。迫りくる宮崎の猛攻に三平の実力が試される。負けるな三平。闘えマジェスティック吉祥寺三平






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