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アプリ坊主  作者: 蚊取TENGO
第四章
71/82

4-13 向川高校VS灯之台高校 1『順調な滑り出し』

(くだん)の失踪事件からおよそ3週間後、関係各所に延期の理由が明かされぬまま準決勝第二試合が執り行われようとしていた。

千葉中央区立向川(ちばちゅうおうくりつむかいがわ)高等学校の女生徒の具合が悪いという事で、病状やら入院先やらが一部のゴシップ誌などを中心として取り沙汰されたが、

警察側から【未成年】や【個人情報】等、言葉の圧力をチラつかされると、やがてその記事は、デスクの片隅へと追いやられていった



とは言え、プロでも稀な1対2のアプリ坊主の試合というのは高校生大会において始めてのケースであり、運営側もどういうふうにハンデを付けるのかが苦慮される所である。


向川高等学校3年 マジェスティック 吉祥寺三平(きちじょうじさんぺい)


通称:マジキチ三平 


能力:『イワナ釣りが好きな能力』


使用するTENGO:『釣竿型』



男性アプリ坊主が能力を行使しない(大々的に行使したら反則負け)高校生大会において、特にピックアップされる事のなかった項目ではあるが、パートナー不在でやむなくこの能力で戦う事を考えた場合、彼には致命的な欠陥がある。

それは『その場でじっとしていないと能力を行使できない』所であろう。


めでたく狩猟解禁なのは大変喜ばしい所ではあるが、いざイワナ釣りという場面で、対戦相手である二人組みにどんどん近寄られてしまう。

一見すると、釣りをしている青年に、ヤンキー2人組みが絡んでいるだけのような試合展開になってしまうのだ。


相手側の女性パートナー(貝万(かいまん) アケミ)はただただ笑顔でマジェスティック吉祥寺三平の釣竿型TENGOをしごいていれば良い。


そうすればやがて我慢できなくなった三平は


『あ”あ”~~!でりゅううう!!』

『川に向かってオーラでりゅ~~!』

『まっ、、またでりゅ!』

『しゃけ・・鮭ェェェ””!』


とか言いながら、じゃんじゃんオーラを放出して枯渇するだろう。動きようの無い釣りの最中に一方的に攻めるシチュエーション。黙々としごかれるTENGO。それはそれで味のある試合だが、どう考えてもマジキチ三平側に勝ち目は無い。

特殊ルールを一時的に設ける等の対応が運営側に求められる。――ところが。


【ハンデ戦の為、灯之台高校のポイントの入り方が5分の1になる】


試合前に運営から発表された特別ルールはたったこれだけだった。


いつの時代においても、なにかを運営する側とそれを体感する側とでは温度差がある。スポーツ然り、(まつりごと)然り。



まだ少し、いや、大分先のかけ離れた遠い話になってしまうが


【運のある人間が法律を作る以上】

【運のない人間への配慮にはならない】


のである。ゆくゆくと考えられたし。



とは言え、霧中の国の人達にとってそれは考慮に入らないささいな事。その霧の中に、夢の中に、なにかが映し出されればそれを信ずる。

踏み出した一歩が地に着けばそれを地面だと思い、口の中に入れたなにかが食べられればそれを食料だと思う。

目の前の試合を待ち望んでいた国民達にとってそれは、喉にも、胸にも、どこにもつかえようのない小さな小さなトゲだった。


アプリ坊主高校県大会 準決勝第二試合 


向川高校VS灯之台高校 今まさにゴングが、、アラ?選手が居無い?以下次回!




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